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2007.03.25
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 春ですね。
卒業、新しい出発、旅立ち。
3月、4月はうきうきとドキドキの両方の気分の月のような気がします。
死ぬことはこの世からの卒業、と考えたことはありませんか。
今回はそんな気持ちにさせてもらった「看取り」のお話をしようと思います。


44歳 男性、大腸がんの患者さんです。
4年前の秋、検診で発見され、初期に近いから手術で治るといわれ手術を受けました。
しかし半年後再発、再手術されました。
また半年後再発し今度は人工肛門にしなければいけませんでした。
その後も骨や、脳にも転移し、その度ごとに抗癌剤、放射線治療を受けました。
高校の先生で、今の高校に来てからはブラスバンドの顧問も勤め、
「熱血先生」といわれていました。闘病生活をしながら、教師も続けていましたが、
とうとう抗癌剤も効かなくなり、ホスピスに入院されました。
入院当日に彼は
「今は体力が落ちて、痛みもあるから治療が受けられない。
痛みを取ってもらって体力をつけたら、また頑張って治療をする。」
と話されました。
両親も
「一人息子をこんな形で失うのはつらい。何とか奇跡が起きて、良くなってほしい。」
と話されました。
特に父親は
「手術した病院が小さい病院だったからだめだったんだ、
もっと大きい病院で治療していたらこんなことにはならなかったのに。」とか、
「この間息子の学校の先生が来て、息子は一人で頑張っていましたといいおった。
過労やストレスで癌になった、学校に殺されたようなものだ。」
と我々に話されました。
一方奥さんは
「ふたりの子供は7歳と4歳です。私一人で育てるのは不安です。
でも覚悟はしなくては。」
とやや現実的な話をされていました。

病状は彼が思っているよりも進行していました。
癌は骨盤に転移し下半身の神経を圧迫しており、下半身麻痺、膀胱障害が急速に進行してきました。寝たきりとなり、膀胱に管を入れないと尿が出なくなりました。
切除した大腸の部分に膿が溜まり、熱が止まらない状態となりました。
管を入れて何とか膿を外に出し命の危険はなくなりましたが、体は急速に衰弱してきました。
体が衰弱してくると平行して彼は極端に無口になりました。
特に痛みが緩和され、痛みのことを訴えなくなるとさらにエスカレートし、
訪室しても会話が無いときも多くなりました。
家族に対しても同じでした。
奥さんが、「何か子供たちに話してよ。今しかないかもしれないのよ。」
と言っても何も語ろうとはしませんでした。
とうとう「普段から無口な人でしたから、もうあきらめています。」
と奥さんは話されるようになりました。

週単位で彼の衰弱は進行しました。
入院して6週目ごろには脳転移からの出血が判明し、
嘔吐で食事も十分取れなくなりました。
それでも彼は最小限の会話のみしかしようとはしませんでした。
スタッフからは精神的なケアができない、と不満感が表出し、
カンファレンスを持ちましたが効果的な解決法は出ませんでした。

2ヶ月が経過し衰弱はますます進行してきました。
筋肉らしいものは無くなり、ほとんど骨と皮だけとなりました。
父親もが「奇跡は起こらなかった。あとは楽にしてやってください。」
と話されるようになりました。
その2週間後、徐々に呼吸状態も悪化し、命もあと数日か、と思われたある日のことです。
彼が息も絶え絶えに「先生、しんどい、楽にしてくれ。」と話された後、昏睡状態となりました。「この人、癌になってはじめてしんどいと言わはったわ。」
と奥さんが驚いたように言われました。

そのとき、はっと気づいたのです。
ああ、この人は闘っていたんだ、どんなに痛くても、どんなにしんどくても、
いくら周りの者があきらめても、自分はあきらめず最後まで一人静かに癌と闘っていたんだ、
という思いが沸き起こってきました。
そして、あなたは最後まであきらめずに癌と向き合っていたんですね、
そのことを察知できず僕はあなたに早くあきらめろ、という想いで接していたかもしれません、
ごめんなさい、とこころの中で彼に謝りました。

その6日後、彼は亡くなりました。
お葬式は700人以上集まり、そのうち半数は彼の生徒さんたちだったそうです。
吹奏楽部の生徒さんたちは泣くのをこらえて最後まで彼のために演奏したそうです。
生徒のことを一生懸命に考え、生徒から本当に慕われていた先生だったんだなあ、
と思いました。
ただ、不器用だったので、我々や家族にはそう見えなかっただけだったんだ、
とも感じました。

彼の看取りのとき、
CDプレーヤーからユーミンの「卒業写真」のオルゴール曲が静かに流れていました。
奥さんが流していたようです。
曲が彼に聞こえたのかどうかはわかりませんが、彼の顔はとても穏やかでした。
そのとき不意に、死ぬことってこの世からの卒業なんだ、という想いが浮かんできたのです。
我々もいつかはこの世から去らねばなりません。
死ぬこととはこの世からの旅立ち、
この世の修行を終えてこの世という学校から「卒業」することかもしれません。
彼の最後まであきらめない生き方、
そして彼の最期を看取らせて頂いてそんな気持ちにさせてもらいました。

 今月のお勧め曲 LARS JANSSON TRIO  A WINDOW TOWARDS BEING
 スウェーデンのピアノトリオ(ジャズ)です。
大阪/中崎町の中古レコードショップseeed(http://www.seeed.net/)
の店員さんに教えていただきました。
心に響いてきます。特に「More Human」は素晴らしいです。
(もちろん他の曲も良い)興味のある方はご連絡ください。
また、私が製作したMix CDにも収録しているので
Mix CDがほしい方は連絡してください。
差し上げます。
 それでは来月(?)にお会いしましょう。Dr.Toshでした。





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Last updated  2007.03.26 13:18:04
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