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カテゴリ:アート・舞台
子どもだった頃、祖母がぽつんと「世が世なら、私はお姫様のような暮らしをしていたかもしれないのに」とつぶやいたことがありました。ウソか誠か、祖母のお祖父様に当たる人は隣県の小さなお城のご家老だったと。なんだ、殿様じゃないのか(だったらお姫様になれっこないじゃん!!)と子どもながらに残念に思ったのですが、祖母は清貧暮らしにありながらも高貴な印象を与える人で、そういう血ゆえの気位なのかなと感じたものでした。
祖父は県北の裕福な家に生まれましたが幼児期に両親を失い、財産は人手に。そんなふたりが結婚して戦争でさらにいろいろなものを失い、したがってわが実家には先祖から伝わるものは何ひとつありません。 その昔、岡山を統治としてた池田家の雛道具を集めた企画展に行ってきました。 さすがさすが。こんな由緒あるお家のものは大事に受け継がれ、何百年の後に私たちの目を楽しませてくれるのですねぇ。すばらしい。 館内では「おしずかに」の札があるに関わらずおばさま方が「まーぁ、かわいい」「これ素敵」とあちこちで感嘆の声を上げています。いや、ほんと。そりゃ声も出るわと、今回ばかりはおばさまたちのはしゃぎっぷりさえ微笑ましく。小ぶりな貝に描かれた貝あわせ一式、茶道具や台所道具、囲碁や将棋盤、文道具、煙草盆、机・棚・箪笥、箏・三味線・胡弓などの楽器類…へーえ、こんなのも雛道具として作ってるの?というほどに生活感たっぷりのものもミニチュアで再現されており、それも黒漆に金箔の本格仕様。どの仕事も手抜かりなく、美しいのです。 輿入れの際に持参されたというこの立派な雛道具、実際には飾られたのか、子どもたちが遊ぶこともあったのか。 ここまでのものは美術館や博物館でしか見ることはできませんが、こんな手仕事見ちゃうとひとつでもいいから何か受け継ぎたかったなあなんて。 企画展「雛の道具」 林原美術館にて3/21まで。一般300円。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年02月10日 12時52分10秒
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