テーマ:★手話★(129)
カテゴリ:手話
このところ手話の習得に力を入れている。
名前を名乗って、家族構成を紹介して、趣味を言って、好きな食べ物を伝えられるぐらいはできるようになった。もう少し語彙を増やし、文型のいくつかをマスターすれば、私が望んでいる会話レベルなら用を足せそうだ。 そう楽観的に考えていた私は、ある一冊の本を読んで、考えを改めることになった。私の手話は、何を話すかを話し出す前から予測がついているような状況下でしか通じない、ほんの片言だった。そう悲観的に考えるようになった。 その本とは 『初歩からやさしく学べる手話の本 はじめての手話』 市田泰弘・木村晴美著 日本文芸社 である。 サッカーを見て、最初は「足でボールを蹴るゲーム」だと思う。しかし、もう一歩踏み込めば「手を使わずにボールを操るゲーム」だとわかる。それと同じに、手話も最初は「手で会話する手段」だと思う。しかし、もう一歩踏み込めば「声を使わない言語」だと教わるのである。 『はじめての手話』の特徴は、非手指動作(NMS)について詳しく触れていることである。 話題化と焦点化。あごを引く、あげる。まゆを上げる、下げる。文型と修辞の如何により、口型や頷きを入れるタイミングがどう違うか。つまり、手の形と動きなんかはどの本でも書いてあるからくどくど言わないけど、どの本も書いていない非手指動作(NMS)、これをちゃんと覚えてね、という感じなのである。 これまで手話の初級本を何冊か見てきたが、非手指動作(NMS)をごく基本的な文に添えて書いてある本には出会わなかった。 おそらく私と同じレベルにいる学習者は、名前を名乗って、家族構成を紹介して、趣味を言って、という初級の例文すべてが一からやりなおしだと思い知らされることだろう。この本に出会ったせいで。 ただし悲観と同時に、ほんとうの手話を知った素晴らしさも噛みしめるだろう。この本に出会ったおかげで。 著者の木村晴美さんはネイティブ・サイナーの方である。決めつけるのはよくないが、通訳者の書いた本ではなく、さすがネイティブ・サイナーさんの本だなと思った。木村晴美さんの書いた本を検索して『日本手話とろう文化──ろう者はストレンジャー』木村晴美著 生活書院という本も知った。いま読みかけのところで、これまたとても面白い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.08.29 01:06:37
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