テーマ:日々自然観察(9771)
カテゴリ:カテゴリ未分類
運転していたら、日没の時間が近づいてきました。走っている道は、山間と市街地を繰り返し抜けていく郊外の道で、西側には海がありました。道は海岸に寄ったり離れたりしています。空は夕焼けで染まり始めていました。
どこか海岸近くに車を止めて、夕焼けをみよう。 そのあたりは、和歌山市の南、国道42号線。 山間を抜ける道からの眺めは、海と岬だけの整理された夕景になります。そういう眺めが特等席かなと思って、よい場所を探しながら車を走らせていました。 しかし42号線は流れのある道。ここはどうかなと迷いながらだと、流れに掴まってなかなか止まれません。駐車しておける場所でもないといけません。ちょっと無理だなと見送っているうちに道は海から離れてしまい、さらには市街地に入ってしまいました。 夕景もまた釣瓶落とし。 特等席にこだわるのはやめて、海が見えた交差点を西に曲がって、人気のない海岸沿いの道に入り、適当なところで車をとめました。 そこは海南市の名高というところでした。 目の前の海は、四方を埋め立てに囲まれていました。しかも小型船舶の係留に使用されているようで、雑他なことこの上ない眺めでした。遠方には高圧線が横切り、水平線は埋め立て地に建つ工場に隠れていました。海と岬だけの整理された夕景、当初イメージした特等席とは大違い。 でも、こういう小型船のひしめきあうさまは、水彩画の定番モチーフですし、これはこれで味があります。 夕景に染まりゆく漁港を歩きまわり、満足いくひとときを楽しみました。 あとで調べて知りました。名高の地から眺める海を、昔は名高の浦と呼び、万葉集に四首詠まれていることを。そのうちの一首。 紫の 名高の浦の 靡き藻の 心は妹に 寄りにしものを (巻11-2780) (紫は名高の枕詞。袈裟同様、紫は名高い方の服の色、という繋がり) 実際の景色は、古の歌の描く景色ともまた大違い。 でも、どこかで切なさが呼応しているようで、これはこれでいいかなと写真を眺めながら思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.05.18 22:31:12
コメント(0) | コメントを書く |
|