Ｂｏｏｋｗｏｒｍ

　韓国へ行った時のこと。
　全州よりソウルへは高速バスを利用することになっﾅﾆ。
　朝早く、いとこの奥さんがチケットを購入してくれた。
　全席指定されていた。

　いざ乗る段に、指定されていたシートには荷物を抱えたハルモニ（老婆）が座っている。
　窓の外には、見送ろうとしている親戚たちがいる。
　うちのダンナは、ハルモニにすかさず、席が違うことを伝えようとしていた。
　が、私がそれを止めた。
　韓国のしきたりみたいなものが、そうさせたのかもしれない。

　
　昨日、花見から戻った母から、プリントされた詩文を受け取った。
　私の旧友のご主人が、韓国の詩人の書いたものを翻訳したものだと聞いた。
　花見の場で皆に配られたそうだ。

　詩はハングルと日本語の両方で刷られていた。（以下は、訳されたものだけですが…。）

　　　　　
　　　　　友よ！　－　チング　へ　－

　歳を取れば慌てずに、
　憎まれぐち、泣きごと、そして余計な言葉や不平不満を言いなさんな
　知っていても知らぬふり、知らなくても無邪気になりんさいよ
　そのように生きるのが懸命だよ、

　友よ！
　相手に必ず勝とうとばかりせんと、適当に負けてあげんさいよ
　一歩後退して譲歩すること
　それが賢く生きる秘訣なんだよ、

　友よ！
　金、金、金と欲を捨てんさいよ
　どんな金持ちでも、死んじまったら持って行くことなんか出来んよ
　遺産のために子供達が喧嘩するような事が無いように
　生きている間に徳を施しんさいよ、

　友よ!
　だけど、これは表向きだけの話でね、
　本当に必要な金は死ぬまで持っていなきゃね
　親しい友に会ったら酒の一杯も奢り
　貧しい人々を助けてあげなよ
　孫に小遣いをあげる位の余裕がなきゃ
　誰も老いぼれたアンタを助けてくれんよ
　これは…ここだけの話だけど事実だよ、

　友よ！
　肩で風きって歩いた若い頃の事はすべて忘れて
　とにかくいきがらんと、あんまり自分の自慢をしなさんな
　昨日は青春、今日は白髪、過ぎ去った歳月は取り戻せんよ
　アンタは昇る太陽、ワシャ沈む太陽、そんな気持ちで過ごしなよ
　子供や孫達、そして近所の誰からも
　心優しい老人として生きんさいよ
　ぼけちゃ駄目だよ､病んでもアカンよ、
　健康だけは自分が責任を持たなくっちゃね

　友よ!
　どうか、どうか、健康で永う永う、生きんさいよ…

　作者情報は、後日、友人に聞いてみようと思います。
　

　若い人はソウルへ、都市へと出かけてしまう、そんな田舎のことをふと思い出します。