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2014.07.12
カテゴリ：芸術
 昨日の７月１２日は、朝、突如友人からお芝居のチケットが一枚 行けない人が出たので、一緒に行かない？ と誘いがあり、 わたしは、喜んで出掛けました。 その芝居というのは青年劇場の「族譜」という芝居で、素晴らしいとは友人から 聞いていたのですが、想像以上に素晴らしい芝居で、感動しました。 面白いとか・・・そう言ったたぐいのものではなく、 新劇の原点とも言える歴史や人間の尊厳を考える深い味わいのある物語 だったのです。 原作は梶山李之 さん、脚本・演出がジェームス三木さん。 相変わらず、ニュースを賑わしている、北朝鮮と、韓国と日本の関係を 歴的に観て、その朝鮮民族に対して日本人が犯して来た民族の尊厳みたいなものを 問う社会的なお芝居でした。 その歴史観には、日本人が全く知らされていない事実というのがあり、 今日の日韓と日朝の冷たい関係の根源にある悲哀と憎しみのようなものが このようなとことで築かれていったのだと痛感したことでした。  日本の昨今の報道を観ると、個人的にも韓国にも嫌気がさし、北朝鮮に対しても、 異常な独裁者にしか見えないのですが、歴史的背景に、日本で報道されていない 根源的な問題が、さて、これが、朝鮮民族と日本人が真逆だったら、どうなのか？ ということを考えさせる問題として描かれていたことでした。 原作の梶山季之 さんは、母方はハワイの日系移民で、両親は広島出身 だそうですが、、父親の仕事で現在の韓国ソウル（当時は朝鮮の京城）で生まれ 朝鮮に在中する総督府の官僚の息子として、植民地支配される朝鮮に 身を置いた経験から実際にあった史実を小説にしたようです。  それを、ジェームス・三木さんが２００６年に脚本にして上演し、今回は再演という かたちで手直しをして、上演となった、ということです。 ジェームス・三木さんは、歌手から脚本家になった大物脚本家です。 この芝居では演出も手がけ、役者の皆さんも皆素晴らしく、舞台美術や 音楽の効果ともども、心に響く秀作となっていました。 近くて遠い国といわれる日本にとっての韓国と北朝鮮・・・ 拉致問題など、依然として、ニュースに延々と解決するのかどうなのかと 関心を呼んでいる問題、そして、テポドンなどのミサイル問題、 韓国の従軍慰安婦問題や反日教育・・・その根底にある大きな問題と なるところをテーマにしている作品と言えます。 わたしは、この芝居を静岡市民劇場で観たのですが、わたしの年でも 知らなかった歴史的史実を若い人たちに観て知って欲しいと、心から 願う気持ちです。 原作の梶山李之さんの本を読んでみたいと思いました。 彼は、文芸春秋などで活躍したルポライターとして、又は作家として活躍し 朝鮮・移民・原爆という三つのテーマに大河小説「積乱雲」に取りかかった矢先 取材先の香港で客死したそうです。４５歳という若さでした。 パンフレットに掲載されている一文 梶山李之に とっては、日本の植民地支配の朝鮮で起こった悲劇を、 日本人の立場から、自己告発的に描き、日本人の植民地支配、北朝鮮 文化の破壊を糾弾する意味で、こうした題材を取り上げたことは明かだ。 大まかなストーリー 主人公の谷は、朝鮮総督府で事務員として勤めていた。 その頃、総督府は「創始改名」の政策を取っていた。北朝鮮人の姓名を 日本風のモノに改めさせるという政策だ。谷の担当している地域は、改名する北朝鮮人 が 少なく、成績が悪い。彼はその地域の有力者で、人望もあるソルジニョンのところへ 訪ねてゆく。 彼が改名に踏み切れば、周辺の住民も見習ってくれるのではないかと考えたのだ。 しかし、谷はソルジニョンに会い、その人柄に惚れ込み、先祖代々伝えられている 「族譜」という家系を記録した書冊を見せられ「創氏改名」が彼らにとってきわめて 暴力的で不当な政策であることを知るのだった・・・。 ある日、ソルジョニョンは、 遂に日本人風の名に改名することを受け入れた日に、古井戸に石を抱えて身を 投げたというをことを、谷は娘から聞かされる。 ＊ 芝居の後は、友人と、芝居や映画、「アンナ・ハーレント」や「ブルージャスミン」 の話題などで美味しいイタメシコースを 頂きました。 では、本日は雨日の日曜日です。 良い日をお過ごし下さいね！    お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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