カテゴリ:小説
本日TVドラマを観ていたら・・・冬子という名前が出て来て、 珍しい名だなぁと想い、これを即興小説にしてみようか・・と・。 ********* 即興小説 『冬子』 冬子という木があった。 その名を付けたのは、旅人だった。 その旅人は死んだ妻の名を旅の途中に立ち寄った白樺の木に 冬子と名付けた。 冬子というプレートが掛けられている。 ある年のこと。 その冬子と名付けた木の下に一人の女が倒れていた。 秋も深まりこのままでは冷えて死んでしまうと、通りがかりの狩人が助け上げ、 車に乗せて、自宅に入れた。独り身の狩人は、女をストーブで暖め、 温かなスープを飲ませた。女は、朦朧としていたが、 男の善意にすこし生気を取り戻した。 「大丈夫か?」 狩人は女の顔を覗き込んでいった。 「・・」 女はこくりと頷いた。 「ありがとう」そう言って口角を少し上げた。 「まあ、ゆっくりしていけ・・俺は一人暮らしだけれど、 しばらくは置いてあげることは出来るから・・」 男はそういうと、女の顔を見た。 「わたし、自分が誰だか分からなの」 「自分の名前もか?」 「うん」 「荷物は何も無かったな」 木の前で倒れていた女の周りにはバッグも何も残っていなかったのだ。 「明日、警察に行って調べて貰う、今日はゆっくり休め」 男はそういうと、押し入れから布団を出し、隣の部屋に準備した。 小さな山小屋風の家だったが、取りあえず、一人は泊めることが出来た。 「俺は明日も狩りに出る、今日は獲物を仕留めることは出来なかったが、 明日はシカと、ウサギを仕留めようと想っている」 女は部屋の壁を飾る毛皮や狩りの道具類や動物の角を眺めた。 「そうだ、名前だけんどよう、あんた冬子の木の下で倒れていたから、 名は冬子でいいか?」 「冬子?・・・・はい。」 そう言うと、女は隣の狩人が支度してくれた布団に入り眠った。 狩人の名は、ギザとう名だった。 女が布団に入ってから、 「俺の名前だけどよう・・・ギザと呼んでくれ」 夜も月が昇ると、北風が吹き、戸を叩いた。 そうして夜はしんしんと更けていった。 続 (三日くらいの続きにしてみようと想います) 読んで頂きありがとうございます~♫ イラスト・写真はFFFFOUND!から。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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