カテゴリ:小説
ギザは、車で山小屋作りの自宅に着いた。 窓からオレンジ色の灯りがこぼれている。 それが何故か嬉しく心躍った。 エンジンを止めて、駆け足で、玄関まで行き戸を叩いた。 「お~い、鹿とウサギを仕留めたぞ~!」 ドアを思い切り開けた。 台所の方から美味しそうな匂いが立ちこめていた。 なんだ、冷蔵庫の中のものでなんか作ったのだなとギザは想った。 「冬子~、どこだ~ 」 冬子は台所には居なかった。 ギザは、家の中を探し回った。 鍋の中は豚汁のようなものが入っていた。 仕方なく、ギザは、冬子が作ってくれた料理を食べた。美味しかった。 もしかしたら、記憶が戻ったのだろうか? 警察に電話をしてみた。もしかしたら、呼び出しがあったのかもしれない。 「もしもし、あの、ギザですが、冬子の身元が分かったですか?」 「ああ、あの女の人ね・・・まだ分からんよ」 「そうですか・・・」 ギザは、家の外で散歩でもしているのだろうかと、辺りを探した。 「冬子~! 冬子~!冬子!」 大声で、何度も何度も読んでみた。 そうすると、「冬子~、冬子~冬子~!」 とギザの声が一帯にこだまするのだった。 「どこへ消えちまったんだ」 「冬子~!冬子~!冬子~!」 知り合ってからたった一晩だけなのに、冬子が恋しかった。 何度も、何度も、冬子の名前を呼んだ。 仕留めた鹿のこともウサギのことも頭には無かった。 雪に覆われた林の中を彷徨った。 そうして、冬子が倒れていたあの冬子の木の前まで行った。 しかし、そこに冬子は居なかった。 ギザは探し疲れて、雪の上に仰向けになった。 「もう、おらん・・・冬子はもうおらん・・・」 夕暮れて辺りがすっかり暗くなり、空には星が瞬き始めていた。 凍てつく寒さも忘れ、熱い涙がこぼれ落ちた。 目を閉じ、泪が雪に落ちそうになったとき、雪の上に何かのもの音がした。 一匹の狐が、ギザの頬を舐めたのだ。 ギザが目を開けると、そこに居たのは冬子だった。 「冬子!探したんだぞ~ 」 ギザは、泣きながら、冬子を力いっぱい抱きしめた。 「もう、どこへもいかんでくれ、頼むから・・・冬子~!」 一匹の狐は狩人の胸に抱かれ、 狐も嬉しさのあまり泪を流していた・・・。 それからのち、 ギザと冬子は夫婦になり、末永く幸せに暮らしたんだと・・・。 めでたし、めでたし。 それでは、みなさま読んで頂きありがとうございます~♫ ご感想をお待ちしております。 明日は、また、ちょっと風変わりな物語を創りたいと想います~♫ 寒くなりましたので、呉々もお体ご自愛下さいね~
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Last updated
2014.11.06 14:43:22
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