カテゴリ:小説
二人の絵画泥棒がメトロポリタン美術館のセザンヌの絵を観ていた。 「兄貴、この林檎や洋なしが旨そうですねぇ!」 「ああ、流石に20世紀の巨匠の絵だ、3900億ドルはするだろうよ」 「オレはこっちの絵の方が好きだなぁ、部屋に飾るんだったら・・」 「この絵を売り飛ばして、タヒチなんぞでバカンスといきましょうや」 「バ、バカンス? 何を考えとるんじゃ、バカモン! 我々は絵画泥棒ではあるが、手本はアルセーヌ・ルパン なんじゃ。 絵を売り飛ばして、自分たちが優雅な贅沢をするためじゃない! 貧困の、今にも飢え死にしそうなものたちの為に、人間の価値よりも高い 絵画を売り飛ばすのだ、犯罪であって犯罪では無い、正義だ、 我々は正義の泥棒なんだ、勘違いするな」 「悪かった、兄貴・・・そうでやんした・・・。ところで、どうやってこれらの 絵を盗み出すんです?」 「それは考えてある。専門家でも見抜くことが難しいくらいの贋作が用意してあるのだ。 レントゲンで撮影してもそっくりになっている。 どちらが本物か分からないくらいだ」 「そうなら何も盗む必要などないじゃないのですか? それを本物だと言って 売ればいいじゃないですか? 兄貴」 「おう、それもそうだな・・・お前は頭がいい!」 「だって、危険を冒して、このメトロポリタン美術館の警備を突破するのは 大変なこどですぜ!」 「泥棒にとって、難関を突破することが何よりの喜びなのだ。 楽して手に入れたモノなど、くそ食らえだ! 」 「ハイ!兄貴、確かにそうです」 「明日、決行だ」 「ハイ、兄貴、明日ですね」 「明日、わたしは、オババ大統領に化けて、このメトロポリタンに来る。 同じ絵をA国の大統領から貰ったのだが、見比べてみたいと訪問するのだ。 寸分違わぬセザンヌの絵をその時すり替える、それはマジシャンの技だ。 いいか、お前は、ボディガードの面を被れ。 他の者たちも準備万端 整っている」 「ボディーガードですか、ハイ兄貴、分かりやんした」 「よし、では明日の4時に会おう!」 そう言って、二人はセザンヌの絵を後にした。 先日観たメトロポリタンで撮影した絵画を使って即興物語にしました。 ちょっとコメディ風に。 それにしても、海外の美術館では写真がOKなのですよ。大抵。日本ではNGですね。 それでは、読んで頂き、ありがとうございました。明日も良い日を~ amazon.co.jp キンドル本 を宜しくお願いします。アマゾンで花村実葉 検索 で。 こちらは日本語の物語で、どちらも癒やし小説となっております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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