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カテゴリ:本・DVD
幡野広志著 『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』 ポプラ社 血液のがんになり、余命3年と宣告された幡野さんが、 患者さんとして感じたこと、考えたこと、会いに行った人たちについて 書いている。 がんが分かった時の自分の反応を振り返って分析している。 周囲の人々に、いちいち対応して、お大事に、と言ってもらうまでの 説明の繰り返しに、疲弊した話。 代替療法や、新興宗教や、怪しい治療法などを親切に勧めてくる知人友人親戚にも うんざりしたと書いている。 いずこのがん患者さんも、似たり寄ったり。 12年前に父をがんで亡くした我が家でも、同様であったことを思い出した。 医療従事者の私でさえ、父の気持ちをどれほどくみ取っていたか、分からない。 新しい治療法を探しまくったし、高価な漢方的なサプリメントも賛成したし、 今となっては反省するばかりだ。 しかし、この本が一番言いたかったのは、 「直系家族」と「拡大家族」の違い。 「直系家族」とは、配偶者、子供、子供の配偶者。 「拡大家族」とは、父、母、兄弟姉妹、親友など。 そして、拡大家族は、縁を切ってもよいのだということ。 「自分たちが望んで生んだ子供なんだから、成人するまで育てる責任がある、という話なら分かる。 でも、子供には親の面倒をみる義務があるだなんて、育ててもらった恩を返せだなんて、おかしいですよね。私たちは、親の老後を世話するために生まれてきたわけじゃない。介護するために育てられたわけじゃない。親の面倒をみるのが嫌なんじゃなくて、それを恩とか義理とかの価値観で縛られるのが嫌なんです。」 この叫びに、胸が締め付けられた。 実家の母(82歳)の面倒を、愚痴一つこぼさず、毎週通ってみてくれる弟。 月に1回も行かない私が、「弟に申し訳ない」と言うと、 「そんなことは、当たり前。あの人(弟)は、大学院まで出したんだから」と言い返す、 母の言葉に、ゾッとするほどの嫌悪感を感じていたことを思い出した。 「ありがたいと、感謝しつつも、 当然なんだよ、なんて言ってはいけないと思うよ」そう答えるのが精一杯だった。 だって、この人とは、分かり合えないと確信したから。 一人で買い物にも行けないのに、 水やりも収穫も、子供の世話にならないとできないほどの野菜を作ることは、 正解なのか? ずっと感じてきた疑問。 しかし、母の生きがいは、畑しかないから、仕方がない、と 弟も言う。 もっと成熟した母であってほしい、尊敬できる大人であってほしい。 死を間近に感じていなくても、自分の存在、終活として、 お金をかけてでも、施設に入るとか、考えてほしいと思うの。 この本を読んで、ますます、弟を早く解放してあげたいと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.07.01 19:09:22
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