サンタ・アガタのドン・アルフォンゾを試す
船は断崖絶壁(?)のソレントの港に着く。次の目的地がサンタ・アガタなので、0.93ユーロの市内バスのチケットを買い、とりあえず駅へ。そこで荷物を置いてソレントの街を見て回ろうと思ったのだが、コインロッカーもなく、荷物預かりの場所も見当たらない(朝早かったので開いていなかっただけかもしれない)。ソレントは世界的に知られた観光地なので、駅で荷物を預けれらないとは想像だにしていなかった。南ドイツのオーバーアマガウは落ち着いた田舎だったので、個人経営らしきカフェで預かってもらったが、さすがに南イタリアのバールでそんなことを頼む気にはなれない。そこで、駅の近くのホテルに入り、ちょっと預かってもらえないかどうか聞いてみた。ところが、答えはすべて「ノー!」。ソレントはすでに過去に来たことがあるし、荷物を引きずりながら街や店を見て回る気にもなれないので、街をウロウロするのは諦めて、サンタ・アガタへ向かうことにした。バス代1.19ユーロ(相変わらず安いな~)。サンタ・アガタにはミシュランの星つきレストラン(当時南イタリアで唯一だった)ドン・アルフォンゾがある。ドン・アルフォンゾはオーベルジュで、宿泊もできる。通された部屋はメゾネットで広々。下がリビング、そして上がベッドルーム。これで部屋代176ユーロ(当時は20,416円)は安い。しかし、リビングに用意された果物が少し腐っていた。オーベルジュのくせに、やれやれだなあ。いつからこのフルーツはそのまま置いてあったんだろう?さて、お楽しみのディナー。さすがに有名レストランだけあってお客はいっぱい。英語圏の人間がほとんどで、その中に日本人の若い女性の2人連れもいた。内装は白を基調とした、モダンなロココ風といった感じ。壁にかかった静物画はいただけなかった。素人の友人に描いてもらったンじゃない? という感じ。ドン・アルフォンゾは雑誌などのメディアにもよく取り上げられていたので楽しみにしていたのだが、ハッキリ言って、味は相当の期待はずれだった。「自家製トマトは絶品」などと日本では宣伝しているが、別に普通。あれなら、バーリの友人の家で食べた「トマト農場の社長の奥さんが手作りしてくれたトマトソース」のほうがよっぽどおいしい。頼んだものがたまたまハズレだった可能性もあるが、一応、プリモ、セコンド、ドルチェ、コースで試してすべてが印象薄だったのは個人的には事実だ。食事のあと外に出たら、自動的(?)にショップに導かれることになっているようで、ショップに入ったら店員の女性の売り込みがスゴかった。う~ん、このドン・アルフォンゾというところ、経営者が相当従業員に対して厳しいとみた。そういえばウエイターもみな、なんとなく萎縮して働いている感じがする。別に失礼だとかサービスが悪いとかいうことではないのだが、みな通りいっぺんでマニュアルどおりに動き、ミスをしないように心がけている感じ。あまり南イタリアという感じがしない。アメリカとか日本のレストランに来たような印象だった。ショップでは「ドン・アルフォンゾのメニュー」という豪華な写真入りの料理本を見せられた。「本になってるぐらい有名なのよ」と言いたかったのかもしれないが、その料理本には、先ほどディナーでMizumizuたちに出されたものとは似ても似つかない美味しそうで手の込んだ料理の写真が満載だった。あのさ~、ホントにこういう料理出しておくれよ。実際にレストランで出してるものと全然違うじゃないか。店員のお姉さんがあまりに必死なので、レモンのリキュールを買ってみた。「これ、レモンのリキュールと書いてけど、リモンチェッロのこと?」「いえ、リモンチェッロはリモンチェッロ、これはリキュール」ん?リモンチェッロって、そもそもレモンを使ったリキュールの一種だと思うんだけど?まあ、でも、このレモンのリキュールはリモンチェッロではないらしい。そのレモンのリキュールは26ユーロ。リモンチェッロの相場と比べたらめちゃ高い。これで単なるリモンチェッロだったら許さんぞ、と思っていたのだが、日本であけてみたら美味しくてビックリ! リモンチェッロも美味しいが、あれはちょっと砂糖の甘みが強すぎる。それとは全然違うほのかな甘みと酸味があり、アルコールもリモンチェッロより強いようだった。ドン・アルフォンゾでの一番のアタリがまさかお土産のレモンのリキュールとは。翌日の朝の食事もほとんど記憶に残っていない。つまり、たいしたことはなかったのだ。夜と違って朝のレストランはえらく寂しかった。そういえば、昨夜のお客にもイタリア人がほとんどいなかったしな。期待はずれのドン・アルフォンゾだったが、部屋は広かったので疲れはとれた。次は、ソレント半島の街、ポジターノ。ポジターノが世界に誇る(?)名ホテル、「イル・サンピエトロ」を予約してある。