ヴィルフランシュで、タクシーの悪辣ぶりにウンザリする
ニースのオバちゃんタクシードライバーで懲りたので、ヴィルフランシュまではバスで行った。 ホテルからバスターミナル(Gare Routie're)まで行き、バスターミナルからマントン行きのバスに乗ってOctroi(ヴィルフランシュのバス停)で下車。2人で計4ユーロで来た。バス停のあるOctroiから海沿いのホテル(Hotel Welcome)までは、直線距離にすれば300メートルほどなのだが、急な坂を下りなければならず、荷物を引きずって歩くのは難しい。なので、直線距離にして300メートル、急カーブの道を走ったときの総距離にしたって500メートルぐらいの間だけ、タクシーに乗ることにした。南仏のタクシーってのは、タクシー溜りに車だけ置いて、ドライバーが長々とどこかに行ってしまっていることも多い。ヴィルフランシュでも、バス停のすぐわきに、メルセデスのタクシーが停まっていたが、ドライバーがいない。しばらく待っていたのだが戻ってこないので、仕方なく近く店に入って別のタクシーを呼んでもらおうとしたところに、人相の悪い男のドライバーが帰って来た。行き先を告げると後ろのトランクを開けてくれた。荷物はソフトケースが2つに、それよりさらに小さなキャリーバックが1つ。キャリーバックをMizumizuがトランクに入れようとすると、車体の一部を指差して、「当たった」みたいなことを言っている。指差してるところを見たが、別にキズをつけたわけでもない。奮発してメルセデスを買ったもんで神経質になってるのか? えらく感じ悪いオッサンだとは思ったが、まぁ、女2人だとこうやってナメる輩は世界中にいっぱいいるし、こっちも別にキズつけてもいないのに謝る必要もないので黙っていた。乗り込んで、走り出したところでメーターを確認しようとしたのだが・・・あれ? メーターがこっちを向いていない。しげしげ見ると、ドライバーがメーターを自分のほうに向けていた(あんなふうに回転するとは知らんかった)。一応2.9ユーロになっている。急な坂をくだったところで、もうホテルの看板が見え、あっという間に到着。んで、Mizumizu+Mizumizu母が降りたら、荷物を降ろしたあと、人相の悪いドライバーったら、「15ユーロ、プリーズ」と言うではないか!はああああ? 15ユーロ!? ほんの数分、乗っただけだぞ。「10ユーロでいいんじゃない?(←冷静に考えれば、10ユーロだって相当高いと思うのだが)」と一応交渉(?)したが、「メーターで10ユーロ。荷物が3つもあるから5ユーロ。だから15ユーロだ」などと言い出す。はあ? メーターがもう10ユーロに上がったって? ありえんわ!と思ってみると、なんとなんと、ドライバーの奴、メーターを自分のほうに向けてこっちが見てない間に、こっそり操作して10ユーロに上げたらしく、赤字数字できっちり10と表示されている。メーターのウラ操作! まるで昔の香港じゃないの!でもって、座席の前に、荷物1.3ユーロ・・・と書いてある紙を指差して、いかにも「規定どおり」というような顔をする悪質ドライバー。1.3ユーロに3をかけたって5ユーロにはならないんだけど、ほかはチップというアタマらしい。Mizumizu+Mizumizu母と抗議したが、譲らないので、仕方なく投げつけるようにしていい値を払うと、「サンキュー、ハバグッデイ」などと急に変に丁寧に挨拶始めたドライバー。こちらはもう顔を見る気もしない悪徳ドライバーを押しのけるようにして、日本語で、「ドロボウ!」と悪態をつき(ついでにツバ吐きのマネでもするかと思ったが、それじゃキム・ヨナだと自制した・笑)、思いっきり怒った態度でホテルに入ろうとしたら・・・「そっちじゃない、向こう」と、ご丁寧に指差すドライバー。悪質ドライバーの常だが、ホテルのまん前ではなく、ちょっと手前につけていたというワケ。声を出せない典型的日本人のMizumizu母も全身で怒りを表現して、つんつん立ち去った。後ろでまだ挨拶してるドライバー。なぜかこういうボッタクリに限って、最後は「丸くおさまったフリ」をしたがるのだ。15ユーロったら、日本円で2000円ですよ。乗ってた時間って、2分? それとも3分?ニースに近づくにつれて、タクシーはこんなになった。遠いカルカッソンヌでは、メーターが6.1ユーロになったら、「6ユーロでいいよ」とドライバーが言ってくれて、ちょうど20セント硬貨があったので、「いえいえ、これをどうぞ」とあげて、「メルシィ」とお互い気持ちよく別れたのだ。エクスアンプロバンスではタクシーを呼ぶと、最初からメーターが押された状態で来たが、それでも街中だったら8ユーロぐらい。ちょっと遠くのTGV駅行きの長距離バス停まで、街はずれのホテルから行ってもらってメーターで14ユーロちょっと。それを切り上げて15ユーロ払った。もちろんそのときは荷物代などとは言われなかった。ニース近郊のカーニュのルノワールの家から、(バスの便が悪いので)タクシーを呼んで、そのとき初めて、「10ユーロでいい?」と聞かれた。同じバス停から行きはタクシー8ユーロで来たが、呼んでもらうのだし、2ユーロぐらいの上乗せは別にいいと思い、OKした。このくらいまでは、特に気分が悪いということはなかったのだ。ところがニースに入ったら、これ。1回乗せて10ユーロぐらい欲しいという気持ちはわかるが、それなら何のためにメーターがあるのやら。ニースの遠回り+2ユーロ切り上げのオバさんで怒っていたら、ヴィルフランシュのベンツ野郎は、こそこそメーターを隠し、操作までして「正当性を偽装」してきた。どこまで外国人観光客をバカにしているのやら。ケチなフランス人(というか、たいがいは豊かでないのだ。だから極力安くすませようとする)は、はなっからタクシーなんかには乗らず、バスを活用する。タクシーのお客は当然、トラムやバスの活用方法を知らず、言葉も地理もわからない外国人観光客が中心。どうせ一度限りの客だし、ニースまで来て遊べるくらい金持ちなのだから、多少吹っかけたってどうってことないだろう(と、タクシードライバーはおそらく思っている)。こうやってタクシーは評判を落とし、ますます客が乗らなくなる。客が減るから、たまの客にはここぞとばかり吹っかけるようになる。自分たちで自分たちの首をしめているとも知らずに。ニースから隣町のヴィルフランシュまで2人で500円ちょいで来たのに、タクシーにちょっと乗ったら、いきなり「荷物代プラスアルファ」などと言って2000円取られる。これが観光大国フランスの実態だ。南仏だけなのか、全国的にそうなのかは知らないが、荷物預けのない駅が多いなど、外国人の個人旅行客には実に不親切。街中でトイレが少ないのは、皆さんもうご承知だと思う。そのうえタクシーでの、メーター無用の「ぼったくり」。日本人がだんだん行かなくなるのも、当然だろう。しかも、バス(ニースはトラムもだが)の料金支払いシステムが、実にいい加減。ハッキリ言って、タダ乗りし放題だと思う。バスの切符は運転手から買えるのだが、そのあと機械に突っ込んでバリデーション(刻印)しなければいけない。この刻印をしなければ、買った切符は次でも使える。たいてい運転手が、「バリデーションして」と言うのだが、混んでいると目が届かなくなる。切符がなくても乗れてしまうのはいうまでもない。たぶん検札官が乗ってきて乗客の切符をチェックする制度なのだろうけど、イタリアでは頻繁に来た検札官、ニースおよびその近郊では一度も来なかった。これでは事実上の「放任」だと思う。バスやトラムはたった1ユーロだし、その不正を発見するために検札回数を増やしたら、人を使う分おそらくそっちのほうがコスト高になるのだろうと思う。しかし、それは「ちゃんと払っている人間」に対して不公平ではないか。こうした「アンフェアなお目こぼし」は、日本人には非常に気になるのだ。モノを知らない観光客は水にしろ、タクシーにしろ、やたらめったら割高な料金を払わなければいけない「仕組み」になっていることも含めて。フランスと比べると、日本は実に「公平さ」にこだわる国だということがよくわかる。それが結果として本当に皆に公平になっているか、人にやさしくなっているかどうかはともかくとして。たとえば日本のホテルでは、チェックインの前には客をなにがなんでも部屋に入れないところが多い。チェックインが「3時」という規則だったら、その規則は誰に対しても公平に適用される。規定の時前に来た客だけ先に入れてしまったら、「不公平」になるからだ。ヨーロッパでは、そういうホテルもあるが、部屋の掃除が出来ていれば、たいていは早い時間に来ても入れてくれる。疲れている旅行者にはそのほうが「やさしい」し、荷物をいったんフロントに預けたりしなくてすむ分、ホテルのスタッフにとっても「仕事が減る」というメリットもある。さてさて・・・帰りは鉄道を利用するつもりだったので、ヴィルフランシュのホテルでタクシー代について聞いたら、「鉄道駅まで500メートルぐらいで、歩いても5分。タクシー呼んだらたぶん10ユーロから。荷物によっては15ユーロかかる」と言われた。長距離バスのバス停までの道は坂なので、歩くのは大変だが、鉄道駅までは平坦な道。ただ、「狭い歩道」「段差」「石畳」の3点セットで荷物は引きずりにくい。だが、また2000円もふんだくられたうえ、鉄道駅のホームに上がる長く急な階段(これが荷物を運搬する個人客のヴィルフランシュ鉄道駅での最大の難所wwwになっている。エレベータなんて気の利いたものはない)は自分たちで荷物を上げなければいけなくなりそうだし、シニア世代のMizumizu母が、タクシー運転手の悪辣ぶりにいたく立腹して、「歩く!」と宣言しているので、ニース方面へ向かう帰りは、ホテルから荷物を引きずって歩いた。手ぶらなら5分だという道、20分ぐらいかかったのだが。ヴィルフランシュ駅へ向かう道。ちぐはぐな舗装の歩道は、この先で途切れ、やがてまたさらに狭くなって始まるのだが、いちいちある段差が荷物をひきずる女の身にはきつい。最後にして最大の難所(笑)、ヴィルフランシュ駅のホームへの階段。 こういう悪質なタクシーを避けるためには、どうしたらいいだろう?残念ながら、フランス語のできない、いたいけな日本人観光客には事前に防ぐ手立てはないと思う。メーターを使ったって、ニースの街中は、いくらでも遠回りができる。やはり「タクシーは、なるたけ使わない」しか手はない。だからこそ、事前に情報をゲットして自己防衛しよう。 (明日簡単な主なバス・トラムの使い方を説明します)