あなごめし うえの(広島県・宮島口)
世界遺産にも登録され、いまや外国人観光客も押し寄せる宮島。その宮島にわたる船の発着場である宮島口に、行列のできる店がある。あなごめし うえの。さすがにここには、欧米人観光客の姿はない。ある休日の朝、クルマで宮島口をうろうろしていたMizumizu+Mizumiu連れ合い。午前の早い時間だったが、駐車場はどこもいっぱいで、さてどうしたものかと信号待ちをしつつ、ちょっと途方にくれていると、「駐車場あります」と書いた板をもったおじさんが窓越しに、「こっちにあるよ」と営業をかけてきた。大丈夫か? と思いつつも、自転車にまたがって手招きする、どこからどうみても善良なる一市民のおじさんのあとをついていくと、月極とおぼしき一般の駐車場に案内された。どうやら、自分で借りているものを、こういう休日だけ観光客に貸すらしい(注:あくまで推測です)。値段も周囲の駐車場と変わらない値段を伝えられ、特に時間制限もなく、クルマを置かせてもらうことに。駐車場に向かいつつクルマで通りかかったときは、それほどではなかった「あなごめし うえの」の行列は、徒歩で戻ってみると長くのびていた。隣接するイベントスペースでたまたまやっていたパッチワーク展など見ながら、ときおり座って待つことができた。だいたい50分ぐらい。満席の店内で食べた「あなごめし」、つまりは穴子丼は、東京では味わえない逸品。ふわっとしながら、密度のある身の具合といい、上品な味付けのタレといい、東京でなんとなく心にあった「うなぎ>穴子」というランク付けがくつがえる感があった。場所が場所だけに一見さんも多い、混んでいるので落ち着いてゆっくりというわけにもいかない。それでも宮島に行ったら、また食べてみたい名物だ。