食べればわかるしっかりした仕事――開運堂(松本)の真味糖
松本に行ったら、桃太楼で栗のお菓子を買って…と、しっかりくだんの店の定休日と営業時間をチェックしておいたMizumizu。なにせ閉店5分前にかけこもうとして、閉まっていた苦い体験があるから(こちらの記事参照)。だが、なんと…!行ってみたら臨時休業の張り紙が!がっかり… つくづくこことは縁がないらしい。隣の土産物店でなんとな~く聞いてみたら、「ああ、身内に不幸があったらしいですよ」とのこと。そ、そうですか…しかたなく、というわけでもないのだが、店構えは非常にきれいで高級感のある店に寄ってみた。その名も開運堂。実にわかりやすい。いろいろなお菓子があったが、どれがどんな味やらわからない。ウロウロ見てまわった末に選んだのが、「真味糖」という、細長い落雁のような和菓子だった。「真の糖の味」とも読める非常にストレートな名前なので、単に砂糖を固めて、そこに山国らしく胡桃を入れたものだろう…ぐらいに思っていた。ただ、甘いだけのよくある味だろう、と。しか~し!その予想はいい意味で裏切られたのだ。和風タッフィー(トッフィー)と説明されていたが、タッフィーのようにベタつかない。ヌガーのようでもありながら、どこかさっくりしている摩訶不思議な歯ごたえなのだ。材料の寒天に秘密があるのかもしれない。もちろん甘いが、単なる砂糖の甘さではない。蜂蜜を使っているせいか、甘味にコクがある。なのに、しつこくない。実に摩訶不思議。もちろん胡桃もしっかり主張してくる。フレッシュなものを使っているのか、野性的だが後に残る嫌味なクセがない。胡桃を散らした白雪のような肌の佇まいもいい。これ、なかなか凄いお菓子では? こんな小さな長方形だが、しっかりした材料の吟味と選択、そして味のセンスが光っている。胡桃と寒天という地方色豊かな素材から、タッフィーに通じるモダンな風味を作り上げる。そう言ってしまえば簡単だが、この独創性は特筆すべきもの。どこにでもありそうで、なかなかない味。そんな言い方がぴったりくる。いや、恐れ入りました。松本はやはり地味に凄い街だ。砂糖と寒天、蜂蜜にくるみのすてきなハーモニー♪信州を代表する銘菓です。開運堂 真味糖(しんみとう)開運堂のホームページをあとで見たら、真味糖はもともとは生菓子なのだとか。Mizumizuが買ったのは干菓子だったが、次は生を食べてみたい。