なぜラクマはメルカリに勝てないのか
楽天ブログを続けていることからもお察しいただけると思うが、Mizumizuは楽天ユーザーだ。だが、このごろめっきり楽天で買い物をする回数が減っている。昔、楽天をよく利用していたころに書いた楽天のメリットは、「ポイントの使い勝手の良さ」だった。そのメリットが時間とともに薄れてきたのが、楽天で買い物をしなくなった最大の理由だ。他社も楽天に負けないくらい「使い勝手の良い」ポイント制度を作ってきている。それと、楽天で買うのがさほど「安くない」ことも大きい。値段だけだったらたいていアマゾンで買う方が安い。店舗販売もさすがに、ネット通販の価格付けを学んできているから、以前のような価格差がなくなってきた。ネット上にモールを作り、ポイントで顧客を囲い込み、成長してきた「BtoCにおける楽天モデル」はここにきて、かなり行き詰っている感がある。そして時代はCtoCという新たな潮流ができている。楽天のCtoC戦略の柱になるアプリが「ラクマ」だろう。「販売手数料無料」を大々的にアピールし、先行するメルカリを追撃する…ハズだったが、現実には、あまりうまくいっているとは思えない。Mizumizuも一年弱前からCtoCに足を踏み入れた。始めようかと思ったきっかけは、買って1年もたたないうちに不要になってしまった電化製品を処分する必要に迫られたからだ。リサイクルショップに持っていっても二束三文だし、「もしかして、そのうちにまた使うかな」といったんはロフトに上げたものの、こういうことをすると、ロフトにおきっぱなしのまま、何年も経ってしまい、結局は捨てるハメになるのが、ほぼ見えている。「いつかは…」と思ってしまいこんだものの、そのいつかが全然訪れずに不用品が溜まっていく一方。だったら、「買って1年もたたない」うちに、少しでも高く売ったほうがいい。そう割り切ってダウンロードしたアプリが「メルカリ」と「フリル(現在はラクマに統合)」だった。フリルは当時から販売手数料なし、メルカリは販売手数料10%。結果は…メルカリのほうが早く売れたのだ。そこでもう1つ出してみた。同じくメルカリとフリルに。結果は…また同じだった。メルカリのほうが早く売れた。昨今テレビCMでさかんに「売れたものの半分以上は24時間以内に売れている」と宣伝しているメルカリだが、そこまで早くは売れなかった。で、少しずつ、Mizumizuにとってはもう不要だが、まだ十分使えるものをヒマヒマに出すようになった。メルカリだけに。なせフリルに出すのをやめたのか? まぁ、単純な話、2か所に同じものを出品するのが面倒だったからだ。出品の手間そのものは同じことをするだけなので、それほど面倒ではないが、一方で売れたらすぐに一方を販売停止にしないといけないし、売れたほうの発送の準備などもある。そういう手間まで考えると面倒だし、メルカリのほうが早く売れると分かってるから、フリルに出さなくなったという単純な話だ。で、メルカリで出品し始めると、メルカリ独自の送料の設定なども分かってくるし、メルカリのほうが出品数が圧倒的なので、CtoC市場でのモノの「相場」も調べやすい。、送料の設定は微妙に違い、フリルもメルカリも大差ないといえば大差ないのだが、安いモノを売った場合はメルカリのほうが若干送料は安く済む(今のラクマの設定している送料は、知らない)。1年弱の時間が流れて、フリルはラクマに統合され、今は売上申請までの期間や1万以下の場合の手数料などを考えても、出品する側にとってはメルカリと比べて、むしろ有利に思えるから、メルカリをやめてラクマに引っ越そうかな、と思わないでもない。思わないでもないのだが、やらない理由は?これまた単純な話、出品数(つまりユーザー)の少なさだ。出品数が少ないから、欲しいと思ったものも、あまりない。たとえばだが、「シーアイランドコットン」の「バスタオル」が欲しいと思って(だいたいタオル類は、いただきものを安く出品している人が多いので、高品質なタオルは、買い手にとってはねらい目商品の1つだ)、検索してみる。メルカリだと何点かヒットしてくる。ラクマだとゼロ。つまり、メルカリは人が多いから、さらに人が集まり、ラクマは人が少ないから、人が集まりにくい、というだけの差。「だけの」だが、この差が案外大きく、なかなか埋まらない。いったんメルカリに慣れたら、「販売手数料10%」の違いだけだと、なかなかラクマに引っ越そうとは思わないのだ。もともと何万もするようなものは、よっぽど、例えば20万のブランド品を2万で出すとか、そのくらい買い手に有利でなければ売れないのだ。ラクマは高額商品を出してもらいたいのだろうが、CtoCをやるようなマメなユーザー(買い手とのやりとり、梱包などは、ハッキリいってかなり面倒だ)は、もともとちょこちょこしたモノでも、売れればいいな、ぐらいの庶民が多いし、使うほうも個人売買であまり高額なものは買いたくないから、数百円とか数千円レベルの取引が多いのだ。ラクマ側は「メルカリより有利にしてやってるぜ」と思っているかもしれない。「販売手数料ゼロ」は思い切った戦略だと思っているかもしれない。だが、売り手にとっては「早く売れるほうがいい」し、買い手にとっては「たくさん選択肢があるほうがいい」。メルカリを本気で「追撃」するつもりなら、もっと思い切ったやり方で人を集めなければダメだ。ラクマの使い方を見ても、結構細かい決まりが多く(たとえば売上金を使っての購入に制限があるなど)、読んでると面倒でやる気がなえてしまう。いったん人が集まって囲い込みができれば、多少システムの、ユーザーにとっての「改悪」があっても、人は逃げない。メルカリを使ってはいるが、メルカリに満足しているかというと、実はMizumizuはそうでもない。ユーザー同士の自由な取引に任せっぱなしで、メルカリ事務局に問い合わせをしても返事がなかなか来ないとか、厚さが5センチ以上あるようなワレモノをメルカリ便で送ろうと思っても、実は1000円以上の値付けでないとダメで、それはこっそりQAの分かりにくいところに書いてあり、知らないまま売ってしまうと、最後の土壇場、発送の段階にならないと気付かないとか、不親切な落とし穴も多い。企業体として見ても、送料にまで買い手任せで手数料10%を取り(送料を買い手持ちにしたら売れ行きがガタンと落ちるので、買い手が売値に含めて出品せざるを得なくなる)、面倒な梱包も、「(買い手からの評価が落ちるので)丁寧に梱包しましょう」などと売り手を「教育」し、自分たちは、やれアメリカ進出だの、上場するのしないのと、大風呂敷を広げている株式会社メルカリよりも、これまでの実績とユーザーとしての経験から楽天株式会社のほうが、まだ信頼できる。ラクマの販売手数料0円は魅力的だし、もっと人が集まればメルカリから引っ越したいな、と思っている潜在的なユーザーは多いはず。思ってはいても、Mizumizuのように、検索してヒットしてくる数に少なさに、「こりゃ引っ越しても売れないな、ダメだ」と様子見しているユーザーも。楽天にはもうちょっと踏ん張って、頑張ってほしいところ。