有馬温泉はやはり天下の名湯だった
有馬温泉には、長いこと縁がなかった。近くの神戸には何度か観光で行ったことがあるのだが。だが、音に聞く天下の名湯。今回は東京ー山口県のロングドライブの中継地として有馬温泉の温泉旅館を選んでみた。赤みを帯びた泥っぽい濁り湯を金泉、透明な湯を銀泉と有馬温泉では呼んでいて、今回はあくまで温泉重視で、金泉・銀泉の両方を自家源泉として持っている「銀水荘 兆楽」を宿に選んだ。結論として正解だった。温泉三昧で過ごすつもりなら、最適の宿。温泉街からは少し距離があるが、随時送迎をしてもらえる。宿については次のエントリーに譲るとして、有馬温泉の温泉街についての印象を少し。一言で言えば…すんごくこじんまりしてる!さっと見るだけなら30分もあれば回れてしまう。もっと率直に言えば…つまんない!メインの通りの目立つ場所につぶれた店があるのも痛いし、午後5時ですでに閉めてしまっている店もある。お土産屋はさすがに開いているが、炭酸せんべいと山椒ばっかり。炭酸せんべいはあまりにありふれている。有馬温泉に来たことのないMizumizuでさえ、何度もお土産にいただき、すでに飽きている。おまけに使われているのは炭酸でもなく、温泉と何も関係ない重曹だし。山椒はうなぎのかば焼きには使うが、別の食べ方をしようと思ったこともなく、花山椒の佃煮と言われても、そもそも佃煮が個人的にあまり好きではないので、あえてチャレンジしようとも思わない。竹細工の店もあるが、嵩張るものが多く、旅行者には不向き。モダンに改装しておしゃれっぽく頑張ってる店もあるのだが、おしゃれな店ならやっぱり神戸で入りたい。有名な有馬温泉ということで、日帰りで神戸から来たらしい外国人が結構いたのだが、ここはやはり温泉旅館に泊まってナンボのところだと、温泉街を歩いてつくづく思った。しかし、温泉街の宿に泊まっても、これじゃ夜のそぞろ歩きの楽しみは、ほぼないだろう。ひたすら温泉に浸かるのみ? せっかく情緒のある坂や小径のある街なのに。古い温泉街のありがちな雰囲気から、脱却しようとしてうまく脱却しきれないまま、それでも人は来るので何とかやっているが、全体的な「寂れ」を隠せない、そんな感じ。まちづくりを再考しなければ、ますます寂れそうだ。日本三古湯の1つで、実際に浸かってみたらホントに良い温泉だった。これほどの「財産」をもちながら、温泉街がコレじゃ、もったいなさすぎる。もっとオンリーワンのモノを売る店が増えなければ、人々は素通りするだけだ。例えば埼玉県の川越などは、「小江戸」と呼ばれる狭いエリアに、週末には観光客が押し寄せる。食べ歩きの店は長蛇の列になっているところも多い。川越には、行ってみて、その賑わいに驚いた。有馬には、来てみて、逆の意味で驚いた。人々を引き寄せるまちづくり、川越にできて有馬にできないわけがないと思うのだが。とはいえ、有馬温泉という稀有な温泉を持つ町には、やはりオンリーワンの風景も。温泉街でもっとも印象的だった場所。流れ出てくる「金泉」で、神社の石段が赤茶に染まっていた。こうした凄いモノがあるのだから、温泉街の店がもうちょっと魅力があれば…と残念で仕方なかった。