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テーマ:今日の出来事(292993)
カテゴリ:Essay
27日の夕方のニュースで、住民が集団回収した古紙を勝手に持ち去る悪質な業者の実態とそれに対する自治体の取り組みを紹介していた。古紙持ち去りについては以前から問題が指摘されていた。かつて古紙がタダ同然だったころの回収は自治体に押し付けられ、だれも見向きもしなかった。ところが古紙の値段が上がり、価値が出てくると、自治体の契約業者の回収が来る前に勝手に頂いてフトコロを肥やす不逞の輩が現れた。
番組で紹介されていたのは「杉並区のある町内会」だった。そこでは住民が協力しあって古紙を集めている。そうやって集団回収した古紙を直接契約業者へ引き渡すことで報奨金が支払われるシステムがあり、住民はそれを利用して、報奨金を旅行などの親睦にあててきたという。10世帯以上を1つの団体として登録することが条件で、当然古紙はかなりたくさん集まる。その「たくさん集まる」ところを狙われることから、杉並区では、10世帯以上という規定を2世帯にまで緩和する方針だという。せっかく皆で協力して集めた古紙をトラックで勝手に持ち去られてはたまったものではない。そうした住民の気持ちに区が応え、自分勝手な業者に対抗姿勢を打ち出したかたちだ。杉並区というのは、こうした動きがなかり素早い。 別に住民の身びいきで言っているわけではなく、一市民として肌で感じるものがあるのだ。たとえば、杉並を襲った水害のあと、大量に出た粗大ゴミを区はわりあい早く、分別にこだわらずに回収してくれた。その後水害対策は強化され、大雨がふると消防車や警察車両が見回っている。 また、空き巣が多いということでも知られていたが、ミニパトが頻繁に巡回するなど取り組みを強化している。道で巡回ミニパトに遭うとなんとなくほっとする。 さて、古紙回収の話に戻すが、テレビでは、被害を受けた住民が「古紙持ち去り」現場で、そのときの様子を証言していた。トラックで来た盗人は、せっかく住民が集めた古紙を勝手に失敬し、しかも注意をした住民に罵声を浴びせて去っていったという。 …と語る住民の立っている場所をみて心底驚いた。なんと、Mizumizuが荻窪に引っ越す前に住んでいた賃貸マンションの前じゃないか! 古紙が持ち去られたという集積所(実際は空き地なのだが)もバッチリ見覚えがある。毎日、マンションに入る前に通っていたからだ。 同時に、長らくの謎が解けた気がした。というのは、この住民による集団回収、かなり目立っていたからだ。どのくらいの頻度でその活動が行われていたか、細かく観察していたわけではなく、賃貸マンションの住民だったMizumizuはこの活動に関わったこともなく、声をかけられたこともない。だが、ほぼ決まったメンツで行われるこの古紙回収活動は、本当に真剣、かつ町内会レベルとしては相当に大掛かりなもので、毎回マンション前の空き地には、近所の「石屋さん」の軽トラで運ばれた大量の古紙が束ねられ、うず高く積まれていた。本当に大量の古紙だった。あれを一時に持ち去られたら、それはアタマにくるだろう。また逆に、盗むほうとしたら絶好のターゲットだっただろう。 その賃貸マンションに住んでいた当時は、集団回収することで「報奨金」が支払われるということは知らなかったから、住民(明らかに住民だった)が、どうしてここまで熱心かつ一致団結して大量の古紙を集めているのか不思議だった。そして、正直に言わせてもらえば、自分の住んでいるマンションの前の空き地に一定の近隣住民が集まり、狭い公道を何度も軽トラが紙の束を積んで行き来するのがうるさくもあり、多少不気味でもあった。 こうしたネガティブな印象をもったのには、実はそれ以前の裏の事情もある。その空き地、マンション住民にとっては実に迷惑な土地だったのだ。その土地は家一軒建てるにも狭いようないびつな形のまま公道に面している。だが、それがあるために公道からマンションへ入る道がちょうど旗竿の竿のように細くなっているのだ。しかも、その土地、マンションへ至る小道との境にそって、鉄パイプで柵が作ってある。この柵のために、私道はますます使いにくくなっている。 公道からみると、その土地の向こうにちょうどマンションの駐車場がある。ゆうに15台は置ける広い駐車場。ところが、そこに至るまでの道が狭く(はかってみたら2.5メートルだった)、しかも柵が境界線を主張し、かつ小道の反対側には一段高くなった花壇(もちろんこの花壇もマンションの土地ではない)があるため、実際の幅よりずっと感覚的には狭い。だから、せっかく広い駐車場があるのに、Mizumizuが入居したときは、クルマは小さな車種が数台借りているだけの状況だった。 不動産屋がいうには、マンションが建つ前はこの鉄パイプ製の柵はなかったという。だから、マンションの大家も不動産屋も、道は狭いには狭いが、クルマがとおれないほどではなく、駐車場はもっと埋まると思っていたらしい。「地主同士で何かあるらしいよ」という不動産屋の言葉を聞くまでもなく、鉄パイプと、パイプとパイプをつなぐゴツいビスを見れば、この柵が嫌がらせのために作られたことは明らかだ。柵は公道と「旗竿の竿」の入り口のところでは、ことさら土地の輪郭にそって境界ギリギリにたてられ、ほとんど鋭角に交差している。だが、公道に面したそのほかの大部分は柵はない。だから軽トラがバックから突っ込んで大量の紙の束をそこに置くこともできるわけだ。 クルマが必需品のライフスタイルをもつMizumizuには結構困った問題だった。メジャーではかった「旗竿の竿」は幅2.5メートル。これなら何とか大丈夫だろうと入居したのだが、現実は違った。毎日その柵と柵から飛び出たたくさんのビスに当てやしないかとヒヤヒヤしながらクルマを出さなければならない。 実はMizumizu入居後、その駐車場はかなりクルマが増えた。あとから入居した人に聞いたところでは、不動産屋が調子よく、私道の狭さを心配する見込み入居客に対して、「大丈夫ですよ! ホラ、ベンツも停まっているでしょ!」とMizumizu車を指して太鼓判(?)を押したらしい。だが、みんな通ってみて大変さに気づくのだ。実際、明らかにその柵でこすったらしいクルマも少なくとも2台は見た。私道に入る前に1人降りてドライバー役を誘導している姿も見かけた。 そして、Mizumizuにも「不運」はある日突然起こった。 「旗竿の竿」を抜けて公道にクルマの鼻先が出たところで、右前方に見かけないクルマが停まっているのに気づく。そちらに注意を取られている間に、ゴツッと後方でイヤな音。「あ、柵に当たった」と思った。そこでバックすればまだよかったのだろう。だが、ちょっとアテただけだと思って、クルマを前方に動かした。するとまたイヤなコスり音。道をとおりかかったおばさんが一瞬立ちすくんでこちらを見たではないか。 クルマを降りて確認すると、後方にけっこうなキズがある。「あーあ」と思い、ディーラーに直行。ただ、着くまでは「まあ、3~4万かなぁ。もしかしたら7~8万いっちゃうかも」という程度の心づもりだった。ディーラーに到着してメカに話して、コーヒーなど飲みながら見積を待っていた。すると、担当の営業マンが青い顔をして走りよってくる。 「いったい、どこにぶつけたんですか?」と、営業マン。 「は? 家の前の柵にあてたんですけど…」と答えると、 「ビスか何かありませんでしたか? ずいぶんえぐれてしまっているんですけど」 あてた――どころかボティパネルをえぐってしまうキズだったというのだ。そして後日送られてきた修理の見積代金は、なんと「40万」だった!!!! 長らく使っていなかった保険を初めて使った。それもこれも、みんなあの土地の地主の意地悪な柵のせいだ。Mizumizuは深く恨んだ。もちろん、それが単なる逆恨みであることは否定しようがない。 柵があることは初めからわかっていた。完全なる自損事故で、自分たちの不注意が原因。一瞬別のほうに気を取られたのがいけなかったのだ。だが、自分の責任ではなく「柵のせいだ」としか思えないからこそ、まさに「逆恨み」なのだ。 あの柵が嫌がらせ以外何の役にたつのだろう。マンション自体はなかなかよい建築で、東京都の優良賃貸住宅にも指定されている。そのマンションの広い駐車場がガラガラなのをみて、「柵主」は暗い快感に酔ったのだろうか? もちろん、自分の土地に何をたてようと所有者の自由だ。柵を作ってクルマを入れにくくしたということは、あの「旗竿の竿」の横に住んでいるのが所有者なのだろうか? 自分の家の前をマンションの住民のクルマがとおるのが嫌だったのだろうか? <明日に続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.29 01:08:27
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