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テーマ:高級ホテル・高級旅館(34)
カテゴリ:Travel
こちらがテラス。ナポリのサンタ・キアーラで座ると怒られたマヨルカ焼きのベンチだが、ここでは誰はばかることもなく、ゆったりできる。黄色いクッションつきだ。眼下の蒼い海とし補色の関係になっているではないか。海を隔てて、崖にへばりつくようにして広がっているポジターノの街も見える。 このテラスでオレンジのスプレムータを頼んだら、付け合せにオリーブが出てきて、それがまたフレッシュで絶品だった。ふつうMizumizuはオリーブを好んで食べることはない。だが、ここのオリーブは、瓶詰めのオリーブとは似て非なるものだった。ウエイターに聞いたら自家製だという。 夜はここでディナーを取った。だが、レストランで聞こえてくる挨拶は、9割がた「グッイ~ブニン~」だった。美しいイタリアの夜の挨拶は、やはり「Buona sera」でしょう。少しは外国語を覚えたらどうだね、アメリカ人くん。そうすれば人の考え方というのはいろいろで、『紅の豚』のせりふじゃないけど、人生はキミらが考えてるほど単純じゃないとわかるだろう。 ともあれ、アメリカ人だらけのイタリアのレストランで美味しい物を食べた記憶がない。残念ながら、「イル・サンピエトロ」のディナーも「並」を出るものではなかった。レストランのテーブルにはブーゲンビリアと色をそろえた、ピンクのクロスがかかり、照明を落としてキャンドルをつけ、生バンドが(なぜか)ジャズを演奏している。非常にムードはあるのだが、窓の外は何も見えない。漁火があるわけでもないし、海岸線に街がのびているわけでもないので、ただの暗い空間が広がっているだけだ。昼間のほうが絶景を楽しめる。 結局ソレント半島では、アマルフィの「ホテル・ルナ」の食事がよかっただけだった。もちろん、ドン・アルフォンゾやこのサンピエトロをふくめ、ソレント半島での食事がまずかったわけではない。それなりなのだけれど、シェフの腕がぬきんでていると感じられたのがホテル・ルナだけだったということだ。それだって、今はわからない。ホテル・ルナだってシェフはもう替わったかもしれない。そこそこ美味しいものというのはいくらでもあるが、「頭ひとつ抜けた感じ」のものはなかなかない。 ちょっとがっかりしながら暗いテラスに出る。すると、強い花の香りが地面から漂ってくるのに気づいた。昼間もしていたのだろうけど、明るいうちは、あまりにいろいろな情報が目から入ってきて、気づかなかった。南国の香り。シチリアでもたしかこの花のにおいをさかんに嗅いだ記憶がある。そして、シチリアではよくお菓子の香料にこれが使われていた。地面に這いつくばるように咲いている花だ。なんという花だろう? 色は赤っぽくて、朝顔を小さくしたような感じ。残念ながら名前はわからない。 テラスをとおって、プライベートビーチのほうまでおりてみた。昼間はこんな感じで、宿泊客がくつろいでいる。 夜はひとっこひとりいない。下におりると波の音が強くなった。プライベートビーチのすぐ上に、昼間は船着場とバールになっている、ちょっと岸壁が「くれて」いるところがある(写真でいうと、海に向かって左側。手前の草むらの下あたり)。そこにぶらぶら足を踏み入れたとき、いきなり“岸壁のほうから”大きな波の音がした。 <明日に続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.04 05:12:07
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