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カテゴリ:Travel
ホテル「イル・サンピエトロ」はポジターノの街とは少し離れた場所にあるので、無料の送迎バスが出ている。ホテルはポジターノ~アマルフィをつなぐ道路に面しており、急カーブの一番てっぺんにある。道路からは急カーブの「先端」に広がっている駐車場ぐらいしか見えない。
送迎バスを運転するのは、その駐車場でバレット役もやっている初老の男性だった。コイツが、どうも態度が悪い。アメリカ人とおぼしき宿泊客が同乗していたのだが、クルマが着いたところで、「ポジターノの街はこっち?」と聞いたところ、怒ったように「あっちだ」と顎をしゃくるように答えた。どっちだがわからない言い方だ。アメリカ人は黙ってクルマをおり、Mizumizuたちも続いた。ポジターノは道路下の崖地にへばりつくようにしてある小さな街。道はアマルフィより狭いかもしれない。街は観光地そのもので、おみやげ物屋ばかり。どこで作ってるのかわからないような安っぽいものが並んでいるのは、日本の観光地同様だ。ヨーロッパ中世の街の雰囲気や建築を見るという意味でなら、アマルフィのほうがいいかもしれない。 それでも、レモンをモチーフにしたこうした陶器はいかにもここらあたりの雰囲気がある。 ブルーの地にレモンを絵付けしたすエスプレッソ用のカップを買った。これは今、自宅で大活躍している。う~ん、もっと買っておけばよかった。当時はユーロも今よりずっと安かったのだ(1ユーロ=120円)。 現在のMizumizu邸はリビング&ダイニング、それにキッチンも黄色のファブリックで統一されているから、レモン柄の小物はぴったりだ。 ちょっと異色の工房も見つけた。Umberto Carroという窯。ブルー、白、黄色ばかりのこのあたりの陶器とは一線を画す色使い。そして、絵付けの技術も他の陶器に比べて高い。 洋ナシをモチーフにしている。線の描き方は日本人の絵付師の高い技術にはもちろん及ばないが、ちょっとざらっとした質感の絵付けは独特のムードがあり、デザインもかわいい。この「ウンベルト・カッロ」はポジターノでも売ってる店が限られていて、専売店が1つか2つあるだけだった。 こちらはエプロン。大胆なレモン柄に惹かれて買ったのだが、なんと、ロゴの部分にアイロンを当てたら色が落ちてしまった! 写真では「N」のあたり。なんつー安づくり。友達のお土産にも買ったのに(ゴメンね! Mariちゃん)。以来、エプロンなのに、あまり洗濯せずに使っている。 さて、イル・サンピエトロをお昼にチェックアウトし、ランチなどして時間をつぶし、アマルフィ経由で、サレルノ、そしてローマに帰る計画だった。ローマでは夜7時半に友達とレストランで会う約束がある。 帰路の計画もバッチリできている。 13:20にホテルの目の前にある停留所からバスでアマルフィへ。アマルフィ行きのバスは本数が少ない。1日に3-4本程度。だが、バスの接続自体はとてもいい。 14時にアマルフィに着いて、そこで乗り換え。14:10のバスでサレルノへ。15:20にサレルノについて、16:18の電車でローマへ。サレルノからローマ行きの切符は買っていないが、いかなイタリアとはいえ、1時間弱あれば買えるだろう(まあ、1度ローマのテルミニで切符買うのに1時間かかったことはあるけど、サレルノのような地方都市でそれはあるまい)。ローマまでは大体2時間半だ。 午後1時に荷物をもって道路に面した駐車場にでると、なんと! サンタ・アガタからここまで乗せてもらったタクシーの運ちゃんがいるではないか! 「どうしてここに?」 「キミらを乗せてきたときに、別のお客さんから頼まれてね。サレルノまで行くんだ」 なんと、Mizumizuたちをおろしたあと、ちゃっかり別のお客さんをゲットしたらしい。やるなあ~。ホテルには当然タクシーのサービスがあるが、だいたいは割高な設定だ。ホテル設定の料金より多少安い値段で交渉すれば、頼んでくるお客さんはいるだろう。 「ところで、ここの料理はどうだった?」 「それが、あんまり… 雰囲気はよかったから、場所代ね」 「ホテルの食事はよくないよ。今度来たら眺めのいいレストランに案内するから。魚がおいしいんだよ」 そう気軽に言われても(笑)。次回来れるのはいつの日やら… 「ところで、今日はどうするの」 「私たちもサレルノからローマに帰るの。サレルノまではバスで」 「バスではチケット買えないよ。もう買った?」 「ポジターノで買っておいた」 1.19ユーロのアマルフィ行きのチケットを見せる。そこへ、タクシーを予約したらしいお客さんがやってきた。 「じゃ、またすぐに戻ってきてよ。次のバカンスにでも」 と握手して、タクシーの運ちゃんと別れる。 もしかして、この運ちゃんは、Mizumizuがイタリア在住の日本人だと思っていたのかも。日本からそうそうソレント半島にバカンスには行けんのですが…(苦笑)。 Mizumizuたちはバスを待つ。しかし、バス停がどこなのか、ハッキリわからない。ポジターノ行きの路線は山側になるので、そこには崖に「Fermata(停留所)」のプレートが横に差し込まれている。ホテルの駐車場からは10メートルぐらい離れたところで、アマルフィから来ると急カーブを曲がりきったあたりになる。だが、アマルフィ行きの路線は海側になり、道があまりに狭いせいかプレートもマークも何もない。まあ、常識的に考えて、向かいの停留所の真向かい、つまり急カーブの手前だろうな。そう思ったのだが、一応バレットがいたので、聞いてみることにした。 「アマルフィ行きのバスはどこに停まるの?」 「ここだよ」 例の送迎バスの運転手だ。 「ここ?」 「そう、ここだよ」 相変わらず不機嫌そうに、足元を指差して、そのままプイと行ってしまった。 ここって、ここはホテルの駐車場だけど? でも他に停まれるようなスペースもないから、「ここ」に来るのかな? 崖に突き出た「Fermata」のプレートの向かいは、カーブのすぐ先の狭い道だから、そこでバスを待っているのはあまりに危険な気がする。そこで、ホテルの駐車場に荷物をおいて、ポジターノから来るクルマに目を光らせることにした。 定刻の時間からちょっと遅れてバスがやってきた。やれやれ。 ホテルの駐車場で手を振る。 ところが! バスはこちらには目もくれず、したがって、停まる気配すら見せず、ゆうゆうとカーブを曲がっていってしまった。 がーん! よく考えれば、それはそうだ。ホテルの駐車場は急カーブのちょうど「頂点」。そんなところでバスが停まれるワケがない。ポジターノ方面からバスが来るのが見えたら、すばやく荷物をかかえて、「Fermata」のプレートの向かいに移動すべきだったのだ。しかし、バスの運ちゃんも、Fermataに誰もいないとはいっても、すぐその先で手を振ってる人間に、気づいてもよさそうだ。とはいえ、イタリアでそんな「業務以上の親切」をバスの運転手に期待しても意味がない。 不機嫌なバレットの老人は、駐車場の端で腰に手を当てて、Mizumizuたちが見事に乗り遅れるのをじっと観察していた。 もともと感じ悪かったこんなヤツの言うことを、うかうか信じてしまった自分がバカだった。次のバスは夕方だから、そんなのを待つわけにもいかない。Mizumizuはあわててホテルのフロントへ行き、アマルフィまでのタクシーを頼んだ。 再び駐車場に出ると、不機嫌なバレットの姿は影も形もなかった。 タクシーがまた、なかなか来ない。20分ぐらい待ってやっとポジターノ方面からやってくるのが見えた。 「アマルフィまで」 と告げて乗り込む。だが、道はすごい渋滞だった。クルマはなかなか進まない。ちょうどその日は土曜日。海岸沿いの道は逃げ道もないし、迂回路もない。アマルフィでの乗り換えバスに間に合うだろうか? 余裕をもって計画をたてたはずが一転、えらく不安になってきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.07 14:09:31
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