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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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Tomy's room Tomy1113さん
2007.11.07
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カテゴリ:Travel
アマルフィまでもう少しというところで、タクシーはますますノロノロになってしまう。仕方ないので運ちゃん相手におしゃべり。サンタ・アガタで乗せてもらったタクシーの運ちゃんのフルネームを出して、
「知ってる?」
と聞いてみた。
「ああ、知ってるよ」
やはり狭い世界のようだ。
「彼にさっき、ホテルで会ったのよ。別のお客をサレルノに連れて行くって」
「セダンで来てた?」
なぜかクルマの車種を気にしている。
「どうだったかな。私たちはミニバンだったけど」
「彼、ときどきミニバンも運転するんだよね」
「そうなんだ」
「何で彼に頼まなかったの?」
「バスでアマルフィまで行くつもりだったんだけど、バスが停まらなかったから」
「満員だったから、停まれなかったんじゃない」
「席はあるように見えたけどね」
「変だね」
「多分、立ってる場所が違ったんだと思う。ホテルの駐車場で待ってたから」
「それでか」
「彼に会ったら言っておいて。結局タクシーでアマルフィに行ったって」
「そうするよ」
実はアマルフィでは買いたいものがあったのだ。ドゥオーモのすぐ前の店で売っていたアーモンドの粉を固めて作ったお菓子。つまりマジパンの一種。イタリア語では「パスタ・ディ・マンドルラ(アーモンドの練り菓子)」と呼ぶ。マジパンは香料くさいイメージがあるためか、それともアーモンドの粉の風味を日本人が好まないせいか、あるいは値段のわりに手がかかるせいか、東京でもめったにお目にかからない。

たしかに、香料くさすぎるマジパンも多いが、アマルフィのドゥオーモのそばの店のそれは個性的で香りがナチュラル。その分高かったが、非常に美味しい。レモンやオレンジなどの形をした、マジパンにしては小さなタイプで、周りはかなり硬く固めてある。だから最初の食感はキャンディーのよう。中はまさしくアーモンドの練り菓子だ。やはりアマルフィというべきか、特にレモンが気に入った。それを自分用と友人用にお土産に買って帰りたかったのだ。

タクシーがアマルフィに近づいたところで、連れにおりてもらって、買いに走ってもらう。Mizumizuは荷物と一緒にアマルフィのバス停まで乗って、そこで支払いを済ませ、バスのチケットを買うことにした。タクシーは64ユーロもかかった。バスなら1.19ユーロですんだところなので、50倍以上かかったことになる(そういう計算もむなしいが・苦笑)。

サレルノまでの1.65ユーロのバスの切符も無事ゲットした。バス停で待っていると、なんと数日前、ここからラベッロまで乗せてもらったタクシーの運ちゃんに会った。ホント、タクシーの世界は狭い。

連れが大きな紙袋をかかえて戻ってきた。「そんなに買ったの?」と驚いた(なにせ、中身のしっかりつまったマジパンだから、けっこう重いのだ)が、日本に帰ってみると足りないぐらいだった。

さて、14:10アマルフィ発のサレルノ行きバスに乗り込んだが、ポジターノ~アマルフィ以上のすごい渋滞に巻き込まれた。メーター制のタクシーにしなくてよかった。あの渋滞だといったいいくらかかったか想像もつかない。本当に休日の伊豆半島にそっくりだ。

15:20にサレルノに着くはずが、実際の到着は16時を過ぎていた。ローマ行きの列車は16:18分発。これで窓口に人が並んでいたらどうしよう… と思いつつ駅舎に駆け込む。
が~ん!
2つある窓口はどちらも4~5人の行列になっている。
「すいません! 私を先にして! 時間がないの!」
思いっきり叫ぶ。本当にあと10分しかない。並んでいた人が驚いて振り返る。だが、みな「どうぞ、どうぞ」といっせいに譲ってくれた。うう… イタリア人ってホント、親切だよね。「ローマまで。片道、2人。16:18発EC」と、あらかじめ書いておいたメモを突き出し、
「あと10分しかない、急いで!」
と窓口のおっさんに叫ぶ。おっさんも慌てて発券作業に入る。
「急いで、急いで」
なおもせかすと怒られた。
「黙ってよ! しゃべられると間違えるじゃないか」
そこで、大人しく口をつぐんで作業を見守る。情報を無事にキーボードで打ち込んだ。あとは印刷。ここで機械が止まってしまうのをイタリアでは何度も見ている(苦笑)。イタリア人は別に驚きもしない。
「イタリアの機械ってすぐ壊れるからね~」
てなもんだ。古代の遺物や文化財はあれほど見事に保存し、修復するのに、イタリア人は本当に機械のメンテナンスが下手だ。機械そのものが悪いのかもしれないが…
ピピッ~と音がして、無事に切符が機械から出てきた。時計をみる。あと5分。
やった!
もしかして間に合ってしまうかも。Mizumizuはここぞとばかりに窓口のおっさんを褒め称える。
「なんて優秀なの! 優秀すぎっ! ありがとう! どうもありがとう!」
「どういたしまして」
おっさんも得意げに切符を渡す。
譲ってくれた人々を振り返り、お礼を言ってプラットホームに走った。後ろの人は、かなり呆気にとられていたようだった。

日本では、10分もあればたいてい切符も買える。だがイタリアでは事情が違う。私のイタリア人の友人は、長距離の移動では必ず前日までに切符を買っていた。日本に来て「新幹線の切符があっとい間に買えて、本当に驚いたわ」といっているイタリア人もいた。

プラットホームの番号を確認して、無事ローマ行きの電車に乗り込んだ。シートに体をうずめて、心底ホッとする。これで友達との約束の時間にもなんとか間に合いそうだ。

10分で切符を買って列車に乗れた――それだけで、これほど感動できるカラダになるとは、イタリアとはなんと偉大な国であろうか。これは『カノッサの屈辱』の教皇グレゴリウスのご加護かもしれない、アーメン。そこでMizumizuは、これを『サレルノの奇蹟』と呼んで長く記憶にとどめることにした。

墓参りにも行かなくて、スマンね、グレちゃん。次回行くからね。





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最終更新日  2007.11.07 03:28:09
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