その上質のパンに出会ったのは、北海道のザ・ウィンザーホテル洞爺が最初。このホテルは食事がおいしくてよく札幌からドライブがてらランチに行ったものだ。サミットの会場に選ばれたので、そのうちにイヤというほどテレビで見ることになると思う。「絶景」はいろいろ見てるつもりのMizumizuだが、ここの絶景は確かに凄いと思う。ただし、山の上なので、晴れることがあまりないのが玉にキズ。
そのホテルで焼いていたのが、フランスで「パリNo1 クロワッサン」にも選ばれたことのあるエリック・カイザー氏の技法をそのまま日本で再現したというパンだった。たしかに、酵母に秘密があるというパリ生まれのそのパンを、最初の食べた印象は強烈だった。メチャうま。そして、そのときは北海道と東京に何店舗かあるだけの「貴重品」だった。
だが、その後、なんだかやたらとショップが増えた。今では名古屋にも福岡にもあるらしい。それとともに、最初にうけた衝撃の美味しさは明らかになくなってきているように思う。
とはいえ、上質のパンであることは間違いない。今でもときどき白金に買いに行く。「買いに行く」というよりは、近くまで行ったときに寄って買ってくるという感じかな。
このカイザー日本を立ち上げたのは、あんぱんで有名な木村屋の何代目かだという。商売としてはとてもうまくいったらしい。だが、ラーメン屋やケーキ屋と同じく、支店が増えれば増えるほどインパクトがなくなっていくと感じるのは単なる気のせいだろうか?
たとえば、真ん中奥にあるチーズのかかったパンは、最初のうちは、分厚いチーズが横にまで流れて「耳」になっているものもあった。今ではチーズはこの薄さ。「え? チーズかかってる?」という感じだ。
左のパンオノワはクルミの入ったMizumizuお気に入り。クロワッサンよりこちらのほうが好み。右はパンノアゼットショコラ。その名のとおり、ヘーゼルナッツとチョコレートチップが練りこんである。他にも、イチジクの入ったパンなどもあるのがいかにもフランス風。ヘーゼルナッツとイチジクは日本ではなぜかあまり人気がない。パリでは定番だ。カイザーはそうした「パリの風味」をパンにたっぷり詰め込んでくれている。ナッツ類やドライフルーツ類の使い方の巧みさ、チョコレートの濃厚な味などは、さすがパリの名店の面目躍如といったところだろう。
機会があったら1度お試しあれ。ショップリストは以下。
http://www.maisonkayser.co.jp/pages/5.SHOP.html