スフレは暖かくて、フルフルしていけなければいけない。そして器からこぼれおちんばかりに膨らんでいなければいけない――フランスのレストランでは、スフレは普通そういう食べ物だ。だが、日本ではそういう正調・スフレにお目にかかることのほうが珍しい。
東京でフレンチレストランに行くと、デザートはたいていワゴンから選ぶ「盛り合わせ」になっている。あれもいただけない。デザートは1品でいいから、しっかり厨房でその場で作ってほしいのだ。
この2つのMizumizuの不満を解消してくれるビストロが荻窪にある。「シェ・マルコ」。Marcoさんではなく丸子さんらしい。日本人シェフなのだ。Mizumizuの大好きなブルゴーニュでも修行したことがあるという丸子シェフの作るフレンチは、ちょっとクラシカル。フランスの郷土料理そのものだ。
たとえば鴨の胸肉は赤ワインソースにいちじくと葡萄を使っている。Mizumizuは鴨のフィレが、だ~い好き。それも果物のソースと合せてほしい。そういう意味でも、マルコの鴨は好みのど真ん中を行っている(ただし、フォアグラのソテーを前菜に頼むと、ソースがほとんど同じになってしまうので注意・笑)。
そして、イチオシのスフレはこれまたオレンジ風味ときている。これもど真ん中ストレートだ。
一番最近行ったディジョン(ブルゴーニュの街)で、街の中心であるリベラシオン広場に面した高級レストランで食べたのだが、それは熱を入れすぎて中身が少し分離しているヘタクソなスフレだった。マルコのスフレはそんなことはない。しっとりと滑らかで、よく膨らんでいる。サーブされるときも、ウエイターの盆の上でフルフルしている。食べる前も、自分でコッソリとフルフルさせてみたりして(笑)。
バニラの香り高いソース(左)をスフレのてっぺんを少し割って、かけて食す。容器にこびりついたところが、これまた美味しい。ウエイターにあまり見られないように気をつかいながら(笑)、スプーンで一生懸命こそげとって食べる。
食後はもちろんエスプレッソでしめる。
このノリタケのエスプレッソカップは口当たりが抜群。