チョコレートは、トリュフのような量感のあるものではなく、薄いものが好きだ。それもタブレット(板チョコ)ではなく、2口、3口で食べられるサイズのもの。
となると、パレファンが好み、ということになる。そんななかでも銀座の「ピエール・マルコリーニ」のパレファンは、なんとも官能的で、嗜好にピッタリはまる。
厚さ4ミリの正方形(なので、正確にいえば「Palet」ではない)に4種類のフィリング。周囲の硬いカカオの風味とねっとりとした中の個性的なフィリングが最高にマッチしている。
「山の蜂蜜」は、樹液から採ったのではないかと思わせる野性的な蜂蜜に、ビターなチョコレートが競うように舌のうえで主張しあう。自分自身が蜂にメタモルフォーゼし、森の樹木から蜂蜜を集めているかのようなイメージが浮かぶ。
「伝統的プラリネ」は、ベルギーのチョコレートらしく、ヘーゼルナッツの香り。とじこめられたいたヘーゼルナッツの甘く、独特なクセをもったフレーバーが、チョコレートをかじったとたんに周囲にひろがる。
「キャラメル」は文字通り、少し苦めに仕上げたキャラメル。周囲がミルクチョコレートでかなり甘いので、味覚がミルクの風味のなかで無意識に苦味を探しているのに気づく。
「ビターガナッシュ」も、文字通り。甘みをおさえたチョコレートクリームを甘みを前に出したミルクチョコレートでくるむ。二重のカカオの風味と違った食感を一度に楽しむ仕掛け。