|
カテゴリ:Gourmet (European)
ドイツで聞いた、「白ソーセージには昼の鐘を聞かせてはいけない」という言葉。朝作った白ソーセージ(ヴァイスヴルスト)は午前中に食べるのが一番おいしい。時間をおくと味が落ちる、ということだ。
実はパンにもそれがいえるのじゃないかと思えるモノを売ってくれる店が、井の頭線の久我山にあった。 「グードファリーヌ」。天然酵母を使った自家製パンを売る店。職人のおにーさんが1人で焼いて1人で売っている。主にハード系で、生地に隠れた酸味が絶妙。「1日たつと味がなじむパン」や食パンやバゲット類もあるが、なんといってもここの焼きたての「味のついたパン」は最高。焼き上がりの時間をチェックして行く価値があるほどで、事実、何時に何が焼きあがるか店先の黒板に書いてある。 もちろん熱がとれてもおいしいのだが、なんといっても作りたてのおいしさは天にも昇るほど。特に気に入っていたのが、「ブリオッシュジャポネーズ」というアンコ入りブリオッシュだった。ところが、このブリオッシュジャポネーズ、このところ見なくなった。理由を聞いてみたら、なんとバターが品薄で入手できなくなったので、作れないのだという。別のバターを使えばいいじゃない… というのは、コダワリの店には言えない台詞なんだろう。「その」バターあってこそのあのおいしさだったのね。 小麦をはじめとする材料の値上がりは本当に深刻だという。この店の菓子パン類(甘いという意味じゃなくて、味のついた、という意味ね)は平均1つ250円もする。買う側からすれば大変に高いが、1人で作っている超少量生産だし、そのくらいの値段をつけても、おそらくそんなに儲からないだろうな、と見ていて思う。「4月から値上げせざるをえない状況」だという。仕方ないと思う。それより売れ行きと経営が心配だな~。 ここの職人さんは、結構まだ若い。ちょっと浮世離れした雰囲気もあるし(苦笑)、おいしいパンを作ることのほかは、あまり興味がなさそうな人だ。荻窪からだと結構遠いのだが、それでもできるだけ贔屓にして応援しなくっちゃ。こんなおいしい、「本当のパン屋のパン」を食べさせてくれる職人はなかなかいない。駅から近くもなく、売り子もおかず(経営上おけないのかも?)、およそ商売っ気はないが、だいたいこの店に来るのは常連さんばっかりだからなんとかなっている。夕方にいくと菓子パン類はほとんどなくなっている。常連さんはみんな、早めに買って早めに食べるものだと承知しているのだ。少なくとも3時までに行かないと、めぼしいモノは売り切れている。 右上の黒っぽいのは「ノアカシス(くるみとカシス)のパン・フラヴァール」。周囲はかためで中はもっちり、カシスのねっちりした舌触りにさわやかな酸味、くるみの歯ごたえと香り。これだけのパンには、本場のフランスでもなかなかお目にかかれないぐらいなのだが、なんと材料のくるみが50%値上がりしてしまい、在庫がなくなり次第これも販売終了になってしまうという。職人のおにーさんは淡々と話すのだけど、うう… どんどん商品がなくなるじゃないの。ホント、大丈夫か、この店。もしかしたら、1人でいろいろ作るのが大変になってきたのかな。毎日毎日20種類近く1人で焼いて、1種類当たり1日わずか5つしか店頭に並ばないなんていうのもあるからね。 フラヴァールから時計回りにブルーチーズとクリームチーズなどの上質なチーズのハーモニーが楽しめるプチパン、カレー味が個性的なカルツォーネ、シトロンといって自然なレモン風味が楽しめる菓子パン。どれもこれも、すばらしいとしかいいようがない。冷えてしまうと魅力は半減だけれど、それでもやっぱり何度でもリピートしたくなる味。 グードファリーヌを紹介した本↓ 東京でみつけたおいしいパン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.03.07 10:07:52
[Gourmet (European)] カテゴリの最新記事
|