飛ぶ鳥落とす勢いのラデュレに対し、「どこでも閑古鳥」なのが、パリの帝王
ピエール・エルメ。
最初に東京に上陸したときは、エルメのスイーツは某ホテルのブティックでしか買えなかった。小さな真四角のガラスケースをいくつか並べ、まるで美術品を展示するが如く。とんでもない高級感を醸し出していた。
今では同じホテルのブティックの隅に追いやられているエルメ。隣の日本の店のほうが威張っている。
その分デパートへの出店はやたら積極的だ。気がつくと、新宿の伊勢丹にも、渋谷の西武にも、日本橋の三越にも入っている。
そして、そのどこも、「大丈夫なの?」ってぐらい客がいない。
伊勢丹には、
Sadaharu AOKIも近くにあるが、こちらのほうが圧倒的に人気がある。Sadaharu AOKIはパリで成功したあと日本に逆輸入された感があるが、それだって、パリでエルメ以上に人気があるとは想像できない。
日本橋の三越エルメ店なんて、それなりにスペース取ってるのに、むしろそこだけ客が避けてるみたい。
マカロンも、買ってる人をほとんど見たことない。バカ売れラデュレのマカロンとでは、比較にもならない。
パリのピエール・エルメの人気ぶりについては、
過去のエントリーでも触れたが、最近は、エルメの
東京での不人気ぶりに妙に胸が痛い。
なので、久々に応援する意味で買ってみた。
こちらがコーヒー味のスイーツ。エルメは同系統の味を少し変えて組み合わせ、精緻で新鮮なハーモニーを作り上げるのが非常に巧い。これも、甘めのコーヒー、苦めのコーヒー、ふんわりとした口当たり、硬めのしっとりとした口当たり――1つのスイーツで違ったコーヒーの味わいと食感が楽しめるようになっている。ボリューム感もある。
しかし・・・
美味しいは美味しいが、やはり、ちょっと値段が高いと思う。ボリュームも、ここまでなくても日本人には十分。
大ハズレだったのが、このサントノーレ。見かけは文句なく綺麗だが、食べてみて、「えっ? これいつ作ったの?」
キャラメリゼがもうパリパリ感がなく、パイ生地もサクサク感がない。
つまり、湿気ってしまっているのだ。こんな「古くなった」サントノーレ、売っちゃいけないでしょう。
これじゃ、ますます客足が遠のく。売れないんじゃ、返って値段も下げられないだろう。
味がこれで値段がこれじゃ、どうにもならない。ピエール・エルメの名を返って落とすだけじゃないだろうか。