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カテゴリ:Essay
今日は気分を変えて、Mizumizu母の生き生きエッセイを。このくらい楽しい表現がスムーズにできれば、今季は「演技・構成点」も高し!?
XXXXXXX 「このたびわが家に居候をおくことにしました」 と、友人にメールをしたらさっそく返事がきた。 「居候ってKちゃん<注:Mizumizu弟のこと>が帰ってきたの。よかったねぇ。ひとり暮らしは寂しいもの。これで安心よ」 と、とんちんかんなことを言う。 「ありがとう。それがさぁ、3人よ」 「えーっ、みんな帰ってきたの」 私も図に乗っての応戦だ。とんでもない。誰が帰ってきますか。子ども3人は東京で母親などいつでも元気と思っている連中だ。 わが家の居候というのは実は金魚が3匹。体長1.5センチ。尻尾まで入れたら2センチか。数日前、宮野の朝市で買ってきた。ところがその色といったらまるでフナの子どものようにうすい茶色。私は最初その類の魚と思ったわけだ。しかしぴんぴんと元気に泳ぎ回る姿をみて気に入ってしまった。 「それ、金魚だよ。今に赤くなるし、卵も産むよ」 日焼けした顔のおじさんが奥から大きな声で言った。 そう言われしげしげ眺めれば、なるほど尻尾の形はまぎれもなく金魚で、3つに分かれひらひらとしている。 「どんどん大きくなりますよ。こんくらいかな」 夫婦だろうか。隣のおかみさん風の女がにこにこしながら、両手で大福のような形をつくり教えてくれた。私はまさかと思いながらも、本当に赤くなったら面白いと買うことにした。 さしあたりの彼らの部屋は、前にメダカを飼っていたときのものがある。直径15センチほどのガラスのボールだ。睡蓮の小形のような藻も一緒に移しかえたら、まるで新居ではしゃぐ3つ子のように泳ぎまわった。何が嬉しいか金魚風情がと、ほとほと感心した。おまけに酸素をだす石という石灰のような円筒状のものも残っていたので2個入れた。わずかに泡が出てきた。 「わが家の居候。金魚3匹。今はなぜかフナみたいに黒い色をしています。しかしやがて立派な赤い金魚に変身するそうです」 「赤い金魚になったら成人祝いをしますから、おいでください」 すると友人は、 「黒い金魚が赤くなるわけないでしょ。それ金魚じゃないよ。騙されたんではないの」 ときた。私はそこでまた金魚鉢をのぞきこんだ。彼らの体型は菱形。背びれも、胸びれも腹びれも小さな体に揃っている。泳ぐときは胸びれと腹びれを、器用に小刻みにゆらし泳ぐ。口といったら1分間に100回はパクパクとやっている。水面からのぞくと背中のフナ色が濃く腹側はうすい黄金色で鯉のようだ。尻尾の付け根に白いすじが通っている。ちびのくせに腹はもっこりしていてすでに卵でも抱えているようだ。 さて次は食べ物がない。いくらこのちびでも何か食べなくてはならないだろう。家にはパンのかけらもなければ麩など勿論ない。早くやらなければ飢えてしまう。餓死させたら大変と夕方の町を再び車で出かけた。めだかの餌を買った店が嬉しいことに健在だった。 「黒っぽい金魚の子どもを買ったんだけど、そんな金魚っているのかしら」 一番聞きたかったことをぶつけてみる。 「ああ、いますよ。だんだん赤くなるの」 店の女性がさらりと言った。まるで拍子抜けで、私は彼らが赤くなることを信じることにした。 「よし。絶対に成人パーティだ」 と、ひとり張り切るのだった。 金魚の餌の原材料をみてまたまたびっくり。 商品名 テトラフィン 製造元ドイツテトラ社。フィッシュミール、穀類、酵母、植物性タンパクシュリンフミール、油脂、海藻・・・まだまだビタミン、ミネラルと続く。どうりでこれを食べさせれば美しい色彩を引き出すとうたえるわけだ。わが家の金魚どもには少し高級かと思ったが、たったの304円きりだった。フレーク状で1日3回3分間で食べきるように与えるらしい。水も水道水を7時間以上くみ置きして、カルキを抜いて替えるようにといわれた。 あああ・・・。かなり手数がかかります。 しかし君たちよ、絶対に赤い金魚になっておくれ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.10.21 16:13:38
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