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カテゴリ:Essay
最近、ヒマな人が増えてる・・・
というのは、いろいろなシーンで実感する。いい年の男が無職で犯罪に走り、テレビニュースに・・・ というのは、気分の悪い極端な例だが、街でやたら見かける「行列」は何なんだろう。 祝祭日ならまだわかる。たとえば、荻窪はしょうゆラーメンで有名な街なのだが、行列ができているのは、週末。わざわざ遠くからやって来るのだろう。地元に住んでる人間からすると、「並んでまで食べるほどのラーメンがこの街にあるのか?」という気もするのだが、平日時間の取れないラーメン好きが週末に来て先客が多かったら、並ばないわけにもいくまい。 だが、平日でも都内を走ると、案外いろいろなところで「行列」ができている。パチンコ屋の前、レストランの前、映画館の前・・・ みなさん、お仕事は? と、そのたびに思う。 しかし、金曜日に池袋にオープンしたヤマダ電機の開店に合わせて並んだ人が1万5000人というニュースには、心底たまげた。 テレビ画面いっぱいに映し出される人、人、人の波。週末ではない、れっきとした平日なのだ。なのに、学生でもなさそう・主婦でもなさそう・リタイヤ組でもなさそう――ふつうに考えたら、シャカリキに働いてそうな年代の、それも男性がいっぱい。 君ら、仕事は? 大昔に中国で初めて大型スーパーが出店して人がおしかけたとか、その手の映像を思い出した。 だが今の日本で家電量販店なんてものは、別に珍しくはない。並んでいる人は、ただ「目玉のパソコンがすごく安い」とか「目玉商品の59800円のテレビを買うと、先着500人に7774円分のポイントがついてくる」とか、お得感を求めてやってきたのだ。 バーゲンセールに並ぶ女性と同じ心理。 あとは、イベント感覚の気分の高揚もあるのかもしれない。 Mizumizuは並ぶのは大嫌いなので、バーゲンセールにもめったに・・・というか、ほとんど行かない。 並んで時間を取られるぐらいなら、その間仕事をしたほうが金銭的なメリットも多いと考えるクチだし、実際、混み合った店で1つや2つの買い物に半日以上かけるなんて、骨折り損のくたびれ儲けにしか見えない。 パソコンはいつもDELLで買う。自分でカスタマイズできるし(しかも机に座ったまま)、何と言ってもDELLはサポートが素晴らしい。 なので、家電量販店のオープンめがけて殺到する人の心理はまったくわからない。 だが、1つだけハッキリしてるのは、忙しい人はそんなことはできない・しない、ということだ。 ヒマな人が並ぶ。そして、ヒマな人の数は確実に増加している。 日本人=ワーカホリックという図は、完全に過去のものになったと思う。いや、今でも忙しい人はめちゃくちゃ忙しい。 ヒマな人と多忙な人が両極端に分かれている。ヒマな人は、経済的余裕もない。余裕がないから安いものに殺到する。その数が半端ではない。 驚くばかりだ。 安いものに行列する人たちがいる一方、新奇な高級品に殺到する人も多い。銀座・三越のラデュレに長い間できていた週末午後の行列は、最近ではもうなくなったようだが、そこは、新しいモノがどんどん入ってくる東京。 丸の内ブリックスクエアで最近見かける行列。 みなさん、何を求めて並んでると思いますか? 答えは、「バター」。 かねがねMizumizuは日本のバターの質に不満タラタラだった。特にクッキーのアブラっぽさにはガマンがならない。 フランスには飛び切りのバターがある。だからバターを使ったお菓子やパンが美味しい。「バタークリームのケーキ」というと、日本では粗悪品扱いだが、フランスでは伝統の味なのだ。 そのフランスでも評価の高い「エシレバター」が日本に上陸したのだ。 この丸の内の店に並ぶ人たちは、バターそのものというより、バタークリームの生ケーキやエシレバターを使ったクロワッサンがお目当てのよう。 お昼過ぎには完売御礼。しかし、エシレバターを使ったクロワッサンというなら、Sadaharu Aokiのクロワッサンだってそうなのだが、こちらはあまり買っている人を見ない(ケーキは非常によく売れている)。 池袋では安い家電製品に長蛇の列、丸の内では飛行機に乗ってやってきたフランスA.O.C発酵バターに長蛇の列。 この両極端なモノに向かってのびる行列も、今の日本を象徴している。 エシレバターの行列は、何ヶ月続くことやら。あんまり売れるので、ホクホクして二号店を作ったころには、ブームは終わる。 そして客足が伸びず、商品の数が減り、さらに客足が減る。 だいたいこれが、フランス有名店が東京で辿る道。ラデュレのマカロンもこのところ、種類が減ってきたような・・・?(苦笑) ピエール・エルメのマカロンにいたっては、種類も少ないし、そもそももう、買ってるお客をめったに見ない。 安い家電と高くても美味しいモノが売れる一方で、どこでも閑古鳥なのが、高級ブティックやそこそこ以上のカバン・バッグを扱う店。 丸の内でも、銀座でも、日本橋でも、いや荻窪でも、ブティックには人が入っていない。そのくせ店舗の数は多い。店員さんもヒマそうだ。デパートも衣料品売り場には人がいない。賑わっているのは地下の食料品コーナー。 みんな着る物はユニクロでいいらしい。そもそも池袋のヤマダ電機が出店したのは、もとはデパートだった場所。吉祥寺でもデパートが撤退し、そこにヨドバシカメラが進出してきた。そして、家電量販店が(高級感のない)デパート化し、衣類や小物、アクセサリーなどを扱い始めている。 週末には三越、高島屋、あるいは伊勢丹で買い物するのを楽しみとしているMizumizuにとっては、憂うべき状況、というべきか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.11.01 15:02:38
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