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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2009.12.06
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今のルールは、基礎点で上をいくジャンプ構成を組むより、加点をもらえるジャンプを跳んだ選手が強い。逆に言えば、「減点」されない選手が強い。

大技の基礎点の高さに着目して、「このジャンプが決まれば、これだけ高い点がもらえる」と、大技を優先的に決めようと考えると、うまくいかない。それも、つまりは、大技を入れたときに待ち構えている「減点」のパターンにはまるからだ。

さて、グランプリ・ファイナルの女子フリー。2位のキム・ヨナ選手は不調で、彼女の最大の武器である、セカンドの3トゥループが2つとも決まらなかった。

そして、最後に安藤選手。事前にメディアが盛り上げていた、3ルッツ+3ループは、3ルッツ+2ループに回避。2A+3Tも、やると思っていたら、2A+2Tに回避。

出てきた結果は、総合得点キム・ヨナ188.86。安藤185.94。2.92点の差。3ループのダウングレード判定は、単独でも異様に厳しい。鈴木選手のショートで点が出なかったのは、3ループがダウングレートされたのが大きな原因。Mizumizuは「奪われたセカンド3ループ」と、何度もエントリーに書いたが、単独でさえあれほど厳しいのだから、セカンドの3ループは、ほぼ認定されないと考えていい。

ならば、2A+3Tはどうか。2A+2Tの基礎点が4.8(安藤選手は加点を得て、得点は5.6点になった)。2A+3Tの基礎点は、7.5点。単純な基礎点の計算だと、7.5点-5.6点は、1.9点。2人についた差が2.92点だから、加点のもらえる2A+3Tを跳んでいれば勝ったことになる。

だが、安藤選手の点が伸びなかったのには、もう1つジャンプのミスがからんでいる。それは後半の3サルコウ。軸が傾いてしまい、着氷が大幅に乱れた。当然減点される。だが、単なる減点だけではく、この3サルコウがダウングレードされてしまったのだ。

不足気味だったかもしれないが、まさかダウングレードされているとは、Mizumizuは思わなかった。同じような乱れでも、ロシェット選手だったら、認定してくれたかもしれない。判定の不公平感は常につきまとうが、ともかく、これがダウングレードされ、GoEでも、マイナス1、マイナス2と気前よく減点され、結局得た点数が、1.07点!

NHK杯で安藤選手は後半の3Sを無難に跳び、4.95点に加点をもらって、5.75点を稼いでいる。

現行ルールで、基礎点での目論み戦略がうまくいかない理由はここだ。1つのジャンプで減点されるか、加点されるか。ちょっと足りなくてダウングレードされてしまえば、いきなり、同選手の後半の3サルコウ1つで、4.68点も違うのだ。

3サルコウが失敗しなければ、基礎点は4.95。4.95-1.07=3.88!

もう一度見よう。2人の最終的な点差は、2.92点。3サルコウを降りていれば、加点を考えなくても、少なくとも点数が3.88点かさ上げされるから、安藤選手が勝っていた。

ここでリスキーな2A+3Tをやって、ダウングレードされたり、着氷乱れになっていたりしたら、元も子もない。

2A+3Tを2A+2Tに変えたことについて、解説の荒川静香が、「モロゾフの指示かも」と言っていた。安藤選手が自発的に回避したのか、モロゾフの指示かは、わからないが、とにかく、
安藤選手のスコアがキム選手を上回らなかったのは、3+3と2A+3Tを回避したせいではなく、直接的には、得意な3サルコウで失敗したからなのだ。

もう1つ。安藤選手は、試合後、「かなり疲れていた」と言っていたが、調子自体は必ずしもよくなかったと思う。最後のステップでは、見た目にも辛そうだった。それでもキム・ヨナ選手よりはまとまりが良かったと思うが、あの状態で、体力を消耗する2A+3Tをやっていたら、後半さらに乱れたかもしれない。

難しいジャンプを跳ぶより、ルーティーンのジャンプを絶対に失敗しないようにまとめること。

これが現行ルールでいかに大切かわかると思う。

一見わかりやすく派手な高難度ジャンプだが、減点・加点のマジックを考えると、必ずしも得点源にならないのだ。

今季、織田選手が強いのは、ジャンプをピタリと決めてきているからだ。ファイナルでは苦手のトリプルアクセルにミスが出た。織田選手のアキレス腱はトリプルアクセルなのだ。これを2つきっちり決めることが、なかなかできないでいる。だから、4回転は入れない。この順番は正しいと思う。

モロゾフの言葉をもう1度引用しよう。「4回転は、2つの3Aを含めて他のジャンプを決めてこそ大きな武器になる」。モロゾフはこの順番を揺るがせにしない。そして、細かいところで取りこぼしがないように、安藤・織田選手を時間をかけて仕上げてきている。だから、2人は強いのだ。

織田選手は、3Aはやや苦手だが、他のジャンプではほとんど失敗しない。しかも着氷がこの上なく美しい。完全に回り切って降りてきて、氷をいたわるように柔らかくピタリと降り、ランディングの軌道がすうっと流れる。理想的だ。ヘタをすると2回転が高くなっただけのように見える。これは力任せに回転しているのではなく、回転が自然だということで、質の高いジャンプの特徴なのだ。

織田選手は、演技・構成点では、必ずしも世界トップの評価はもらえていない。ミスしても、レベルを取り損なっても、驚くほど高い演技・構成点をもらっている高橋選手とは対照的だ。

だが、織田選手は、「表現の幅が狭い」という短所を、プログラムの工夫で補い、最大の長所であるジャンプの着氷で加点をもらうことで、今季4回転をもつ選手以上のスコアを出した。

ステップもちゃんとレベルを取る。織田選手のステップは、先輩である高橋選手の影響がかなりあると思う。指導者が同じだからかもしれないが、「高橋選手をお手本にして」頑張っているのは確かだろう。悪い言い方をすれば、高橋ステップの劣化バージョン・・・というのは、言い過ぎだが、ともかく、ステップで観客を熱狂の渦に巻き込むような色気はない。

だが、今季、ステップで獲得した織田選手の点は、高橋選手にひけをとらない。レベル取りだけに関していれば、レベル2と3を行ったり来たりしている高橋選手より確実だ。一方、質を評価するGOEは高橋選手は圧倒的。「加点3」などという高評価がゴロゴロ並ぶ(ジャッジの皆さん、おありがとーごぜーます。チャン選手と競うバンクーバーでも、同じ態度でお願いしますね!)。

だが、まずはレベル取りを確実にして基礎点をあげなければ、いくら加点をもらっても、確実にレベルを取ってくる選手には点で負けてしまう。

見た目の印象と出てくる点数の乖離については、何度も指摘している。良いか悪いかと聞かれれば、「実に奇妙で、スペシャリストの判断次第というのが、不透明」と答えるが、何度も言うが今からではルールは動かせないのだ。

表現力云々という話は、結局嗜好が絡む主観論になってしまうので、今さらどうにもならない。Mizumizuは安藤選手には、キム・ヨナ選手や浅田選手に引けを取らない表現力があると思う。あざとさのない自然な風格、成熟した女性のもつ落ち着きと情熱・・・ フリーの最後のステップもMizumizuは大好き。カクッとクビを横に折る動作も、たまらなくチャーミング。素晴らしい。本人もそう信じて演じるべきだ。それしかできないではないか?

確実にレベルを取り、かつ、減点されないようにする。大技に挑むのはそれからなのだ。安藤選手が今回負けたのは、大技に挑まなかったからではなく、いつもならできる得意な3サルコウでミスったため。

ちょうど、受験勉強に似ている。

まずは、小さな基礎的な部分をかためてから、難しい応用問題に行くのが正しい順番というもの。

基礎問題は1つ1つの配点が小さく、応用問題は一般に配点のウエイトが高い。基礎問題10個解くのが、応用問題1つと同じ配点だという場合もあるだろう。だが、どちらを優先させるべきかと聞かれれば、間違いなく基礎問題なのだ。そもそも基礎問題が解けない学生は、応用問題も解けない。

基礎問題をすばやく正確に解いていけるなら、応用問題にじっくり取り組む時間もできる。何をやるにも、基礎力がしっかりしているかどうかがカギになるのだ。

配点の高い難しい応用問題を解けば、多少細かな基礎問題を落としても、合格できると考えている受験生は、結果を出せない。これは自明の理ではないだろうか。

























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最終更新日  2009.12.07 09:47:12



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