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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2009.12.30
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中野選手のフランス大会とNHK杯でのフリーの最初のジャンプは2A+2Aのシーケンスだった。3Aを前提にずっとプログラムを組んでいた中野選手にとって、「入り方」が同じなアクセルを2つ並べるのは難しくなかった。基礎点5.6に対して、加点をもらっている。ところが勝負の全日本で、基礎点が6点の3ルッツに換え、後半の3Tにシーケンスの2Aをつけた(これは成功させている)。ジャンプの入り方が変わると身体が馴染みにくい。簡単にジャンプの組み換えができる選手もいるが、中野選手はそうはいかなかったようだ。結果は最初のルッツ失敗で五輪の切符を逃した。中野選手にとって、最初のルッツがいかに大切か、自分でわかっていたはずだ。なのに、というか、それで、というか、失敗する。それが人間というものだ。

どうしてわざわざ成功させていた2A+2Aのシーケンスをはずして3ルッツに換えたのか? もちろん基礎点の高いルッツ(と後半のシーケンスからの2A)で点を上積みするためだ。本人もコーチ陣も「できる」と思って換えたはず。最初に単独のルッツを跳ぶのは、中野選手にとって、それほど高いハードルではないはずだ。むしろその後のルッツの連続ジャンプのほうが不安だったかもしれない。ところが実際には失敗。ここ一番でジャンプを組み換えるのがいかに危険か。しかも長く「最初は3A、もしくは2A」で前向き踏み切りへの入りに身体の馴染んだ中野選手にとって。

これは、タラソワが繰り返し、いろいろな選手に警告している。昨シーズンの世界選手権でジュベール選手が急きょ後半のジャンプを簡単な2Aにして大失敗した。ウィアー選手も昨シーズン、追い詰められた全米で、何とか調子の落ちた3Aを決めようとフリーの冒頭にもってきて、完全にパンクしてしまった。ジャンプ構成をここ一番で急に換えて、成功した選手のほうが少ないのだ。世紀のジャンパー、伊藤みどりでさえ、オリンピックで急きょショートの連続ジャンプを3Aから、普段ならなんなく跳べる3ルッツに換えて、「『なぜ私ころんでるの?』と思った」という失敗をした。

そもそも佐藤陣営は、ここ一番で突然ジャンプ構成を換えるからうまくいかない。昨シーズンの小塚選手の世界選手権もそうだ。順位を取るために、と4回転をはずし、なんとか3A2度を降りたのはりっぱだが、やはりミスは多かった。今回の全日本で小塚選手は結果を出した。だが、4回転がなくても体力がもたないという欠点も露呈したと思う。小塚選手がやるべきは、「4回転決めて、3Aもルッツも決めて、難しい音楽を表現する」などという、ありえないほど壮大な理想的目標に向かって「バンザイ」自爆をするのではなく、「失敗しないこと、失敗しないこと、失敗しないこと」これだけだ。ジャンプの安定をショートでもフリーでも見せ付けられれば、ジャッジは点を下げにくい。階段を一足飛びにあがろうとすると転落する。課題は1つ1つ、階段は1段1段上がらなければ、今のルールでは点は出てこない。

よくモロゾフはダウングレード対策がうまくて、タラソワは対応が遅れていると安易に批判する人がいるが、非常に短絡的な見方だ。シーズン途中のジャンプの組み換えで奏功したのは安藤選手だが、それが彼女が天才ジャンパーだから。苦手なジャンプがなく、ジャンプのバランスでは浅田選手やキム選手を凌ぐ安藤選手。それにモロゾフの回避策は事実上の「ライバルのミス待ち」戦略で、相手が失敗しなければどうにもならない。安藤選手ほどバランスよくジャンプを跳べない浅田選手のダウングレード対策は、勢い限られる。浅田選手自身、ダウングレードされる部分はわかっているし、対策も立てている。

セカンドに3Tを入れて欲しいとMizumizuは昨シーズンさかんに書いた。タラソワはとっくに練習を指示しているし、タラソワはそもそも3Aをフリーで2度入れるのには消極的だった。インタビューでタラソワは、「おそらく3回転+3回転に換える」と言っている。それに対し、「3A2度は譲れない」と言ったのは浅田選手のほうだ。

それを単に「頑固者」と決め付けるのも早計だろうと思う。どのジャンプが降りやすいかは、選手自身が一番わかっている。常識的には3A+2Tより3F+3Tのほうが簡単だし、体力の消耗も少ないし、ファーストジャンプで失敗する可能性も低い。浅田選手が3Fに3Tをつけられるのはわかっている。だが3Tを回りきれるのか?  それは浅田選手自身が一番よく知っていると思う。こちらとしては、試合で見ていないので何とも言いようがない。

また、浅田選手もジャンプ構成を変えると失敗しやすいタイプだ。昨シーズン最初の大自爆になったフランス大会で、2つ目の3Aのかわりに入れた単独の3ループが2ループになってよろけてる浅田選手を見たときは、ガクゼンとなった。これがキム選手なら、驚きもしないが、あのときまでは浅田選手の単独3ループは鉄壁にMizumizuには見えていた。どんなに助走間隔が短くても、なんなく跳んでしまう。あの姿は、トリノでスルツカヤがループでコケてるのを見た以来の衝撃。ループでコケてるスルツカヤなど見た記憶がない。昨季初めの失敗体験が、浅田選手を「やっぱり3A2度でいかなきゃだめだ」という気持ちにさせたのかもしれない。タラソワだってビックリしただろう。安全策のつもりで得意の3Lo単独にしたら、見事に失敗とは。

ループに対するダウングレード判定は、「なぜか」どんどん厳しくなってきた。ちょっとでも低いとダウングレードされる。今回の全日本では浅田選手はちゃんと降りてきたが、あれもかなり冷や冷やものだった(ように思う)。3Aをその前に2度入れれば、さらにジャンプが低くなる可能性がある。多くの人は、全日本の浅田選手のフリーを見て、「これで3Aが2度入れば」と思うかもしれないが、Mizumizuは逆。体力の消耗が半端ではない3A2度によって他のジャンプの高さがなくなるリスクが怖いと思う。

そして3フリップからループへの連続をどこかで必ずダウングレードを取られている現実。ロシア大会では、前半の3F+2Loの3Fもダウングレードされてしまった。連戦の疲労があったのかもしれないが、とにかく、3F単独は評価が高く加点がつくのに、わざわざフリーで2つとも連続にして、どこかでダウングレードされているという今の状態が、ひどく不毛に見えるのだ。

これがセカンドが2Tだったら常識的には問題ないハズだ。セカンドにトゥループをつけるのはループをつけるより、「ふつうは」簡単なのだ。だが、あそこまで頑なにフリップにループをつけるということは、トゥループが浅田選手にとって必ずしも「安全策」にはならないのだと思う。実際、今回は2A+2Tの2Tがダウングレードされた。

だが、あえて3A+2Tのかわりに3F+3Tを入れるとすると、たとえば以下のような組み換えが可能だと思う。

(現在)

3A (基礎点8.2点)

3A+2T 9.5点

3F+2Lo 7点

ここまでの合計基礎点 24.7点

(組み換え)

3A 8.2点

2A+2A(シーケンス) 5.6点 (最初の3Aがパンクして失敗したら、ここでリカバリーしてもいい)

3F+3T 9.5点

ここまでの合計基礎点 23.3点

基礎点は下がってしまうが、上の3A2度よりはダウングレードのリスクが少なくなるし、2つ目のジャンプを2A+2T(4.8点)まで下げるよりはいい。何より体力の消耗が3A2度よりずっと少ない。となれば、全体の表現もグッとよくなるだろう。ジャンプで体力を消耗してしまうと、表現がおろそかになる。それに、この構成なら転倒の可能性も少ないと思う。問題は、3Tを回りきれるかどうか。たとえ回りきれなくても、3Aを2度入れてパンクしたり転倒になってしまうよりはいいはずだ。

本当は3F+3Tをもっと前に出したいが、前向きに踏み切るアクセルの入りを2度ずっと続けている浅田選手にとって、順番の入れ替えはよくない。「入り」が違うと失敗しやすいからだ。そして、この場合は、先にMizumizuが書いた後半の3Tに2Aをつけるシーケンスはルール違反でできないし、そもそもここまで前半をいじったら、後半まで換えるのは危険すぎる。後半は3F単独で3連続ジャンプを捨てるか、あるいはどうしてもというなら、3F+2Loにする。3A2度が入らなければ、体力ももつので、ダウングレード攻撃をかわせるかもしれない。3F+2Lo+2Loは、ダウングレードを呼び込むので不毛だと思う。

認定されるセカンド3Tが跳べるかどうか、試合でまったく試していないし、このジャンプ構成の変更は基礎点が下がる。ショートとフリーで3A+2Tを入れる選択をしたということは、おそらく浅田選手の頭の中では、同じジャンプのほうが調子がよければそれを持続しやすいから、という考えがあるのかもしれない。3A+2Tの3Aの回転不足ももうほんのちょっとだ。もうちょっと遠くに跳べれば恐らく問題はない。だが、その「ちょっと」はかなり難しい。ただ、確率から言えば、セカンドに3ループを跳んで認定されるよりは可能性があると思う。そして、浅田選手個人としては、3F+3Tに換えるより、3A2度のほうが正面突破しやすく思えるのかもしれない。これはもう選手本人の判断だと思う。

3A+2Tを3F+3Tに換えるのは、浅田選手にとっては、必ずしも安全策ではないのだ。どちらにしろリスクはある。そのリスクを考慮したうえで、あとは浅田選手自身が決めるだろう。4大陸でジャンプ構成をどうするかは浅田選手自身だが、彼女の判断で、3A+2Tのほうが認定される可能性が高い、つまりこれまでのどおりの正面突破と決めたからには、ファンの方は批判せずに応援してあげてほしいと思う。今さらエッジ問題のあるルッツを入れるのも自殺行為、認定が難しい3ループをセカンドに入れるのも自殺行為。(ほとんど)最後の別選択肢であるセカンドの3Tも不安がある。どういう選択をしてもリスクが高い。五輪はどちらにしろ一発勝負。何が起こるかわからない。最終的には、運にまかせるしかないのだ。

今回の全日本女子はダウングレード判定が厳しかった。これは「五輪でもこうされるかもしれないから、準備しろ」ということではないかと思う。ここで判定を甘くしたら、浅田選手は「このぐらいの3Aなら大丈夫」と安心してしまい、五輪で厳しいダウングレード判定に泣くことになるかもしれない。それでは村主選手の二の舞だ。スペシャリストが浅田選手を「下げ」たかったわけはない。浅田真央が五輪代表に決まらなかったら日本中が大パニックだ。それに演技審判は、加点と演技・構成点を気前よく出してきた。

キム・ヨナ選手のフリーは、フランス大会が一番得点が高かった。あのとき、フリップを跳ばなかった。ジャンプがまるまる1つない。つまり、非常に低いジャンプ構成だったわけだ。ところが、ジャンプ1つ跳ばなかったおかげで体力を消耗することなく、演技を終えることができたのだ。

う・・・また文字制限、続きは明日






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最終更新日  2009.12.31 15:11:04



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