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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2010.03.30
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カテゴリ:Figure Skating(2009-2010)

 <続き>

それがルール運用の変更によって、武器どころか、バクチ技になってしまった。

浅田選手は今季セカンドから3ループをはずしたが、安藤選手はオリンピックで入れてきた。

なぜそれまで徹底した回避策で2ループを確実に決めることでミスを防いだ安藤選手がオリンピックでいきなりセカンドの3ループに挑戦したのか? 不確実なことをやらずに結果を残してきたモロゾフが安藤選手に挑戦を許可したのはなぜ?

安藤選手は、オリンピックのインタビューで「今回はニコライが(安藤選手の判断に)まかせてくれた」と言っていた。

直前の練習では必ずしもセカンドの3ループの調子はよくなかった。安藤選手が世界女王になったときは、ショートではこのセカンドの3ループが鉄壁といってよく、シーズンを通して高い確率で決めていたのだ(当時は、今のようにダウングレードが暴走、もとい厳密化されていなかった)。

オリンピックの大舞台で、バクチとも言える3ループに安藤陣営(決めたのが本人であっても、あえて「陣営」と書くが)が挑戦したのは、その前に滑った浅田選手の出来もあると思う。

つまり、こういうことだ。すでに書いたが安藤選手の演技構成点は昨シーズンあたりから、変に上がったり下がったりする。

今季のグランプリファイナルではキム選手に迫った。だが、安藤選手が「上がる」のは、必ずといっていいほど、日本での1番手である浅田選手がショートで自爆するか、あるいは出場していない場合に限られている・・・ように見えるのだ。

1番手仕分けの選手が自爆する(あるいはいない)場合、2番手仕分けの選手が上がってくる。逆に言えば、1番手の選手がいい演技をしてしまえば、「メダルは1国1名様限定」の思惑によって、2番手の選手は点が出ない。

オリンピックのショートでは、メダル仕分けのキム・ロシェット・浅田の3選手がそろっていい演技をした。ということは、たとえ安藤選手が3回転+2回転(つまりそれは、ロシェット選手と同じレベルのジャンプ構成ということだ)をきれいに決めても、メダル圏内には入れないのだ。

実際、安藤選手のジャンプには「驚くほど加点がつかない」のだ。

これが質の悪いジャンプというならわかる。だが、安藤選手はいわゆる「ディレイド回転(跳びあがる前から回転するのではなく、しっかり跳びあがってから回転を始める)」の質のいいジャンプなのだ。

キム選手ほど大きさはないかもしれないが、放物線を描く高さと飛距離のバランスの取れたいいジャンプだ。

ところが、加点を見ると、1点以上プラスになったジャンプがほとんどない。せいぜい基礎点の低いダブルアクセルかトルプルトゥループに1点以上つくかどうか。

世界選手権で、解説の八木沼さんが、「安藤選手のジャンプは質がよかったので、加点1点以上つく」と話していた(常識的にはそう思うのが当たり前だ)が、オリンピックでの安藤選手のジャンプへの「加点抑え」が頭にあったMizumizuは、それを聞いて、

プッ

となってしまった。こちらがワールドフリーのプロトコル。

http://www.isuresults.com/results/wc2010/wc10_Ladies_FS_Scores.pdf

案の定、安藤選手のジャンプの加点はとっても少ない。

ハア? なんで?

これがまあ、普通の感覚だと思う。

だが、普通の感覚がまったくとおらないのが今のジャッジが出してくる加点・減点なのだ。

もちろん、例によってあとから辻褄合わせをすることはできる。「ちょっと着氷のあとの流れがなかったですからね~」とか、「スピードがなかったですかね~」とか、「回り方が強引ですかね~」とか、「安藤選手は着氷時に前傾姿勢になってしまうんですよね~」とか。

「安藤選手のジャンプに加点がつかない」ことに八木沼さんは、まだ完全に気づいていないらしい。気づいたら、どんな苦し紛れの言い訳・・・もとい、解説をすることやら。

結局、こういう状態だと、選手は基礎点の高いジャンプで勝負に出るしかなくなるのだ。メダルを獲るという意志があるのなら。

オリンピックのショートでは、安藤選手はセカンドジャンプをできるだけ遠くにもってきて、回りきろうとしていた。実際には回りきっていたようにも見えたが、降りたあと詰まってしまい、ダウングレード。しかも、このときに流れが止まったので、スピードが出ず、続くフリップもうまくいかなかった。

最初の連続ジャンプでなにかアクシデントがあり、流れがとまると、スピードが出ずに次のジャンプを失敗しやすい。しかも、安藤選手の次の単独3回転は、エッジ矯正をしたフリップだ。エッジ矯正というのは、本当の意味では、ある程度の年齢以降に完全に矯正するのは不可能なのかもしれない。

安藤選手はフリップでエッジ違反こそ取られないが、回りきれずに少し着氷が乱れることが非常に多い。

すでに2年がかりでルッツを矯正したというロシェット選手も、やや不安定だし、キム選手のフリップも、世界選手権ではやはり完全に中立だった(Eマークのつくwrong edgeだとまでは思わないが、!マークのアテンションもつかないというのは疑問だ。ファンが騒ぐまではエッジ違反を取らない気なのか?)うえに、回りきれなかった。オリンピックのキム選手のフリップも中立に入っていたように見えた。

浅田選手は今季ルッツを避けている。

安藤選手の3ルッツ+3ループに話を戻すと、オリンピックでセカンドの3ループが不完全だった安藤選手は、ワールドで今度こそ決めようとしたのだと思う。

気になっているのは、ルッツではない。セカンドの3ループだ。

するとどうなるか?

浅田選手の後半の3フリップからの連続ジャンプでしばしば起こる失敗と同じことだ。過去の試合で、セカンドのジャンプが足りなくて失敗した場合、選手は次の試合ではファーストのジャンプを多少セーブして、セカンドジャンプを跳ぼうとする。すると、元来単独では問題ないはずのファーストジャンプが回転不足のまま降りてきてしまうことになる。

オリンピックで4+3をつけられなかったジュベールが急きょルッツを連続ジャンプにしようとして、ルッツそのものを失敗してしまったのも、同じ理由。「なんとかセカンドを」と思うと、ファーストをセーブし、結果失敗になる。

安藤選手の1つの失敗は、シーズンからの流れである程度、説明ができる。ジャンプはあくまでも確率なのだ。過去の試合の確率はどうかで、起こるであろう失敗はだいたいが予測できる。

そして今回のワールドのショートで、安藤選手の点が思いのほか出なかったのは、「(限りなく)恣意的に抑えられた(ように見える)」部分と「ルール上、当然そうなる」部分とがからみあっているのだ。






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最終更新日  2010.04.02 11:11:37



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