日常レベルのウマイもの屋が目白押しの西荻窪。個人で小さく経営し、コアなファンが通って支えている・・・そういう店が多い街。
だが、喫茶店「ソレイユ」は、ちょっと違うかもしれない。いつ通りかかっても混んでいる。客層もバラバラで、みな食べたり飲んだり新聞や雑誌を読んだり、勝手にくつろいでいる。
西荻といえば、「坂本屋」のカツどんとか(残念ながら現在、長期休養中)、「ぷあん」のカオソイとか、客のほとんどが「それ」を頼むといった一品名店が多いが、ソレイユはそういった店ではない。
レトロな内装で、飲み物も出すが、カレーやサンドイッチやスパゲッティも食べられる。つまりは、昔よくあった典型的な喫茶店なのだ。
とにかくここは、メニューが豊富。日本人ならたいてい好きな軽食類に加え、ケーキもケースにずらりと並んでいる。すべて昔風のジャンボサイズ。コーヒーは水出し。店内のあちこちに螺旋状のガラス管を備えた丸いフラスコが置いてある。
カレー星人Mizumizuがここでよく頼むのが、「チーズカレー」。
容器といい、チーズのとろけ具合といい、グラタンのよう。下にややオシャレながら、「ふきん」が敷いてあるところなど、実に家庭的。
味も家庭的で、近所の料理上手なお母さんが作ってくれた、ひとひねりあるカレーという感じ。下にぎっしりライスが敷いてあり、ボリュームも満点。どちらかというと若者向けの料理かもしれない。
糸を引くチーズをカレーソースと一緒に食べるのが幸せ。最後に皿の上のあたりについたチーズをこそげ取って食べるのも幸せ。オーブンで焼かれてコクを増したチーズ君が、量はちょっぴりながら皿にへばりついて、「ボクはここにいるよ。忘れないで食べて。美味しいから」と言っている(←あ~あ、ここのところの暑さで、ついに・・・)。
水出しのコーヒーを使ったコーヒーゼリー。ガラスの器の下に重ねて敷いた透けた和紙のセンスがまた、家庭的でかわいい。
味だけだったら、山の上ホテルの喫茶店の水出しコーヒーゼリーのほうがだんぜん上だと思うが、あちらはクルマで行かなければいけない。こちらは、自転車ですぐ。その気安さがいい。
豪華(笑)アイス付きコーヒーゼリーロワイヤルもある。手書きのこういったメニューにもセンスを感じる。街全体に手作り感溢れる西荻らしい喫茶店。西荻窪は、吉祥寺から一駅なのに、若者のおのぼりさんでゴッタ返すあの街とは空気が全然違っている。
ゆるゆるとした時間が流れる、どこか東南アジアちっくな西荻を、Mizumizu+Mizumizu連れ合いは偏愛している。