|
カテゴリ:Gourmet (Sweets)
三菱一号館は、三菱地所の前身である三菱合資会社の不動産部門が、1894年にイギリス人建築家を招聘して丸の内に初めて建設した赤レンガの洋風建築。老朽化のため1968年にいったん解体されたのだが、丸の内エリア再開発の目玉として三菱地所が2010年に再建した。この再開発事業には三菱のプライドを強く感じるのだが、中でも再建された三菱一号館は外装といい内装といい、部材といい意匠といい、素晴らしいの一言。 現在三菱一号館は主に美術館として使われている。その一階の角に、元は銀行窓口だったというフロアをカフェに改装したCafe 1894があり、いつも人で賑わっている。 こちらが入り口。堂々とした石の階段は一段一段が高い。赤レンガの風格ある外観は、今となっては貴重な19世紀のクイーン・アン様式。 重厚な扉をくぐって中に入ると、二層が吹き抜けになった大空間に驚かされる。ギリシア式の柱、窓枠、天井の羽目板などがすべて木製なのが、いかにも日本の洋風建築。装飾部材が多用されているのにも目が行く。こうしたディテールの過剰さは、近代的な建築空間からは消えてしまっている。 窓ガラスもちゃんとアンティークガラスを使っているので、外の景色が微妙に揺らいで見える。天井からここまで長く下げたシャンデリアも珍しい。灯りとしてのデザインはシンプルだが、贅沢な空間演出だ。明治時代に貪欲に欧米の技術や文化を吸収しようとした日本人の意気込みが感じられる。 こうしたカフェは、往々にして内装「だけ」が素晴らしく、味はイマイチなことが多いが、Cafe1894ではそうした心配はご無用。コーヒーはオーガニックの豆を使っているとかで、香りの高さに驚いた。 こちらはマロン・アラモード。ネーミングも見かけもクラシックだが、案外(失礼!)アイスクリームがフレッシュでさっぱりと美味しいのにまたまた驚いた。なるほど、この味なら客も入るはずだ。食器はニッコーのWhite Crownシリーズ。コーヒーが透けて見えるほど薄い。 雰囲気といい味といい、丸の内エリアでは一番のお奨めカフェ。クルマを利用される方なら、丸ビルの地下1階で年会費無料のポイントカードを作れば、丸の内エリアに17ヶ所ある駐車場に1時間まで無料で駐車できる(ただし無料で置けるのは1日1ヶ所)ので便利(こちらを参照)。カードはその場で発行してくれる。一店舗で3000円以上買い物をすればさらに1時間駐車がタダ。 三菱一号館に隣接する丸の内パークビルも、地下の駐車場へ通じるスペースまで凝ったインテリアを施している。細部に至るまで個性的だ。 これはエレベーターの昇降ライト。 左右がエレベーターが来たことを知らせる昇降ライト。その間にバラの花が閉じ込められている。 壁面のライトの脇にまで、曲線の可愛らしいデザインが。 三菱一号館と丸の内パークビルに挟まれた一号館広場に出ると、木々に囲まれたベンチで人々がくつろいでいる。この2つのビルを擁するブロックは、ブリックスクエアという名前がついており、その雰囲気はアメリカのボストンの街角を思わせる。ブリックスクエアから馬場先通りに出て、ブランド店の立ち並ぶ丸の内仲通りに抜けるのもいい。 このあたりは、東京でも、いや、恐らく世界の有名都市の中でも、最も洗練され、最も清潔で、最も平和で、最も裕福そうな場所だ(ただ、衣類や鞄を扱うブランド店にはあまり人が入っていない。あれで経営は大丈夫なんだろうか)。 Mizumizuが仲通りに出たら、ちょうどメルセデスのCLSが道の脇に停まっていた。石畳と並木の洒落たこの道には、流麗なデザインのCLSがいかにも似つかわしかった。 巴里も倫敦も紐育も何度も行ったが、今の東京ほど手ごろな価格の美味しいもの、可愛いものが溢れている都市はない。 若者が海外に興味をもたなくなったのも、これだけ快適で清潔で秩序正しく、しかもなんでも手に入る国に住んでいれば、ある意味で当然のことかもしれない。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.10.07 15:04:20
[Gourmet (Sweets)] カテゴリの最新記事
|