一般の観光客にとって、長崎には「寺」のイメージはないかもしれない。だが、崇福寺はその境内の建造物ほとんどが重文・国宝で、見ごたえ十分だった。
寺の創建は1629年。長崎に在留していた福州人たちの手によるものだという。
道路から見える門は「三門」(重要文化財)。竜宮門とも呼ばれ、朱塗りの堂々とした佇まい。この右側に(とてもそうは思えないのだが)ちゃんと駐車場がある。まさか車で入っていけるとは思えず、車を停める場所を求めて、何度か周囲をグルグル回ってしまった。
長い階段をのぼった先にある国宝の第一峰門。唐門、赤門、海天門などとも呼ばれる。1644年創建、1696年改築。
軒下の入り組んだ斗?(ときょう)は、極めてデコラティブで見事。
長崎にいながらここだけチャイナな空間。不思議なことに柱や壁が朱色でなければ湯島聖堂にそっくりだと思った。境内に入ると街の喧騒が嘘のように遠のく静けさも含めて。
♪ あの日 湯島聖堂の白い石の階段に腰掛けて~(さだまさし)
♪ この日 崇福寺の紅い木の柱にもたれかかって~(←替え歌にもならないが・笑)
韓国人旅行客の小グループと一緒になった。韓国人には興味深いのだろうか? 日本にある中国風の寺。
日本人観光客は少なかったが、その分落ち着ける。もちろんメジャーな観光スポットを差し置いてまで行くほどではないが、二度目の長崎で訪ねるにはもってこいだった。
さりげなくこういう異色の静謐も潜んでいる。それも長崎という歴史ある国際都市のもつ魅力の1つ。