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カテゴリ:Travel(日本、九州)
雲仙温泉には一度行ってみたいと思いつつ、どうしても足を伸ばせずにいた。本州からクルマで来ることを考えると、当然温泉といえば別府、もしくは湯布院になってしまう。雲仙は遠い・・・そういうイメージだった。 今回、意を決して長崎から雲仙に回ってみた。まったく予備知識なしで。どういう場所にあるどういう温泉地なのか、予想もつかなかった。 標識に従ってクルマを走らせると、海沿いから山へ入る。途中、海霧がのぼってきて、眼下に広がっているはずの海がすっぽり隠れ、さらには路にまで霧が這い上がってきて、またも奇妙なミステリーゾーンに迷い込んだような気分になった。 緑したたる山道をまだまだ登る。あまりに樹木が大きいので空が狭い。人里離れた村に行くようだ。こんな山の中に、本当に温泉地があるのだろうか・・・と疑いだしたところで、視界が開け、ホテルがちらほら見えてきた。 とりあえず、温泉街の中心らしき、「地獄」でクルマを停めた。 こういうところは箱根にもあるし、北海道の登別にもある。だが、雲仙の地獄は山を含み、森林浴も同時にできるのが特徴的だ。山の中腹からも煙が立ち昇っているさまは、誰かが焚き火でもしているよう。 別府にも「坊主地獄」というのがあったっけ。雲仙にもやはり、同じようなものがある。雲仙の地獄は俗っぽい鬼の像の類いがないのがいい。あくまでも主役は自然。それをなるたけ損ねないようにという配慮があるように思った。 途中でスズランが木に咲いているような、おもしろい花をみつけた。ネジキというらしい。本州・四国・九州に生育するらしいが、初めて見た(と思う)。かわいい花だった。 煙がもうもうと上がる地獄のすぐわきにホテルが建っている。この位置の近さにも少し驚いた。客室からごくごく間近に、荒涼たるグレーの大地から立ち上ってくる自然の驚異が見られるということだろう。これはなかなか珍しいのではないか。 すぐ向こうの緑の山に挟まれた地獄は、いわば宿泊客のための箱庭になっている。 雲仙温泉は、町もこじんまりとして落ち着いていた。大きめの温泉地にありがちな猥雑なムードがまったくない。品を落とすレジャー施設もない。とても落ち着いていて、「奥座敷」の名にふさわしい。ここはまぎれもなく、「通のための温泉地」だろう。 本当は長崎の街で聞いた、にごり湯で有名だという小地獄温泉で日帰り入力する予定だった。だが、地獄のすぐそばの富貴屋というホテルでちょうど3人で1000円というチケットが売り出されていた。たまたま3人で来たので、そちらに入ることにした。 地獄のすぐそばなのでかけ流しと思いきや、一部循環式で多少塩素消毒もしているという。だが、そんなことは感じさせないくらいいい温泉だった。 広々とした内湯は多少濁り、硫黄の匂いがたちこめている。露天はこじんまりとしているが、木に囲まれ、はらはらと花が落ちてくる。あまり混んでいなかったのも幸いだった。 酸性硫黄泉こそやはり、温泉の中の温泉だと思う。雲仙の泉質は草津に似ているという説明を読んだが、規模や雰囲気から言うと北海道の名湯・川湯温泉により近いように思った。 Mizumizuは川湯温泉の御園ホテルが大好きだった。東の横綱といわれる草津温泉のホテルにはあまりいい印象がない。たまたまハズレのところに泊まってしまっただけかもしれないが。 ある程度の規模と設備を確保しなければならないホテルとなると、かけ流しの温泉は難しいのかもしれない。だが、雲仙温泉にもいわき旅館のように、100%天然の温泉を味わえる宿があるようだ。湯元ホテルなども口コミの評判がよいよう(ネットの口コミはこちら。ただし、あまりアテにならない場合もあるので、あくまで参考程度に)。 別府にも、湯布院にもない、しぶく落ち着いた雰囲気。余計なものは何もない。山の自然に抱かれた、箱庭のような風景。雲仙も思いのほか気に入ってしまった。次回は是非、山の緑にいただかれたこの得がたい温泉地で1泊してみたい。
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最終更新日
2011.06.19 22:31:47
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