夜中にバリ島を発つという最終日。夕方時間が空いたので、ホテルからプライベートタクシーをチャーターして夕陽のメッカだというウルワツ寺院へ行くことにした。ちょうどホテルのあるヌサドゥア地区からさほど遠くない。
クルマは非常にきれいだった。チャーター代も往復で28万ルピア(2,600円)と、現地価格で言えばトンデモな値段なのだろうけれど、時間のない日本人観光客からすれば十分リーズナブル。
車内から眺める田舎の景色は、ヤシの木さえなければ大昔の日本のようでもあり、外国に来たというより、タイムスリップをして過去に戻ったような不思議な感覚。
ウルワツ寺院に着くと、熱帯そのものの樹木が迎えてくれた。
そして、猿も。元来動物好きのMizumizu。猿も好きなのだが、ここの猿君たち、親しげな(苦笑)視線を向けるMizumizuにも媚びる様子はまったくなし。むしろ人相は悪役だ。
それでも、大海原を背景に、遠くを見つめる(?)モンキー君に、「おお、哲学者のよう」などと、一方的なシンパシーを抱くMizumizu。
多少雲はあるが、いい具合の天気ではないか。これは夕陽が期待できそうだ。
少し早く来すぎたかもしれないが、あの太陽が沈むまでここで待とう。途中で客引きのお兄さんに、「ケチャを見ないか」と誘われたが、夜日本に戻るから時間がないし、ナンバーワン・ケチャ(←あくまでガイド氏の弁)をデンパサール近郊でもう見ていたので、それは断る。
意外に思うかもしれないが、バリ島には世界遺産がない。バリから行く世界遺産と言えば、隣りのジャワ島の仏教寺院ボロブドール遺跡とヒンドゥー寺院プランバナン遺跡になってしまう。
バリ島に行ってみて、なんとなく納得した。景色のよい場所は確かにある。このウルワツ寺院もそうだし、キンタマーニ高原もそうだろう。だが、抜きん出た絶景ではない。いくつか寺も見たが、そこはあくまで、この小さな島に昔から住んでいる人々の信仰の場であって、寺院建築という鑑賞物としてみた場合、さほど圧倒的なものを感じないのだ。
それはそうだろう。圧倒的な審美性を湛えた建築物がある場所には世俗的な意味での財力がある。たとえそれが宗教建築であっても。この小さな神々の島で、そうした富を蓄えることのできた権力者がいたとも思えない。
ウルワツ寺院の絶壁から下を覗き込むと、茶色っぽい岩のはるか下で、波が白く砕けていた。この眺め・・・伊豆あたりにもありそうだ(苦笑)。
寺院の敷地は広い。歩き回って、太陽が沈むのを待とう・・・
と思っていたら、とんでもない事件が起こった! そして、夕陽を眺める間もなく、ホテルへ直帰することになった。
なぜ?
ヒントは、この写真↓
詳細は次回。