子供のころ、心惹かれていた藤城清治の影絵の世界。
Mizumizuが惹かれた理由はおそらく、日本的なテーマを扱っていても、どこか藤城の世界には垢抜けたヨーロッパの気品が漂っていたからだろう。
「森」「白馬」「トナカイ」…彼が好んで描くこうした自然の造形物は、およそ日本的ではない。アジアのどこかでもない。海を越えた大陸のさらに西、ヨーロッパの童話の世界からやって来た。
「燭台」「鉄の柵や支柱」といった人工物も、その装飾性が日本の伝統的な感覚とは距離がある。やや過剰な曲線美を備えたところは、どこかバロック的なのだ。
藤城清治の世界は、子供や妖精を描いても「カワイイ」だけではない。黒い肌や大きな黒い目はどこか異教的で、見方によっては不気味でもある。誰かといても、1人1人はそこはかとない孤独を漂わせている。
そうした藤城の世界は、やはり印刷物ではなく、光を通したナマの「影絵」として見るのがいい。挿絵として見ていたころには知らなかった、驚嘆すべき、まさに「輝かしい」美の世界に迷い込むことができる。
こうした藤城美が人気を集めているのか、藤城清治のミュージアムは各地にできている。白樺湖にある『世界の影絵・きり絵・ガラス・オルゴール美術館』も、メインの展示物は藤城清治。影絵にも、きり絵にも、ガラスにも、オルゴールにも興味がなくても、どんな人にとっても一見の価値がある。
光を通した藤城清治の世界の、精緻で大胆で、輝かしい美の世界には、大人も子供も驚嘆の声をあげるだろう。
藤城グッズも充実。Mizumizuもカレンダーやクリアファイルなどをお買い上げ(笑)。
しかし、このカレンダー、すわりが悪くて困った… 細かいところが案外粗悪なのが、美術館グッズには多い。販売を企画する人間は、こういうところの質に、もっと気を配るべきだろう。芸術家の作品で人を集めて、その芸術作品の品質にあやかって商売しているのに、こういうところがザツな物品が多いことに腹立たしさを覚える。