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カテゴリ:Travel(日本、九州)
臼杵市内で一泊し、翌朝は早朝に出発。 金明孟宗竹(きんめいもうそうだけ)と風連鍾乳洞を見て、稲積水中鍾乳洞、祝子川渓谷を周り、夜は延岡にというスケジュールを立てた。 風連鍾乳洞の近くの金明孟宗竹自生地区をルートに入れたのは、ほんの気まぐれだった。金明孟宗竹というのは、「黄金の竹」とも言われる孟宗竹の突然変異。 「大分県臼杵市野津町大字王子岩瀬」というのが自生区の住所。ナビに案内されて田畑の中の駐車場に車を停める。 金明孟宗竹を見に行くと自動的に(?)見ることになる重文の石塔を見て… まあ、この由来に興味のある人は自分で調べてください。 ちゃんと自生地区に行けるかな? と少し心配だったのだが、案内板もあって、場所はすぐにわかった。 早朝で人はいなかったが、きれいに手入れされた田畑がこの山里に住む人の勤勉さを伺わせた。 金明孟宗竹についての看板も設置されていて、説明は非常にわかりやすい。 説明文によれば、この突然変異の竹は西日本に多いという。金明孟宗竹には「キンメイチク型」と「縦じま型」の2種類の縞模様があるのだが、ここ臼杵のように双方が同じ場所に自生しているのは非常に珍しいのだとか。 こんもりとした竹林に足を踏み入れると、そこはもう「かぐや姫」の世界。 想像以上に縞模様がくっきりと鮮明で、これが自然のものとは信じられないほど。まるで人工的に描いたようだ。 かぐや姫のいた黄金に輝く竹というのは、完全なる空想ではなく、昔からこのような突然変異の竹があり、そこから着想を得たのではないだろうか。 そういえば、「真名野長者伝説」でも臼杵には「黄金のもの」がたくさんあり、淵には黄金の亀がいたとある。金明孟宗竹がこの地に生えたというのも、臼杵の黄金伝説と無縁でないのかもしれない。 確かに、2種類の縞模様の竹が仲良く並んでいる。左が縦じま型。右がキンメイチク型。 筍から竹に変身するときには、すでに綺麗な模様ができている。 自生区はよく手入れされている。 早朝の初夏の空気は清々しい。風のわたる音と、鳥の声だけが聞こえる。 周囲を取り囲むのは、見たこともない実に見事な模様をまとった竹、竹、竹… まるで相談でもしたかのように、まとまって生えている。 想像以上に不思議で、美しい竹だった。さほど広くはない空間だが、ここだけが魔法にかかったよう。先に進むとたちまち魔法は解け、竹林は普通の緑の竹に変わる、引き返せば人の気配ただよう山里の田畑にすぐに戻れる。 磨崖仏と鍾乳洞という、臼杵で名高い造形美にこの色彩美を加えて、「臼杵の三大美」と呼んだらどうだろう。 辺鄙な場所だが、磨崖仏から鍾乳洞へ行く途中にあって寄りやすい。臼杵に行くなら是非お立ち寄りを。 ところで、駐車場で野外のトイレに寄ったのだが、清掃が行き届いているのに驚いた。タンクの上に造花まで飾ってある。顔も知らない、この山里の誰かの「おもてなし」の心に触れた気がした。 まだあまり人が来ないから、逆にきれいに保たれているのかもしれない。この美しい竹が今よりもっと有名になり、多くの人が訪れるようになっても、掃除してくださる土地の人たちの心遣いに応えるように使ってほしいもの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.06.21 05:07:42
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