アメリカではカールスバッド、イタリアではカステラーナ。前者は世界自然遺産で、後者はヨーロッパでも有数の鍾乳洞。海外では、この2つの素晴らしい鍾乳洞に行ったことのあるMizumizu。
カールスバッドでは、その洞窟空間の巨大さとその中に広がる多彩な鍾乳石の世界に圧倒されたし、カステラーナでは、白く輝く鍾乳石のこの世のものとは思えない美しさに感激した。
日本では山口の秋芳洞。ぽっかりと空いた洞窟の入り口で人々を待ち受ける百枚皿を初めて見たときの驚きは、今も覚えている。
臼杵の風連鍾乳洞は規模は小さいものの、鍾乳石の繊細な美しさでは秋芳洞を凌ぐという人もいて、行ってみたいと思いつつ、なかなか足を伸ばさないままでいた。
今回ついに訪問。
臼杵市内からは少し距離があるが、夏はわりに朝早くから開くので、2日目の金明孟宗竹を見たあとに組み入れた。
しかし、夏期の営業時間、ネットでは朝8時となっていたが、臼杵市内で入手したパンフレットでは9時になっている。電話で確認したら、8時半からだという。
ちょうど8時半過ぎに着いた。明るい緑がしたたってくるような山の中にある。天候に恵まれた早朝だったので、空気は際立って清々しく気持ちがよかった。秋芳洞ほど観光地・観光地しておらず、こじんまりとしている。
洞窟入り口に隣接する施設(お土産など売っている)は非常に古く、昭和40年代という雰囲気。
チケット売り場の横に、古いがカワイイ絵地図を見つけて、パチリ。
地元の青年団がこの鍾乳洞を発見したときの探検口が、現在の入り口の横にある。人ひとり通れるかどうかの小さい穴だった。
入り口から続く通路は、鍾乳洞とは思えない。ただの坑道のよう。だが、これが逆に探検の雰囲気を盛り上げる。
徐々につらら石、石筍などの鍾乳石が現れるが、通路は狭いまま。だが、その通路の狭さが、最後に「竜宮城」と名付けられた、ドーム型の空間に出たときの感動を演出することになる。
この最後の空間は、実に素晴らしい。天井からは無数のつらら石が垂れ下がり
白く輝く鍾乳石も。
そして、気の遠くなるような時間をかけて作られた石柱も。
ヘリクタイトという、側方に向かって結晶が成長する珍しい鍾乳石があるとかで、看板もあったのだが、目視ではよくわからなかった。
上からのつらら石と下からの石筍がドッキングしたこの鍾乳石(写真左)は、高さが7メートルにもなるとか。ちなみに石筍が1センチ成長するのにかかる時間は100~130年だそう。
神秘的な造形に彩られたドーム型の地中空間は、間違いなく一見の価値がある。見上げても、見回しても、新鮮な驚きが。
洞窟という制限された空間ゆえに、閉じ込められたような息苦しさもあり、そのなかに広がる無限とも見えるような造形美の間で、眩暈のような感動が胸を満たす。
階段がしつらえてあって、そこをのぼれば、より近くから鍾乳石を鑑賞できる。
下から見上げて、空間の広がりを楽しむのもよし、階段をのぼって、細部の造形を間近に見るのもよし。
残念ながら写真では、風連鍾乳洞の有機的な空間美が伝わらない。出来上がった写真を見るとそれが残念に思え、逆にあの空間の中にまた立ってみたいという憧憬が掻き立てられもする。
また行きたい、風連鍾乳洞。
そして、まだ見たことのない沖縄の玉泉洞にも行きたくなった。
風連鍾乳洞にも玉泉洞にも愛媛の山内浩氏の名前が見える。ケーブに並々ならぬ関心と情熱をもった、優秀な先人のおかげで、私たちは今こんなふうに楽しんでいる。