「ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのバウムシュピッツ」。この長ったらしいカタカナをすらすら言える人はドイツ語の分かる人だ。
この「もろデルフト焼き」を想像させる袋の絵柄を見ると、一瞬オランダのお菓子かと勘違いする。だが、スペルを見れば完全にドイツ語。この店はドイツ(ハノーファー)にある。
ホレンディッシェ→オランダ風の、カカオシュトゥーベ→カカオの部屋(カカオパーラー)。シュトゥーベを「お菓子屋」と意訳して説明しているサイトも多く見かけるが、直接的には。シュトゥーベは人をもてなす「部屋」のこと。
「もともとは、オランダのココア(カカオ)の試飲店だった」というネットの説明を読んだが、店のネーミングからその話は非常に納得できる。
このオランダ風カカオ部屋で作るバウムシュピッツ(一口バウムクーヘン)は、非常にドイツ的で、しかも繊細な逸品だ。
日本人はとにかく、「しっとり」とか「ふわふわ」のお菓子をやたらと評価するが、時々、なんでもかんでも「唾液が必要ないほどしっとり」とか、「食べてる気がしないほどふわふわ」とかになってしまう傾向にウンザリすることがある。
ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのバウムシュピッツは、しっとり系ではあるが、やたら「しっとり」ではない。そこがいい。素朴な粉のさっくり感もちゃんと残っている。カカオの名が店の名前になってるだけあって、チョコレートももちろん最高級の味。サンドしてあるのは、アンズのジャム。チョコレートにしのばせたほのかなアンズの風味がまた、ドイツ風でとてもいい。
定番のバウムシュピッツにはトッピングはないのだが、ときどき限定でこの写真のようにナッツを散らしたバージョンが出る。深入りナッツが大人のアクセントでこれまた非常にいい。定番にしてほしいくらい。
こちらはホワイトデーのころに出る限定品。ホワイトチョコにラズベリーのアクセント。
箱も限定バージョンがある。カラフルな色の取り合わせが、ややちぐはぐなのがドイツ風で、そこがまたカワイイ。こういうものが時々出るから、常連でも飽きない。
日持ちもするし、パッケージのデザイン性も高い。そしてどこまでも「ドイツ」な個性が光る美味なお菓子。手土産に迷った時なども、これなら間違いない。
店舗も徐々にだが、増えてきている。一度お試しあれ。