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カテゴリ:Essay
三宅一生のBAO BAOのバッグに目が留まったのは、東京駅のそばにKITTEがオープンしたころなので、もうかなり前のことになる。光沢のある三角形のピースをつなげたモダンで斬新なデザイン、置くとクシャッとなる、そのフレシキブルなフォルムに惹かれたが、当時でショルダータイプの小ぶりなバッグが3万円台半ば。レザーのバッグが買える値段だった。
デザイン性は高いが、ちょっと設定価格が高いのでは? そんなに命長くないかも、このブランド。などと思っていたのだが、現実には真逆の現象が起こった。 アジア圏で人気に火が付き、それと共に値段もますます強気に。新宿高島屋ではBAO BAOショップがあるのだが、いついっても外国人(欧米ではなくアジアからの)観光客が、スマホ片手に「このモデルはないのか?」「これはいくら?」などとやっている。 一時品薄状態になったときの、売り場の光景はシュールですらあった。ほとんどカラの商品棚の間を店員が仕方なさそうにブラブラと歩いている。話しかけて、「在庫もないんですか?」と聞くと、「そうなんです。朝はもう少しあったのですが…」という答え。 朝出たのに、昼にはほぼ完売って、人気の食べ物屋じゃなんだから(笑)。 しばらくして、品薄状態は解消され、逆にバンバン新商品が入ってくるようになったが、アジア人観光客の間での人気は相変わらずで、韓国語やら中国語やらタイ語やらで客同士が話しつつ、店員とは英語でやりとりをしている。 店員は少し…というか、かなり冷淡だ。日本人に対しても、ネットカタログにある商品の他店からの取り寄せは基本やらない(つまり、基本的に高島屋店にそのときあるものだけを売るシステム)とかで、外国人がスマホで「これは、ある?」と聞いてきても、販売システムの説明などは一切なく、「No」の一言であしらっている。 免税の手続きの説明も事務的で、日本人特有のお世辞笑いもあまり出ない。逆に日本人客に対しては、普通に愛想がよく、商品説明も積極的にしてくれる。 有名ブランド品を買いに来た外国人観光客への、このそっけない態度。どこかで見た気がする。それはおそらく、昔、昔、まだルイ・ヴィトンがほとんどモノグラムの商品しか出していなかったころ。フランス本国で買えば、値段が日本のほぼ3分の1だった時代。 日本人がパリのルイ・ヴィトン店に押しかけ、友人から頼まれた分だとか(本当は並行輸入業者だろうが)言って、買えるだけ買いこんでいた。そのときのフランス人店員の日本人客に対する態度は、いっそ人種差別ではないかと思えるほど冷淡だった。 あの光景を――いや、あのときのフランス人ほどひどくはないが――今東京のBAO BAOショップで見ている気がする。別のBAO BAOショップには、狭い店舗に外国人観光客が押し寄せ、店員が対応しきれず入場制限をかけていた。 これほどの人気を獲得した日本ブランドのバッグというのは、かつてなかったのではないだろうか? Mizumizu所有のBAO BAOは、白のショルダー。 トートタイプではなく、上部にファスナーが付いているのがMizumizuにとっては必須条件。置いたときのクシャッと感は、BAOBAOの最大の魅力のひとつ。 横マチタイプのすっきりしたものもあるが、例によってMizumizuは 底マチタイプを選ぶ。 マチの部分は畳めて、荷物が少ないならペタンとした形で持つこともできる。 日本人の間でも、このBAO BAO、非常に人目を惹くようだ。新宿高島屋の入り口では、キモノ姿のおしゃれな年配の女性に話しかけられ、「すいません。そのバッグ、今日見たの5人目なんですよ。灰色と、黒と、黄色も… どこのブランドですか?」と聞かれたことも。 そう、都心を歩くと、何人も見かけるのだBAO BAO愛用者。昔だったら、「街を歩けばルイ・ヴィトン」だったように思う。ヨーロッパブランドが呆れるような値上げを続けるから、ついに日本人もヨーロッパブランドのバッグへの「お布施」はやめたようだ。 ニューオープンのBAO BAOショップのショーウィンドウを見つけて、「あっ、できたんだ」と隣りにいた家族に言ったら、たまたま横にいたオバサンが、「これいいですよね。私昔買ったんだけど、丈夫でいいんですよ。また買おうかと思って」と話しかけてきたことも。 BAO BAOを知らない人でも、ファッション感度の高い人は、「素敵なバッグですね。どちらの?」などと言ってくる。やはり、BAO BAOのインパクトは強烈のようだ。 白いバッグを買うと、お揃いの小物が欲しくなるのも人情。 こちらはカードケース。 こんなふうに両サイドにカードが入るのだが‥‥ はっきり言って使い勝手はかなり悪い。バッグの中に放り込んでおくと、この広がった状態になって、下手したらカードが飛び出してきてしまう。ポーチに入れるか、バッグのサイドの物入れに入れないとダメ。 バッグのほうは、中の仕切りも最小限のヨーロッパタイプ(かどうか知らないが、とにかく日本のバッグは中を仕切りすぎ)なので、ポーチ派のMizumizuにはとても使いやすい。 同じ白の化粧ポーチも出たようで、 バオ バオ イッセイ ミヤケ 三宅一生 BAO BAO ISSEY MIYAKE ポーチ 76AG525 PRISM 50 クリーム アイボリー 小物入れ コスメ メンズ レディース ブランド おしゃれ シンプル 小 ファスナー カジュアル スマホ 化粧品 プレゼント クリスマス 多分、いずれ買ってしまうだろうなと思っている(笑)。 伝統的な意味での高級感とは一線を画す、シャープでスタイリッシュなデザインは、特に夏のファッションによく合う。パンツスタイルでもスカートでも。合う服の幅が広く、そしてバッグ自体が軽いというのも、BAO BAOが人気を博す理由のひとつだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.08.04 06:53:20
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