アイスダンスと並んで、世論を二分した…かもしれないフィギュアスケート女子シングル五輪代表3枠目。候補に残った三原舞依選手と河辺愛菜選手の点差はわずかで、しかも、三原選手のフリーの内容はさほど悪くなく、ただ連続ジャンプを跳びすぎたために点数ロスが大きかったというもの。
2人の表現力は相当な差があるように感じたが、得点を見ると演技・構成点の2人の点差は2点とわずか。個人的にはもっと表現力の差を点数に反映してほしかったが、昨今のジャンプ重視の採点の流れから言えば、どうしても主観が入る演技・構成点では「順位はつけるが、点差はつけない」ほうが、無難…というか公平な採点になる。
では、代表にふさわしいのはどちらの選手か? 実績から言えば三原選手だが、今シーズンの河辺選手はとても調子がよい。とりわけトリプルアクセルの安定度は大きな武器だ。
高難度ジャンプを「跳べる」といっても、高い確率で認定され、GOEプラスの評価を得られるジャンプを跳べなければ、得点上は意味がない。今の評価システムでは、重要なのは回り切っているかどうかであって、着氷したかどうかではないのだ。この価値観にMizumizuが必ずしも同意できないのは、過去に何度も述べているので繰り返さないが、そういうルールになっている以上、それにもとづいて得点が与えられるのは当然のことだ。
Mizumizuは樋口選手のトリプルアクセルに期待していたが、全日本が終わってみれば、樋口選手のそれは1回でGOEはマイナス評価。河辺選手は2回入れてどちらもプラス評価だった。
認定されるトリプルアクセルを跳ぶことができ、かつGOEでもプラスの評価を得たことが河辺選手の大きなアドバンテージになった。心情としては苦労を重ねてこの舞台に立った三原選手を五輪に送ってあげたいが、まだ若く将来性があり、かつ難度の高いジャンプを跳べる河辺選手を派遣しようという結論は、今の選手評価傾向からすれば、妥当かなと思う。
河辺選手は、「私はまだ実力不足」と控えめだが、どうしてどうして、ショートのトリプルアクセルを降りたあとの微笑みには女王を予感させる雰囲気があった。フィギュアスケートでは技術だけではなく、その選手のもつ個性も大事だ。河辺選手はまだ純白で自分の色が出てきていないようにも思える。だが、若いわりには落ち着いていて、どこか神秘的な表情は、「これから」に大いなる期待を抱かせる。
注目は先輩の2人に集まるだろうから、外からのプレッシャーはそれほどでもないハズ。自分にあまり重圧をかけず、伸び伸びと五輪のリンクで滑ってほしい。
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