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カテゴリ:手塚治虫
5月8日に放送されたNHKのクローズアップ現代『”AI兵器”が戦場に』。この内容を起こした記事 "AI兵器"が戦場に 自律型致死兵器システム開発の現状は - NHK クローズアップ現代 全記録 を読んですぐに脳裏に浮かんだのが、手塚治虫の『火の鳥 未来編』。 ここでは人類は5か所の地下都市でのみ生きながらえている。支配者として君臨するのはコンピュータ。そして、ささいなコンピュータ同士の対立から2つの都市が戦争になる。「計算」に基づいたコンピュータの判断は絶対で、その命令には人は誰も逆らえないのだ。そして、戦争は2つの都市のみで起こったはずなのに、残りの3つの都市もなぜか同時に爆発して消えてしまう。コンピュータがどういう「計算」をしてそうなったのかは分からない。一瞬の、あまりにあっけない人類の滅亡だ。 『”AI兵器”が戦場に』では、以下のように問題を提起している。 AIの軍事利用が急速に進み、これまでの概念を覆す兵器が次々登場しています。実戦への導入も始まり、ロシアを相手に劣勢のウクライナは戦局打開のために国を挙げてAI兵器の開発を進めます。イスラエルのガザ地区への攻撃でもAIシステムが利用され、民間人の犠牲者増加につながっている可能性も。人間が関与せず攻撃まで遂行する“究極のAI兵器”の誕生も現実味を帯びています。戦場でいま何が?開発に歯止めはかけられるのか? ”究極のAI兵器”とは100%自律的に動作する殺戮機械のこと。人間が判断し、指示する必要がなくなり、「正確な計算」に基づき「効率的・効果的」に敵を倒すことができるようになるというのだ。 ヤレヤレ…実に不愉快な話。いや、不愉快ではすまない、ぞっとする話だ。 元米国防総省 AIの軍事利用政策に携わる ポール・シャーレ氏 「AIシステムは、より多くの任務を果たすことができます。その性能は時間とともに向上しています。機械は民間の犠牲を考慮せず、単に計算をして攻撃を許可・実行してしまいます。結果、人々により多くの殺戮(さつりく)や苦しみをもたらしかねません。人間が命の重さを考えることができなくなれば、向かうのは暗黒の未来です」(以上、『クローズアップ現代』の記事から引用) 手塚治虫が常に世に問うてきた「命の重さ」。それを考えることができなくなる、暗黒の未来が来るというのだ。規制を求める声は、当然ある。しかし、かつての核兵器開発競争と同じく、AI兵器の開発競争も、止めることなどできない。 ウクライナ デジタル変革担当 アレックス・ボルニャコフ次官 「技術革新は私たちが生き残る手段です。ロシアは躊躇(ちゅうちょ)することなく、より致命的な兵器の開発に取り組んでいるのです。いつ、この開発競争が終わるか分かりません。総力戦に向かうことが、人類にとって正しい道だとも思っていません。それでも開発を続けねばなりません。さもなくば、彼らが優位に立ってしまうからです」(『クローズアップ現代』の記事より) 「人類にとって正しい道だと思わない。でも、やらなければ敵が先に開発を進め、優位に立ってしまう」――この理屈、この恐怖。それが人類を破滅へと導く。『火の鳥 未来編』が描くのは、完全自律型AI兵器のさらに先に待ち受ける、完璧(だと人間が思い込んでいる)コンピュータが支配する世界なのだ。 まさに手塚治虫の「予言」どおりに、世界は進んでいる。NHKは昨夜(2024年6月11日)Eテレでアニメ『火の鳥 未来編』のワンシーンが流れる番組を再放送していた。 「なぜ機械のいうことなど聞いたのだ! なぜ人間が自分の頭で判断しなかったのだ」 そう誰かが叫ぶのは、遠い未来なのか、あるいはそう遠くない未来なのか。 火の鳥(2(未来編)) [ 手塚治虫 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.12 01:27:56
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