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カテゴリ:政治・経済
こんばんは、今週も終わろうとしています。
台風接近に伴い、土日のガーデニングは、ちょいと怪しそうな雰囲気です。 さて、びっくりですが、なんと、東海・関東甲信越地方も、どうやら梅雨入りのようです。 梅雨明けは7月の20日前後。 今年は、ずいぶんと長い梅雨の時期を迎えそうです。 O十日間日照ゼロ・・・みたいな記録が出来そうで、恐いですね。 さて、タイトルですが、鳩山前総理の普天間基地移設問題に次ぐ、びっくりの発言が、菅内閣から飛び出して、驚いております。 理科系のお二人、歴史を知らないのじゃないか? と複雑な発言です。 鳩山さんは、15年もかけて話し合われてきた、基地返還と移設の話しを、たった数日で振り出しに戻してしまいました。 賛否はあるでしょうけど、15年の歴史は、一瞬にして無駄になってしまったのです。 基地問題、今後15年以上はもめ続け、新たな、日本の悩みの種になるでしょう。 そして、今回の菅総理。 東京電力、福島原子力発電所事故に絡む、発送電分離(電力の自由化)論への言及。 菅総理だけじゃなく、枝野さんまで容認している様子。 事態を重く見た、経団連の米倉会長は、直ちに否定のコメントを発表しました。 「日本の戦後の成長を、否定してなならない。」 多少の規制緩和、再生エネルギーへの転換は必要だと思います。 しかし、地域独占型の公益事業(利益追求を禁止されている)という、日本の電力、ガスなどの事業形態は、安定したエネルギー供給により、世界でもトップクラスの技術が、次々と生まれる地盤を作ってきました。 原子力というリスクを除けば、公益性の高い事業の地域独占は、世界的に経済政策のお手本になっているのです。 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ・・・ 世界中の国々が、日本のエネルギー事情を、お手本にしようと努力しています。 その日本が、何故?? 実は、昭和初期、日本に初めて電力が普及し始めた頃は、自由競争でした。 今の通信事業と似ています。 小さな電力会社が次々と生まれ、小さな地域で、顧客の獲得を争っていました。 値下げにサービス・・あらゆる手を使い、電気を売り合っていたのです。 消費者にとっては、都合が良さそうにも見えますが、結果は過当競争によって、電力の質は落ち、安定した電力は供給されませんでした。 とにかく、一つの電柱に何本もの電線が引かれる。 ものすごいコストのロスです。 電源は、主に水力。 そう簡単に、発電所は増えません。 なのに、末端では顧客の紛争戦。 電圧が下がれば、街灯や電球はフラフラと暗くなったり、ある電力会社の契約世帯だけ、停電してみたり・・・ 今の中国みたいなもので、電気は、安定したエネルギーではなかったのです。 結果として、工場や公共施設などでは、停電に備え、自家発電を準備せねばならず、電気は高いエネルギーになってしまい、普及の遅れを引き起こしました。 戦争になり、電力は公益性の面から、国営化されましたが、そこは役人仕事。 さらにサービスの悪化、発電機が壊れても直さないなどの怠慢も生まれ、戦時中の電力のひどさは、歴史に残るほどでした。 戦後はGHQに移管され、国営化に戻される予定でしたが、 電力の産みの親「松永安左右衛門」氏によって、民間事業に戻されたのです。 その条件として、 ・公益事業として、地域独占形態を守り、足の引っ張り合いをしない。 ・競争をしない代わりに、電力の質の向上、安定供給に努める。 ・利益を追求せず、利益が出たら、電源開発やサービスの向上など、消費者に全て還元する。 などといった、条件を提出、約束したのです。 今から数十年前、何を考えたのか、アメリカのカリフォルニア州で、規制緩和の一貫として、電力の自由化を実験したことがありました。 自由競争が起き、値下げにサービス合戦の末、一日に何回もの停電が起き、電車が止まり、信号が消え、ホテルも役所も企業も病院も大騒ぎになりました。 エレベータ-に人が取り残され、地下鉄は暗闇に止まり、電話も通じず、警察も救助に迎えず、救急や消防の機能もマヒしてしまったのです。 観光客は減り、企業や病院は州を脱出し、税収はなくなり、電力の消費者も減ってしまうという悪循環が起きました。 発送電の分離で、発電会社の能力が落ちると同時に、発電と送電のバランスが崩れてしまったのですね。 例えば、ラーメン屋さんで、厨房と客席が分離(違う場所に出来る)されたら、どうなってしまうでしょう? ある日の注文は300食、次の日は100食、しかも、昼時にわーっと注文が入ったり、ぽつりぽつりと、散発的に注文が来たり・・・ 予定が立たないので、レシピは何人分用意すればよいのか? 調理人を何人雇えばよいのか? 厨房の大きさはどのくらいにすればよいのか? 出前の配達は、何人いればよいのか? 多く見積もれば、在庫の山になり、倒産し、 少なく見積もれば、食べられない人が続出し、 競合店がつぶれれば、注文は倍増し、競合店が増えれば、注文は激減してしまう。 リスクを減らすため、規模の拡大ができず、結果として、質を落とし、割高にせざるを得ません。 カリフォルニア州の事例も、日本が通ってきた、歴史の答えと同じでした。 通信事業も、倒産に合併を繰り返し、やっと大手3社に落ち着いてきたようです。 通信形態は電話、FAX、パソコン、電報、手紙など複数ありますので、一つや二つ無くなっても生きていく上で、パニックになりません。 しかし、電気、ガス、水道。 このうち、一つでも欠けてしまうと、生死に関わる問題になってしまいます。 ですから、安定供給が不可欠なんです。 基地問題に続いて、電力事業まで振り出しに戻してしまうのか? 恐ろしいことです。 そうそう、日本の産業の発展、安定した電力に支えられてきたと言いました。 これは、電気の質の問題なんです。 パソコンや製造設備、いつも同じ電圧に電流があって初めて正常に動くんです。 海外のように、電圧が下がる、電流が一定しない。 こういう電力では、精密機器は動きませんし、誤作動を起こしてしまうのです。 安定した信頼できる電力が得られるからこそ、精密機器が動き、緻密な計算や測定を続けられ、精度の高い技術や医療やサービスが可能になるのです。 地域独占が絶対に良いかどうかは、検証する余地があるでしょう。 しかし、世界に誇る電力事業のあり方、今さらひっくり返さないで欲しいというのが、私の願いです。 歴史をひっくり返すのは、基地問題だけで充分です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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