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2017年02月08日
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カテゴリ:日韓関係
私の中の備忘録として、

朝日新聞社の謝罪文2014年12月23日付を記録します。

慰安婦問題を報じた本紙記事について、第三者委員会から不正確で読者の誤解を招くものがあるといった指摘を受けました。
これまでの訂正・記事取り消しなどに加え、独自に検討を進めてきた結果を踏まえて必要な訂正をします。
読者の皆様におわびし、理由を説明いたします。訂正などにあたってのわかりやすい提示方法について今後も検討し、改善を重ねます。

「軍関与示す資料」の記事について
「従軍慰安婦」用語メモを訂正


 「従軍慰安婦 1930年代、中国で日本軍兵士による(ごうかん)事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。
元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約8割が朝鮮人女性だったといわれる。
太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊(ていしんたい)の名で強制連行した。
その人数は8万とも20万ともいわれる」(92年1月11日付朝刊1面)


 これは、日韓首脳会談のために当時の宮沢喜一首相が訪韓する前、
「慰安所 軍関与示す資料」という見出しの記事と併せて掲載した用語説明メモです。
 慰安婦については、今も実態がはっきりしない点が多くあります。
現在までの研究成果や知見を踏まえると、このメモには誤りや不正確な表現があります。
90年代から疑問を指摘されていた点もありました。
長期間にわたり読者の誤解を招く表現を放置し、対応を怠ったことをおわびし、訂正します。

 誤りは、慰安婦と挺身隊を混同したことです。
女子挺身隊とは軍需工場などに動員した「女子勤労挺身隊」を指し、
兵士らの性の相手をさせられた慰安婦とはまったく別のものです。

 また、慰安婦の数や朝鮮人女性の比率も、現在の知見に照らすと不正確でした。
日本人を含めた慰安婦の総数を示す公式記録は見つかっておらず、
国内の研究者の推計も変化しています。
民族ごとの比率も明確な資料は見つかっていません。

 現代史家の秦郁彦氏は93年に6万~9万人とし、99年には2万人前後と修正しました。
吉見義明・中央大教授(日本近現代史)は95年に5万~20万人と推計し、最近は5万人以上としています。
日本人や他の民族の慰安婦が全体に占める比率も諸説あり、確定していません。

 第三者委の報告書はこのメモについて、
「あたかも挺身隊として『強制連行』された朝鮮人慰安婦の人数が
8万人から20万人であるかのように不正確な説明をしている点は、
読者の誤解を招くものであった」と指摘しました。
また、「集積された先行記事や関連記事等から抜き出した情報を
そのまま利用したものと考えられる」と述べ、
「当時は必ずしも慰安婦と挺身隊の区別が明確になされていない状況であった
と解されることを考慮しても、まとめ方として正確性を欠く」としています。

 朝日新聞は今年8月、慰安婦と挺身隊の混同があった記事について、
該当の表現を過去記事を閲覧できるデータベースから削除せず、
おことわりをつけて確認できるようにしました。

 この用語説明メモについては、今後、「慰安婦と挺身隊の混同があり、
『主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した』という表現は誤りでした。
これまでの知見では、慰安婦の数や朝鮮人女性の比率もはっきりわかっていません」
といったおことわりをつけます。

第三者委「政治課題となるよう企図」

 1992年1月11日付の朝刊1面で「慰安所 軍関与示す資料」との見出しで報じた記事をめぐっては、他のメディアなどから疑問が出されていました。

 記事は、防衛庁防衛研究所図書館所蔵の公文書に、
旧日本軍が現地部隊に慰安所の設置を命じたことを示す文書などが見つかったという内容です。
政府は当時、国会答弁で国の関与を認めていませんでした。
この記事の掲載は宮沢喜一首相が同月16日から訪韓する直前で、
前文(リード)でも「政府として新たな対応を迫られるとともに、
宮沢首相の16日からの訪韓でも深刻な課題を背負わされたことになる」と書いていました。

 記事への主な疑問は、
(1)資料を早く入手していたのに、首相訪韓直前のタイミングを狙って記事にしたのではないか
(2)韓国や日本国内で、慰安婦の強制連行に軍が関与したというイメージを世論に植え付けようとしたのではないか、という点です。

(1)について、第三者委の報告書は「(首相訪韓直前のタイミングを狙った)実態があったか否かは、もはや確認できない」としたうえで、
前文の表現などから「訪韓の時期を意識し、慰安婦問題が政治課題となるよう企図して記事としたことは明らか」と指摘しました。
(2)については、「記事には誤った事実が記載されておらず、記事自体に強制連行の事実が含まれているわけではないから、
朝日新聞が本記事によって慰安婦の強制連行に軍が関与していたという報道をしたかのように評価するのは適切でない」としています。


「元慰安婦、初の証言」の記事について
「女子挺身隊」「連行」の記述訂正


「日中戦争や第2次大戦の際、『女子挺身(ていしん)隊』の名で戦場に連行され、
日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、
1人がソウル市内に生存していることがわかり……」
(91年8月11日付朝刊社会面〈大阪本社版〉)


 これは、「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」との見出しで掲載した記事の前文部分です。
記事は、韓国人の元慰安婦の一人が初めて、自らの過去を「韓国挺身隊問題対策協議会」に証言したことを、録音テープをもとに伝えました。

 しかし、同記事の本文はこの女性の話として「だまされて慰安婦にされた」と書いています。
この女性が挺身隊の名で戦場に連行された事実はありません。
 前文の「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」とした部分は誤りとして、おわびして訂正します。


 第三者委員会に対し、筆者の植村隆・元記者(56)は
「あくまでもだまされた事案との認識であり、
単に戦場に連れて行かれたという意味で『連行』という言葉を用いたに過ぎず、
強制連行されたと伝えるつもりはなかった」との趣旨の説明をしたといいます。

 第三者委は報告書で、「だまされた」事例であることをテープ聴取で明確に理解していたにもかかわらず、
この前文の表現は「『女子挺身隊』と『連行』という言葉の持つ一般的なイメージから、強制的に連行されたという印象を与える」などと指摘しました。

 また報告書は、挺身隊と慰安婦の混同について、
91年から92年ころにかけて両者の違いが急速に意識されるようになるまでは、
「両者を混同した不明確な表現が朝日新聞に限らず多く見られたという実態があった」
との見解を示しました。

朝日新聞は今年8月の検証記事で、
この記事に「意図的な事実のねじ曲げはない」と結論づけました。
報告書はそれだけでなく、
「読者に正確な事実を伝えるという観点から、前文部分の記載内容も含め、
さらに踏み込んで検討すべきであった」としました。
この指摘についても、重く受け止めます。

 この記事には、過去記事を閲覧できるデータベース上で、
挺身隊の混同がみられたことから誤用したことを示すおことわりをつけています。
今後、改めて、「この女性が挺身隊の名で戦場に連行された事実はありません」
といったおことわりをつけます。

第三者委 元記者の「事実ねじ曲げ」否定

 植村氏が91年に書いた記事2本には、他メディアから疑問が示されていました。

 一つは、91年8月、録音テープの提供を受けて元慰安婦の証言を匿名で報じた際、
後に元慰安婦らの裁判を組織した韓国の別団体「太平洋戦争犠牲者遺族会」の幹部だった義母のつてで取材し、
裁判を有利に進めるために記事を書いたり内容を変えたりしたのではないかという疑問です。

 この点について第三者委は、
植村氏から「ソウル支局長から紹介を受けて挺対協のテープにアクセス(接触)した」という説明を受けたとし、
前年に韓国で元慰安婦を捜す取材をした経緯も踏まえ、
この説明を「不自然ではない」としました。
北海道新聞が直後にこの元慰安婦を直接取材し、実名で報じたことにも触れ、
「記事を書くについて特に有利な立場にあったとは考えられない」
「縁戚関係にある者を利する目的で事実をねじ曲げた記事が作成されたともいえない」
と結論づけました。

 また、この元慰安婦がキーセン(妓生)を育成するための学校に通っていた経歴を書かなかった
ことへの疑問も出ていました。

報告書は、植村氏が続報記事「かえらぬ青春 恨の半生」
(91年12月25日付大阪本社版朝刊5面)を書いた時点で、
この元慰安婦らが起こした裁判の訴状などから経歴を知っていたとし、こう指摘しました。

 「キーセン学校のことを書かなかったことにより、
事案の全体像を正確に伝えなかった可能性はある。
『キーセン』イコール慰安婦ではないとする(植村氏の)主張は首肯できるが、
それならば、判明した事実とともに、キーセン学校がいかなるものであるか、
そこに行く女性の人生がどのようなものであるかを描き、読者の判断に委ねるべきであった」

吉田清治氏関連の記事について
新たに2本、全文・一部取り消し


 朝日新聞は今年8月5日付の検証紙面で、吉田清治氏(故人)を取り上げた記事16本を取り消しました。

 吉田氏は存命中、日本の植民地だった韓国・済州島で戦時中、女性を慰安婦にするため暴力を使って無理やり連れ出したと証言していました。

 記事取り消しは、吉田氏の証言を虚偽だと判断したためでした。
8月以後、改めて過去の報道を再調査した結果、
吉田氏の虚偽証言に基づく記事がほかにも3件掲載されていたことを確認しました。
個々の記事には次のように対応し、長期間を要したことをおわびいたします。

 「連載 韓国・朝鮮人2(27) 命令忠実に実行 抵抗すれば木剣」
(80年3月7日付川崎・横浜東部版)は全文を取り消し、掲載したことをおわびします。

 この記事は、吉田氏への取材をもとに「2回ほど朝鮮半島に出かけ、“朝鮮人狩り”に携わった」などと伝えています。

 しかし、研究者らへの取材などから、吉田氏が所属したとする山口県労務報国会は、
指揮系統からみても職員が直接朝鮮に出向くことは考えにくいと判断しました。
慰安婦に関する吉田氏の証言を取り上げた記事と同様に、証言を虚偽と判断して扱います。

 「連載 うずく傷跡 朝鮮人強制連行の現在(1) 徴用に新郎奪われて」
(84年1月17日付夕刊社会面〈大阪本社版〉)についても、
吉田氏の証言に関する部分を取り消し、おわびします。

この記事は、吉田氏が朝鮮人強制連行業務の一端に連なった、
と書き、同氏が韓国・天安に建てた謝罪の碑の除幕式の様子を紹介しました。
除幕式があったのは事実ですが、前記の連載記事と同じ理由で証言を虚偽だと判断します。

 一方、「朝鮮人こうして連行 樺太裁判で体験を証言」(82年10月1日付社会面)は、
東京地裁に証人として出廷した吉田氏が朝鮮人の連行に加わったとの証言を採録し、
「朝鮮人徴用業務に直接携わった『労務報国会』の元幹部が初めて証人として出廷、
『朝鮮人狩り出し』と呼んでいた強制連行の実態を証言した」などと記しています。

 これまでの取材から、吉田氏の証言に信用性はなく虚偽と考えられます。
ただ、裁判という司法手続きでの証言の内容は取り消しや訂正になじまないと考え、
この記事にはデータベース上で「吉田氏の証言に信用性はなく、虚偽だと考えられます」
とのおことわりをつけます。

吉田証言の初報の筆者について
十分解明できず


 朝日新聞は今年8月の記事で、吉田清治氏が韓国・済州島で女性を強制連行した
とする証言を最初に報じた記事「朝鮮の女性 私も連行」
(1982年9月2日付大阪本社朝刊)について、
当時の大阪社会部の記者(67)が筆者と伝えた後、9月29日付朝刊社会面で、
この元記者が筆者ではないとの記事を掲載し、おわびして訂正しました。

 その際、別の元記者(66)が「初報は自分が書いた記事かもしれない」
と名乗り出たと説明しました。
 今回、第三者委員会の調べに対し、名乗り出た元記者は、
証言の場となった講演会場に赴いて写真の撮影はしたが、
記事執筆の点を含めて細かい記憶はないといった説明をしています。

 朝日新聞は当時の大阪社会部デスクらにも取材しましたが、
この初報の筆者を特定できませんでした。
十分に解明できなかった点をおわびします。





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最終更新日  2017年02月08日 23時01分27秒
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