2017.2.8[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国と豪州が通貨スワップ規模を従来の2倍の100億豪ドルに増やすことにした。
不透明な世界経済状況を勘案し、非常時に使える外貨を最大限に増やそうという趣旨で取られた措置だ。
韓国銀行(韓銀)と企画財政部によると、韓銀と豪州中央銀行は22日に終了するウォン・豪ドル通貨スワップ契約を3年延長し、規模も100億豪ドル(約9兆ウォン、約9000億円)に拡大することにした。
従来の韓豪通貨スワップ規模は50億豪ドルで、2014年2月の契約締結当時の為替レートで5兆ウォン程度だった。
豪ドル基準で規模が2倍に増えた。韓銀は「両国間貿易を活性化し、経済発展に寄与し、金融の安定を向上する目的で通貨スワップ延長契約が締結された」と公式的な通貨スワップ延長および規模拡大の理由を明らかにした。
このうち特に注目されるのは「金融の安定」だ。
世界経済はトランプ米大統領の米国優先主義および保護貿易主義強化政策で非常に不透明な状況だ。
オンショアリング(海外に工場を移転した企業が米国に再び工場を移すこと)政策のため、外国人投資家が投資金を撤収するという懸念も出ている。
米ドルも暴騰と暴落を繰り返し、外国為替市場を不安定にしている。
もちろん現在、韓国の外貨準備高は3700億ドルにのぼり、通貨危機当時のように簡単に揺れる状況ではない。
とはいえ武器は多ければ多いほどよい。
政府と韓銀が通貨スワップ拡大に注力するのもそのためだ。
通貨スワップは通貨を交換するという意味であり、それぞれの通貨をあらかじめ約定した為替レートで相互交換できる外国為替取引をいう。
外貨不足事態が発生する場合、すぐに通貨スワップ締結国から外貨の供給を受け、足下の火を消すことができる。
一種の「外貨安全網」ということだ。
特に韓国は重点的に推進してきた日本との通貨スワップ協議が中断したのに続き、中国との通貨スワップ延長もどうなるか分からない状況だ。
日本とは少女像など政治的な問題のために協議が中断した状態だ。
中国とは昨年、口頭で通貨スワップ延長に合意したが、その後は高高度ミサイル防衛(THAAD)問題が発生し、延長されるかどうか不透明だ。
契約が満了する10月に中国側が中断を伝えてくる可能性もある。
中国は通貨スワップ規模が米ドルに換算すれば560億ドルと、韓国の従来の通貨スワップ全体(1190億ドル)の半分近くを占める。 (引用ここまで)
韓国通貨スワップ マレーシアとは契約延長、日本とは中断、中国とは不透明
2017年01月26日[ⓒ 中央日報日本語版]
韓国企画財政部は韓国銀行とマレーシア中央銀行が2013年に締結したウォン-リンギット通貨スワップ契約をさらに3年延長することを決めたと25日、明らかにした。
延長された契約の規模は従来の契約と同じ5兆ウォン(約4900億円)で、延長契約の有効期間は2020年1月24日までの3年間となっている。
韓国銀行側は「韓国・マレーシアの通貨スワップ延長契約締結は、両国間の交易促進および金融協力強化に寄与するだろう」と期待した。
一方、日本との通貨スワップは、現在、中断された状態だ。
2001年20億ドル(約2300億円)規模で始まった韓日通貨スワップは、2011年700億ドル規模まで拡大して2015年2月に終了した。
その後2016年8月交渉再開に合意し、両国間の協議が始まった。しかし今月6日、日本側は釜山(プサン)日本領事館前の少女像設置を理由に協議の中断を通知してきた。
韓国側もこれに対してこだわらないという立場を明らかにしたことから、交渉再開のめどが立っていない状態だ。
企画財政部の宋寅昌(ソン・インチャン)国際経済管理官は17日、記者会見で「(日本に)韓日通貨スワップ協議の再開を要請することはない」とし「韓日通貨スワップ協議中断にともなう大きな影響はない」と伝えた。 (引用ここまで)
韓国がマレーシア、オーストラリアと立て続けに通貨スワップの延長を締結しました。
現状韓国が締結済みの通貨スワップは、
対インドネシア 115兆ルピア(約9700億円)・・・2017年3月5日まで
対中国 3600億人民元(約5兆9000億円)・・・2017年10月10日まで
対マレーシア 150億リンギット(約3800億円)・・・2020年1月24日まで延長
対オーストラリア100億豪ドル(約8600億円)・・・2020年2月22日まで延長
この4か国と総額8兆1000億円余りの2国間通貨スワップを締結しています。
あとは、韓国のチェンマイ・イニシアティブ貢献額384億ドルのうち、IMF融資関係なく利用できるスワップが、貢献額のうち30%である115.2億ドル(約1兆3000億円)です。
額面上は十分あるように見えますが、この中で国際通貨として通用するのは、
人民元と豪ドルと米ドルです。
前回の投稿でも書きましたが、人民元の決済通貨シェアは1.68%、豪ドルは1.55%です。
2国間決済なら十分だと思いますが、第3国との決済で使用するには心もとない状況です。
実際に第3国との決済で使用可能なのは米ドル(42.1%)・ユーロ(31.3%)・英ポンド(7.2%)までで、この3通貨で全体の8割以上を占めています。
韓国は、肝心かなめの3通貨では、チェンマイ・イニシアティブの115億ドルだけなわけです。
ちなみに日本銀行は、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スイス国民銀行と無制限の通貨スワップを締結済みです。
2国間通貨スワップでは
対インド 500億米ドル(約5兆6000億円)
対インドネシア 227.6億米ドル(約2兆5500億円)
対フィリピン 120億米ドル(約1兆3400億ドル)
対シンガポール 30億米ドル(約3360億ドル)
全て日本側は米ドルを供出する契約です。
また、「金融システム安定のためのスワップ取極」として、
対オーストラリア 1.6兆円
対シンガポール 1.1兆円
こちらは、日本円の供出です。
このことからも推測される通り、国際的な金融危機が発生した場合、決済可能な通貨は米ドルなわけです。
仮に日本円のスワップでもある程度の信頼度は担保されていますが、万全を期するために日本銀行は米ドルを供出する契約にしています。
「(日本に)韓日通貨スワップ協議の再開を要請することはない」
「韓日通貨スワップ協議中断にともなう大きな影響はない」
と言う、宋寅昌国際経済管理官の発言がどれだけ虚しいものなのか、この事からも分かります。