カテゴリ:韓国経済
2017.2.20[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
物価と貿易量を考慮した韓国ウォンの実質価値がグローバル金融危機以来の最高水準となった。 過去1年間の上昇率は中国、日本、ドイツなどの競争国よりも高い。 それだけ輸出価格競争力が急速に悪化しているということだ。 国際決済銀行(BIS)によると、1月の韓国の実質実効為替レート(REER)は111.17と、前月(110.57)比0.5%上昇した。 実質実効為替レートは、各国の物価と貿易比率を考慮して算出した通貨の実際の価値を表す。 2010年の100を基準に、これより高ければそれだけ高く評価されているという意味だ。 グローバル金融危機直後の2008年初めに120に近づいた韓国ウォンの実質実効為替レートは2009年3月に83.57まで下落したが、それ以降は上昇が続いた。 原油安と高齢化による不況型黒字が続いたからだ。 大規模な金融緩和を進めた日本や欧州などの通貨価値は相対的に下落した。 過去1年を基準にしても実際、韓国ウォンは2.8%上昇し、日本円の上昇率(2.0%)より高い。 同じ期間、中国人民元(-4.9%)、ドイツマルク(-0.6%)はむしろ落ちた。 (引用ここまで) 何故か「独マルク」という1998年末に廃止となった前世紀の通貨が登場する不思議な記事です。 それはさておき、日本経済と韓国経済はゼロサムの関係にあります。 日本経済が好調の時は韓国経済が不調で、韓国経済が好調の時は日本経済が不調であると言えるわけです。 そして韓国経済の好調は、輸出増によってのみ成り立つわけです。 韓国経済としては相対的なウォン高は受け入れられない事象ということです。 では、ウォン安になれば万々歳かと言えばそうではなく、昨年来のアメリカ利上げにより、韓国経済から外資が流出する「キャピタルフライト」の危険性があるわけです。 実際昨年末には1ドル1200ウォンを超えていたわけで、これは2010年以降3回しかなく、一歩間違えると通貨危機になりかねない状況だったわけです。 そこから僅か一月半で、今度は1ドル1150ウォン割れで、ウォン高!輸出企業の危機!とか叫んでいるわけです。 2017.2.17 [ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版] 【コラム】ウォン高、これ以上は譲れない (前略) ファンダメンタルズの改善がない通貨高は経済に相当な負担と後遺症を残す。 実質実効為替レート基準でみると、現水準は2007年当時のウォン高ピークに近接していて、さらなるウォン高は非常に負担となる状況だ。 過去の通貨危機とグローバル金融危機当時、韓国経済は韓国ウォン評価調整過程で相当な費用を支払っている。 現在は外貨部門の安定性が大幅に改善されたため金融市場への衝撃の可能性は低いが、輸出を中心に実物部門がかなり厳しくなる可能性がある。 相対的な景気好調や利上げなどの経済状況から今年と来年はドル高ウォン安に動くという予想が多かった。 この機会を生かすことが重要だと判断された。 経済政策持続可能性の限界でトランプ執権後1、2年が過ぎればドル安に転じるというのが市場の見方だったからだ。 しかし直接的な為替制裁という政策効果でウォン高が続き、その期待まで弱まることも考えられる。 また為替レートは韓国経済の長期的な流れと関連しても重要な岐路に立っている。 政策対応に限界があるが、ウォン高圧力を防ぐために経済的側面だけでなく外交的説得にも積極的に取り組むことが求められる。 家計負債の推移に留意しながら場合によっては利下げも考慮する必要がある。 もちろん対外不均衡緩和のためには消費、投資など内需を活性化することが根本的な処方になるだろう。(引用ここまで) なんか長々とごちゃごちゃ書いていますが、 ■韓国にとってウォン高とは、 ・韓国経済の大半を占める輸出業が(日本との)価格競争力を失い衰退する。 ・現在死にかけの造船、海運などに止めが刺される。 ■逆に韓国経済にとってウォン安とは ・外資が逃げるキャピタルフライトになりやすい。 ・ドル建て債務の支払いが相対的に増えることになり、一部輸出企業が破綻する。 ・輸入物価が高くなるため、低成長下のインフレとなり、国民生活に悪影響。 というふうに、どちらに流れても、韓国経済には厳しい状況になります。 で、日常のように為替介入を実施しているため、「為替操作国」とトランプ大統領から名指し批判を受けるわけです。 <次回に続きます> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年02月20日 23時50分14秒
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