貿易収支は1151億円の赤字-予想は450億円の赤字
機械受注の基調判断「足踏みがみられる」-8カ月ぶり下方修正
モノやサービスを含む海外との総合的な取引を示す経常収支は、5月速報で35カ月連続の黒字となった。
市場予想を下回った。
財務省が10日発表した。
内閣府は機械受注の基調判断を8カ月ぶりに下方修正した。
・経常収支は前年同月比5.9%減の1兆6539億円の黒字(ブルームバーグ調査の予想中央値は1兆7928億円の黒字)-前月比での黒字幅縮小は2カ月連続
・輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1151億円の赤字(予想は450億円の赤字)-赤字は4カ月ぶり
・機械受注は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比3.6%減-市場予想は1.7%増
・機械受注の基調判断は「足踏みがみられる」、8カ月ぶり下方修正
(中略)
■エコノミストの見方
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは発表後の取材で、「原油価格の上昇で貿易収支が増えにくくなっている中、所得収支が経常収支を支えている」と分析。
所得収支は円安の影響などで海外配当や利子の受け取りが増えていることから「高水準で推移している」と説明した。
みずほ証券の木曽美由紀マーケットエコノミストは発表後のリポートで、省力化や戦略分野への投資を背景に、設備投資は「製造業主導で底堅く推移しそうだ」と分析。
ただ「不足感がさらに強く意識される段階にはない」ほか、「業種ごとの受注状況がかなり異なる点には注意が必要」としている。
■詳細
・輸出は12.9%増の5兆7145億円、輸入は15.8 %増の5兆8297億円
・配当金や債券利子などの第1次所得収支は1.6%増の1兆9243億円
・旅行収支は5月として過去最高の1272億円-航空座席の供給量増が背景
・原油価格は前年同月比32.1%増、OPEC減産合意などで増加傾向
財務省のプレスリリースから表を引用しました。
日本の経常収支は、「第一次所得収支」の黒字が大半を占めており、
上記から「貿易収支」と「第二次所得収支」の赤字で差し引いた額となっています。
グラフを見るとわかりやすいのですが、数年前と比較すると、「貿易収支」と「サービス収支」が大幅に改善しています。
全体の金額は小さいながらも、長年大幅な赤字要素であった「サービス収支」が、その構成要素である「旅行収支」の改善により、黒字傾向となったのは、国益を考慮すると大きな要素であると言えます。
これは、下記記事と対比すると、より分かりやすくなります。
韓国、経常収支63カ月連続で黒字…旅行収支は最大赤字 2017年07月05日 [ⓒ 中央日報日本語版]
韓国の経常収支が63カ月連続で黒字を続けているが、旅行収支の赤字は最大幅となった。
韓国銀行が5日、発表した「2017年5月国際収支(暫定)」によると、5月の経常収支黒字は59億4000万ドル(約6707億7000万円)となった。
韓国の経常収支は2012年3月から63カ月間黒字を記録している。
ただ、商品収支の黒字が昨年同期に比べて19%減り、全体の経常収支の黒字も前年同期より43%減少したことが分かった。
サービス収支は16億9000万ドル赤字で昨年同期より赤字幅が大きく拡大した。
これは中国の高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の配備による旅行制限の影響で旅行収支が22カ月で最大赤字幅を見せているためだ。
(引用ここまで)