【欧州】自動車の未来を描くのは
乗用車の排ガス規制「ユーロ6」が2014年9月から施行される。大気汚染物質を含む排ガスの規制強化だ。排ガスだけでなく二酸化炭素(CO2)への規制も強化される。これら規制に対応するため、欧州自動車メーカー各社は技術開発にしのぎを削っている。日本ガイシは14 年4 月、ポーランドに拠点を置く同社子会社のコージェライト製の自動車排ガス浄化用セラミックスの生産設備増強を発表した。ディーゼル車排ガス浄化触媒担体「大型ハニセラム」を増産、「ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)」注の生産も開始する。生産能力を年間800 万個から1,500 万個に増強する予定で、生産開始は16年1 月、投資額は約9,500 万ユーロ。また、通常のガソリンエンジンよりもPM 排出量が多い直噴ガソリン車用の「ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)」の量産も開始する予定だ。GPF の量産は同社初という。既に12 年3 月、ポーランドを含む国内外6 カ所の生産拠点での生産能力増強(投資額370 億円)を決定している。排ガス浄化用セラミックスの需要が拡大すると見込んでのことだ。他方、住友化学は、DPF の開発に力を注ぐ。各自動車メーカーには既にチタン酸アルミニウム製のDPF の試作品を提供済みで、14 年内の量産開始を目指す。環境規制の厳格化が自動車産業界に与える影響は大きい。これら厳しい基準を満たすため、技術開発を自社だけで取り組むには限界がある。自動車メーカー間、部品メーカー間による技術開発、事業提携が不可欠だ。欧州の自動車環境規制は先駆的で、他地域のそれよりも厳しい。欧州の規制を踏襲する新興国も多い。この規制基準を達成することができれば、他地域の規制強化への対応も比較的容易となろう。国・地域を越えての事業提携が増えている今、高い技術力を持つ日本の自動車部品メーカーが、欧州の自動車部品供給網に積極的に参入する時代が来たといえるのではないか。出典:http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001746/07001746.pdf