IoTのためのLPWA通信規格のひとつ
IoT(Internet of the Things、モノのインターネット)とは、あらゆるモノがインターネットに接続し、タイムリーかつ自律的にデータをやり取りすることで、人が意識せずとも、快適で便利な環境を作り出す、というコンセプトを示す言葉です。 そのIoTを実現するための条件が揃いつつあります。たとえば、周辺の状況を把握するためのセンサーの登場や、センサーが得た情報を処理して表現できるだけの賢さを備えた超小型のコンピューターが安くなること、あるいは省電力化といった技術です。そうした機器により、膨大なデータが発信されると、人がわからなかった法則や事象を見いだすことができる「ビッグデータ解析」も可能になりますが、現在のコンピューターは、そうしたデータを処理できる能力も備えてきています。 IoTを実現するための要素として、モノたちが得た情報をやり取りするための手段である「ネットワーク」に関しても、IoTに向いたさまざまな規格が普及しつつあります。 IoT機器の通信のために重要なこととしては、まず「省電力」であること。それに「人の手間を煩わせないこと」が必須の条件として挙げられます。あらゆるモノで使うとなれば、常時利用できる電源を確保できるとはかぎりません。また数多くの機器がネットワークに繋がっていちいち人が通信を制御するようではコスト面で無意味なものになってします。 そこで、IoTのためのネットワークとしては、「LPWA」とい通信コンセプトがキーであると、最近認識されるようになってきました。LPWAとは「低電力広エリア」を意味する英語“Low Power, Wide Area”の略です。その名の通り、省電力で、なおかつカバーするエリアの広い無線のことです。これで構築されたネットワークのことをLPWANなどと言うこともあります。 前書きが長くなりましたが、今回紹介する「LoRa」は、LPWAの一種です。LoRaアライアンスがオープンスタンダードとして提案しています。LoRaアライアンスは米国のファブレス半導体メーカー大手、SEMTECHを中心に2015年に設立された業界団体です。IBMやZTE、仏Orangeなどがスポンサー企業として名を連ねています。 2016年6月現在、最新のLoRa WAN規格は、2015年7月に公開されたV1.0です。2016年第3四半期には修正版である「V1.01」と「V1.1」が公開される予定です。「V1.1」では、将来追加されるであろう機能の移行を容易にする「プロトコルネゴシエーション」や、ネットワークローミング機能などの仕様が追加される予定になっています。 日本では、IoT機器向けの低速・低料金の回線を提供するMVNO、ソラコムがLoRaを利用した実証実験を開始、商用化に向けた取り組みを進めていくことを表明しています。出典:http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/keyword/1003870.html