やはりこれは見なくては !
と水曜レディースデイ、レイトショーへ。
良かったです !
アカデミー賞へのノミネートが決まり、
各地で再上映が続いている模様。
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脚本 : 小山薫堂
監督 : 滝田洋二郎
身内の死。 大切な人の死。 自分の死 。。。
全ての人に必ず訪れる、死というテーマ。
最期のその場面に携わる納棺師の映画である、
という観客の固い空気感を
冒頭からクスリ^^ と笑わし、ほぐしてくれる。
結果的には泣きっぱで、
化粧が全部流れ落ちてしまったけれど ;;
なんといっても、この映画そのものの発案者であり、
主役でもある、本木雅弘。
完璧な美形は言うまでもないけれど、とってもいい !
本木雅弘が行う納棺の儀式は、息をのむほどに美しい。
ぎりぎりまでそぎ落とされた、無駄のない一連の所作は、
茶道のお手前や舞など、日本の伝統文化の所作を思わせる。
故人の生前の姿を蘇らせる手が美しい。
私は、身内の死で、葬儀屋さんには何度も接しているけれど、
納棺師、という職業があることは全く知らなかったし、
こんな美しい儀式を眼にしたことは一度もない。
こんな納棺師に清められて旅立てたら、
故人も遺された人々も幸せだろう、と思う。
職業に貴賎はないし、
人々から蔑まれる仕事を
日々こなしている人がいてこその社会。
仕事の価値って、その人自身が、
誇りとまごころを持って携わっているかどうか、
それにつきる 。。。
脇を固める俳優さんたちも、みんな味があっていい。
山崎努はもう、あのかたの、
あの全身から醸しだされるカオス、
苦味ばしきった全てが凄いですねえ ===
全編通して織り込められた、ユーモア、ペーソス。
これは、山崎努の存在そのものによるところが大きい気がする。
なにげにあちらこちらの映画、ドラマでお見かけする、
売れっ子脇役俳優・笹野高史のなんともスッパイいいお味。
私の大好きな余貴美子は、
すこぅしふっくらされたけど、
やっぱり憧れのイイオンナ。
ただ、ヒロスエが ...。
結構重要な役であるだけに、何故にヒロスエ ?
『 ぽっぽや 』 の時も解せなかったのだけれど。
足は綺麗な人だけれど、
役者としては、なにも伝わってはこなく ...。
じゃ、誰だったら ?
っていう話を帰り道にしていたのだけれど、
年齢的には若すぎるかもしれないけれど、
蒼井優 なんかいいよね、って。
一見普通っぽいけれど、
眼だけでも全てを語れる、凄い女優だと思う。
山形の自然の中でチェロを奏でる本木雅弘。
誰の音だろう 。。。 と気になっていた。
エンドロールに出たお名前は、柏木広樹、古川展生 !
印象的だった 『 いしぶみ 』 というものは、
向田邦子エッセイからのヒントだったという、
うれしいオマケも付いていた。
死の対照としての食のシーンに
向田邦子を思い出していたから。
私にも大切にしている石がある。
息子が小さかったころ、
綺麗な石でしょ ~ ?
と、ジュエリーの写真に見とれていた私に、
外へ飛び出していって、
はい、って見つけてきてくれた美しい石は、
いつまでも宝物。
母が旅立った日、
「 おかあさんったら、化粧ヘタだったよね 。。。 」
とかなんとか言って、
妹と二人で泣き笑いしながら、
母の死化粧をした記憶が
くっきりと蘇ってきた。
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おくりびと